恋物語です。 幼馴染が大好きで、彼女のために頑張る杖職人の話。激しく心を揺さぶられるのは、等身大の人間ドラマを見ているためなのでしょうか。
杖職人バーニィは腕利きの職人である父親を持ち、幼馴染のキャロルは天才と呼ばれるほどの強力な導師です。導師が魔法を使うために必須の杖を作るのがバーニィの仕事ですが、雲の上の人のように優秀すぎるキャロルへの劣等感や焦燥があります。ずっと好きだった幼馴染は、いつしか有事の際に最前線に立つような柱になっていて、彼女のために杖を作ろうとするも思うようにいかなくて。歯がゆさやもどかしさを抱えながらも、キャロルの信頼に応えるため奮闘するバーニィをつい応援したくなります。個人的にはオスカーとキャロル回りの話がとても印象的でした。
37話、5. 工房の一番長い日 必ず帰ってこい までを読んだレヴューです。
気をつけていますが、少しネタバレがあるかもしれません……。
僕のレヴュー力では、この素晴らしい物語がいかに素晴らしいかを伝えることが難しいです。なので、レヴューをみて少しでも魅力を感じていただけた方は、是非……是非、ご一読ください……!
主人公はボンネビル工房の跡取り、バーニィ・ボンネビルという青年です。
そして主人公が密かに想いを寄せている幼馴染の少女——五年前、魔法を使いこなす者――導師となるべく故郷を後にしたキャロライン・ユノディエールがある日、導師として最上級の資格を得たのちにボンネビル工房で腕を磨く日々を送る主人公の元へと帰還する所から物語は始まります。
帰還したキャロライン・ユノディエールは、ボンネビル工房に杖の制作を依頼します。しかし待ったいたのは困難でした。彼女の魔力は桁違いで、杖をすぐに壊してしまう。そしてその困難に追い討ちをかけるよう大きな危機が国に忍び寄ります……。その危機に立ち向かうためには、彼女と相性が合う杖を作るという大いなる困難に立ち向かわなければならない……。
確かな地の文、緻密な描写で描かれているのは、等身大のキャロラインとバーニィです。その葛藤、悲愁、焦りが、リアルに説得力を持って書かれています。その筆力は確かで、紡がれる文章は整っていて、美しい……。
困難を乗り越えるために、バーニィが考えた杖を作る方法とは?
差し迫る最大の危機にキャロラインは杖を持って立ち向かうことができるのか……?
それは是非貴方の目でお確かめください!