部室のドア。ガタガタという音。


「せんぱいっ」


みんなが入ってくる。全員いる。


「お、おい。なんでみんな」


「抜けっ、抜けてきましたっ」

「先輩ここにいるだろうなと思って」

「それにしても全員が全員」

「あ、気にしなくていいわよ。私が許可したから」


「顧問」


「あんたたち。私たちが何をしに来たかわかる?」


「え?」


「ほら。持ってきたわよ。ティッシュ。部長は涙とはなみずを拭いて」


「あ、ありがとうございます」


はなをかむ音。


「止まったでしょ。理科研究部からもらってきた特殊なティッシュだから」


「あ、ほんとだ。ありがとうございます」


「じゃ、キスしなさい。誓いのキスよ」


「は?」


「結婚を前提に付き合うんでしょ。んで、いきなり片方は外国に留学でしょ。ここでキスしなさい。愛を誓え。私たち新聞文芸部が証人になってやるわ」


「顧問。なんでこんな」


「聞いたからよ。寄稿した先生に。キスするのが良いってよ」


「そんな。いつの部誌の話ですか」


「ほら。やれっ」

「せんぱい。大丈夫です。私たちが見守りますから」

「ご卒業おめでとうございます。そして、ご婚約もっ」


「せ、先輩」


「参ったな」




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夜雨寄北 春嵐 @aiot3110

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