&α
部室のドア。ガタガタという音。
「せんぱいっ」
みんなが入ってくる。全員いる。
「お、おい。なんでみんな」
「抜けっ、抜けてきましたっ」
「先輩ここにいるだろうなと思って」
「それにしても全員が全員」
「あ、気にしなくていいわよ。私が許可したから」
「顧問」
「あんたたち。私たちが何をしに来たかわかる?」
「え?」
「ほら。持ってきたわよ。ティッシュ。部長は涙とはなみずを拭いて」
「あ、ありがとうございます」
はなをかむ音。
「止まったでしょ。理科研究部からもらってきた特殊なティッシュだから」
「あ、ほんとだ。ありがとうございます」
「じゃ、キスしなさい。誓いのキスよ」
「は?」
「結婚を前提に付き合うんでしょ。んで、いきなり片方は外国に留学でしょ。ここでキスしなさい。愛を誓え。私たち新聞文芸部が証人になってやるわ」
「顧問。なんでこんな」
「聞いたからよ。寄稿した先生に。キスするのが良いってよ」
「そんな。いつの部誌の話ですか」
「ほら。やれっ」
「せんぱい。大丈夫です。私たちが見守りますから」
「ご卒業おめでとうございます。そして、ご婚約もっ」
「せ、先輩」
「参ったな」
夜雨寄北 春嵐 @aiot3110
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます