アスファルトは燦々と輝き、魚卵の宝物ほうもつの一翼を担う。大男は橋の上でヒラリと舞い、死体はそれに翻弄される。彼の双眸はキリンの述懐で美しかった。火炎瓶の平原で溺死した大男は夢をみる。

 上告した半身が傍聴席で煙草を吸う。事故として処理された溺死体の上にシールが重なる。大男「俺の肉体は二輪の遊園地。禁欲、清廉、汚泥」判決が下される前に回転木馬は生々しい落ち度を彼に渡す。「これはレオナールの時計。永遠にあなたに刻まれ続けるでしょう」大男はこれと聖書に火をつけた。大男「神の手先め!俺はカメレオンの色彩。近くの砂場」

 裁判長はゆっくりと席についた。機嫌の損ねた観覧車をなだめ、ため息をつく。タンポポと洋酒、肉親の歯ぎしり。裁判長「開闢、詩人の群れ、地方の夕暮れを背負った磔刑」大男「イヤリングは鳴った。汗ばむ音符の傍らで、拒否する」大勢のクリオネが発狂する。結末を刎ねた死刑執行人が裁判長から指輪を借りて代行することとなった。死刑執行人「暴食の都、人生の憂鬱、全ては縄の垣根の中に」大男は鍵の鍵盤にパイプオルガンの道しるべを思い浮かべ、後ろへ進む。



 礎の隙間に千枚の宿場。春はまがい物、夏は降る。コオロギの鳴く頃に浮かぶ船頭の黄昏。事情を訊くと奇妙な波止場。限りなく追悼式に等しい唇と微妙な怠惰。僕の居場所に見識はない。秋はうつ伏せ、冬には何一つ与えられてはならない。鼓膜の向うのパノラマは一斗六貫の線香花火。ジリジリと削られて炎天下の星の瞬きに雪は融ける。



 今日の桔梗は晴天で群青の壁画。私は地を這い、鷹と同じ目線を体験する。雄大な粒と禁断の重力が合わさる。偶然の豚小屋、妄想、死霊の憧れ。私はゆっくりと起き上がって花弁の虹が薄れゆくのを感じる。防虫作用、消火活動、幼少の思い出、走馬灯、これでもかというくらいの跳躍。神秘の天秤に乗せられた桔梗と私の右脚。つり合いを保つために必要なワイン。樽の中身、発情した魅力、千の灯。天秤の上の私をジッと見つめる野鳥の虚無。後悔の延長に大和撫子の声がする。彼女は私を待っているのだ。ここから降りるために支払う費用。ゼンマイ式の球戯場、受験で使った紙飛行機、戦争の調味料。一つ一つを探しあてるために付いた原罪の名を彼女は持っている。私の財産を分かつ企業の実態。それは恍惚とした魔女の肉体。



 発展した彫刻の櫓で歌う一人の少女。彼女に一目惚れした九尾の心臓。地殻のダンスにたじろぎわずかに死を経験する。家宝の便せんは明日の探訪。貴重な粘膜に身をゆだねて時間を潰す。談笑に誓い、少女の横顔は仕度をした編み物になる。機械に委託した心臓の諸活動は革新的手続きによってより鮮明となった。松明は黒いアヘン、靴は緋色のガイコツ、手のひらには朱色の桃源郷。朦朧とした淡い領土に君主は確固たる木片を肩に乗せる。少女の驚き、健忘、拒絶の霰。絶望した心臓は変革の的を持って窓から飛び降り、大地と一定の親和性をもって気化してしまった。



 てっぺんの潜水艦は超越の信号。嬉々として乗り込んできたマラカス。箱舟に乗ったつもりで騒ぎ立てる。その様は滑稽で二度と上昇することはないだろう。



 スピード違反で捕まった猛者は一度も勝った試しがない。仮にエースを懐に隠し持ったとしても、雨のみかじめ料を誰かが話題にし彼は敗れてしまう。慎重に事を運んだとしてもたいていの場合は終電前に巻き上げられることになるし、そうでない場合でも、遠慮がちなエメラルドがいるものだ。幻影と対峙した彼の右肘は鎖骨と一縷の望みを賭けて挑むが、全く歯が立たないのである。



 面を被ったプラスチックケースは脅迫する。疾走した目に見えない何かを追いかけて、いずれは寛解するのであろうが、期末の底辺に押し込められている私にとってそれは無意味な注文だ。

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