第4話 : 模擬戦
シルフィードが部屋から出て行ったあと俺は今まで抱え込んだことを話すかどうか暗く静かな部屋で1人悩み続けた。
しかし、悩んでも悩んでも答えは出ず、その日は寝ることにした。
————
次の日、つまり今日
俺は本部地下のトレーニングジムに来ている。
考えても答えが出ないモヤモヤ感を紛らわすために体を動かすことにした。
『戦闘員番号0102。佐藤紡様、デコイによる模擬戦を始めます。準備よろしいでしょうか。』
そう言って俺は、重心を落とし右半身を後ろに下げ、剣を持った右腕を拳が肩と並ぶまで引き、構えをとる。
少しの間、目を閉じて深く呼吸をして雑念を消して、目を開く。
「準備できた。いつでもいいぞ。」
『はじめます。』
その言葉から、数秒して視界の右端で何かが動いた。
俺は瞬時に体をその方向へ向け、標的を捕捉する。武器はお互い同じで、少しずつお互いに間合いを詰める。
空気が肌を刺すような空気の中、先に仕掛けたのは相手だった。
技の動きが少ないその動きは水月に対する突きだった。
技の発生を見切った俺は、斜め右前に右足を踏み込んで、技を避けると同時に剣を振りかぶる。
相手の技の終わりに合わせて相手の剣を叩き、すぐに相手の顔を目掛けて剣を振る。
しかし、相手は体勢を大きく後ろに逸らして剣を避け、すぐさま反撃をしてくる。
が、俺が一瞬早かった。
相手が避けた瞬間に斬り下ろしを行った俺の斬撃の方が早かった。
相手の左手腕が飛んでいく中、俺の首に迫る相手の剣を俺の剣で弾き飛ばし、そのまま首元に剣をつけ
「勝負あったな。」
俺がそう言うと目の前のデコイは消えた。
俺がボーッとしていると突然の拍手が聞こえた。俺がその方を向くと1人の男が立っていた。
「相変わらずすげー剣捌きだな、おい。」
「
話しかけてきた同期の隊員は中島 登野。
銃の使いに長けている、黒髪の隊員だ。
「すまんすまん。ところで紡、お前なんかあった?」
その発言に昨日のシルフィードの件が頭にちらつく。
「いや、特に何も。」
「そうか、ならいいんだけど、今日なんで首を
「あ、ああ、言われてから気づいたよ。」
確かに、AIとの戦闘はAIが壊れるまでやるのが常識。首を刎ねるのが効果的だ。
言われてから気がついた。
昨日のことがずっと引っかかっている。このままだと、任務までに支障をきたしかねない。
今度会った時に伝えよう。
この時の俺はまさかあんなことになるとは思いもしなかった。
世界AI戦線 雑草魂 @zassoudamashii
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。世界AI戦線の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます