手遊びに撥ねとばされるミニカーの裏の名前は掠れて薄く
手遊びに撥ねとばされるミニカーの裏の名前は掠れて薄く
かつて我が子が遊んだ玩具を押し入れから探し出し、書かれていたはずの名前を探す母親。
しかし、そこに書かれていたはずの名前は、掠れて読めなくなっていました。
彼女の記憶の中の名前と同じように。
既に、彼女の記憶の中には、子どもの顔どころか名前まで残っていません。
写真や記録は何も残っていなかったのでしょうか?
子どもの友達に貰った指輪と共に、焼却してしまったのかもしれません。
あるいは、目の前にあっても認識できなくなっていたのかもしれません。
どこにも残っていない思い出。
それでも、ただ「大切なものだったはず」という記憶に縋るしかない日々。
それは最早、強迫観念に近いものでした。
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