死してのち已む
雪華すゝ゛め
第1話
少年は燃える夕日を見た。彼女を想って。
少年は屋上にたった。償うために。
少年は飛んだ。赦しを乞うために。
彼女はいつも雲を見ていた。
僕は彼女だけを見ていた。
これは、僕だけのひみつ。
1月12日
夜の駅に雨混じりの雪が降る。
僕は、ついに、その美しい顔を奪った。その美しい肌を。その美しい名声を。その美しい.........。
黒くて重たいゴミ袋を暗闇の中へ引きずりこんだ。
外は寒かったが、僕は汗をかいていた。息は白く、手の袋は冷たかった。
雪が袋に積もり、どんどん重くなる。
僕は耐え切れず屋根の下に入った。
何時間たっただろうか。
今思えば10分ちょっとだったのだろうが、焦っていた僕にはそれが永遠に感じられた。
雪が止むと、僕は線路に降りた。
次にそれを落とした。
ドスンと言う音と共に僕の中のなにかが割れた。
それはおそらく、僕の中に残った金平糖ほどの大きさの良心だったのかもしれない。
僕はゴミ袋をはいでボストンバッグに入れた。その中身はもう冷たかった。
ひ弱な僕には大変だったが、なんとか線路の真ん中に置いた。
線路からホームに飛び上がる元気は無かったので線路を辿って踏切まで行くことにした。
また雪が降ってきた。
電車に轢かれる心配はない。
夜はまだまだ続くのだから。
死してのち已む 雪華すゝ゛め @kakimonozukue_to_karasu
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