第7話

 5220年11月7日、ブリーング州上空。

 航空宇宙戦艦トワイライト。

  「レーダー探知、方位235、高度3000数は15戦艦クラスが2、空母と思われる艦影3、他駆逐艦クラス、その他ライトニングらしき機影多数、距離178キロ」

 レーダー員が報告を終えると艦長は対空、対艦戦闘、ライトニング部隊発艦を令した。

 フェデラー中将は「予定通り対艦攻撃隊は低空から、制空隊は囮になりつつ制空権を確保する。航空参謀発艦を急がせろ」

 ジョンソン航空参謀は「了解しました」と言った。


 ナイトマン少尉は制空隊だった。発艦の準備を進めていよいよ発艦となった。

 リーベルン少佐率いる第205飛行隊の初陣だった。

 リーベルン少佐は「実戦だからといって気負う事はない、訓練通りやれば良い」と言うとシラク大尉は「お決まりの台詞ですねぇ」と言った。

 「何か言ったか?シラク大尉」

「何でもありません、隊長」

「ならば良い、聞こえたなひよっこども」

「了解であります」とトレンガー准尉。

「了解です」とナイトマン。

「よし、リーベルン、カトラス1発艦!」

 電磁カタパルトにより足下が加速してライトニングATー6が発艦していく。

「ナイトマン、カトラス3発艦」

 ナイトマンの機も含め他の艦載機も発艦していく。

 航空宇宙戦艦トワイライトCIC

レーダー員が「敵艦よりECM攻撃、こちらもECMとECCM、電子戦開始」オペレーターがそう言うとジョンソン航空参謀はマイクに「各機敵艦からECM攻撃を受けていると思うがこちらも対抗している各機自らの判断で攻撃せよ、以上」と吹き込んだ。

 ナイトマンのレーダー画面が見づらくなっていた、常にノイズが走る。

 「こちら、カトラス1、現在敵電子攻撃と味方の対電子攻撃が行われている。多少見づらいだろうが訓練通りやれば問題ない、各機焦らずこれまでの訓練を活かしてくれ、以上」

「カトラス2、了解」

「カトラス3、了解」

「カトラス4、了解」

だが敵も同じ事だった。


 エストリア王国航空宇宙軍第2宇宙艦隊旗艦電子戦艦ドミニオン。

 第2宇宙艦隊司令官リアリス中将は「ようやく我が艦の性能を試す時だな」と言った。

 王国航空宇宙軍第2宇宙艦隊旗艦電子戦艦ドミニオンはこの当時世界最高性能を誇る電子戦艦であった。何よりの特徴は電子戦艦とある通り電子戦に秀でていたことだった。例えば自艦だけでなく艦隊全体のレーダー波を欺瞞することも出来たし、電子攻撃、電波収集、電子防護、更に地上、又は空中に対してマイクロ波攻撃で人体に直接攻撃ができた、マイクロ波で攻撃された者は吐き気や頭痛、脳に損傷を負う。と言う具合の性能だった。もちろん戦艦並の武装もあり40センチ実体弾連装砲4基、50センチビーム連装砲4基、VLS、速射砲、対空機関砲などがあった。まずはお得意のレーダー波欺瞞を開始した。

 ガルディア帝国航空宇宙軍の対艦ミサイルは射程120キロ、当然射程ギリギリで撃ってくるだろうから味方艦隊の位置情報を偽装すれば全て外れる。一方、ガルディア空軍にはこのような電子艦は無いせいぜい対電子攻撃能力があるぐらい、だからこちらの対艦ミサイルを対レーダーホーミングモードにしておけばほとんど目標へ向かうはずだった。

 放たれたミサイルはレーダー発信源である敵艦へと向かったしかし電子戦艦ドミニオンの強力な電磁波によりミサイルの電子部品が破壊されミサイルのほとんどは制御を失い墜落していった。残りのミサイルも対空砲で撃墜されてしまった。

 「ミサイル全弾撃墜、目標に命中せず」レーダー員がそう告げるとトワイライトCICに冷たい空気が流れた。

 「クソ!敵の電子戦は予想以上か…!」リンド参謀が呟く、フェデラーは「そう慌てるな、次はライトニングによる航空攻撃だ彼らに期待しよう」静かにそう言った。

 そのライトニング部隊は「おいおい、ミサイルが全弾撃墜されちまったじゃあないか」

「なぁに俺たちの手柄が増えるってもんだ」とあまり気にしていなかった。

 ナイトマン達の機体が敵艦隊に70キロ近づいたところで「レーダーに敵機、各機気をつけろ」と飛行隊長が言ったその時機体下方からビームが飛んできた。

「敵は編隊下方から来たぞ!各機ブレイク!」飛行隊長のその無線で各機が各々に敵とまみえる。

 「こちらカトラス1、カトラス2は俺、カトラス4はカトラス3と編隊を組んで戦え、以上」リーベルンが通信を終えるとナイトマンはトレンガー准尉と共に敵編隊へ機体を向けた。

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ガルディア戦記 蒼月進ノ介 @fmz

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