2.2 意外と細かい性格してらしたのね
キャロルのために杖を作る。
使い手の才の優劣は、杖の構造、製作工程に何ら影響を与えない。木材を削り出して杖の本体を作り、その芯に
だが、実際に行われる作業は、ポールとバーニィではずいぶん異なる。
ポールの武器は、何よりも経験だ。若い頃から多くの杖を作ってきた積み重ねの結果、初対面の導師の特性をひと目で見抜き、
「え、それだけでいいんですか?」
と戸惑うくらいに、ポールとの打ち合わせは短かった。「導師に適合した杖を職人が見出し、提供する」のが彼のやり方である。
一方、年若いバーニィは、当然そこまでの域に達していようはずもない。
そんな彼が父に追いつくために取った手段が、
その仕事ぶりに幼馴染の意外な一面を見たのか、キャロルが
「こういっては失礼かもしれませんけど……バーニィ、意外と細かい性格してらしたのね」
と、半分感慨深げに、半分あっけにとられてつぶやくくらいには、その記録は微に入り細を穿つものだ。
術者の意見を杖作りに反映させるか、否か――。
師匠と弟子でありながら、百八十度違う杖作りへの
キャロルから正式に杖の制作依頼を受けてからおよそ三週間後。
互いの設計や作業を見て参考にしたわけではないのだが、二本は非常によく似ている。外見は基本に忠実で、奇をてらったところがない。柄頭は半球状、杖先に至るまでわずかに
大きく異なるのは、素材と中身だ。
ポールは本体に硬い樫を、
いずれにしても、杖の真価は、実際に魔法を発現させてみないとわからない。最終的な杖の仕様は、司祭長を始めとする教会のお偉方の立ち会いのもと、公試を行って決める運びとなった。
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