四月
彼女と初めて会ったのは高校の入学式の日
こんな晴れ舞台の日に彼女と僕は保健室で出会った。
あの日のことは未だに鮮明に思い出せる。
あの日僕は高校に入って人の多さに少し吐き気がして保健室に逃げてきた。
「あれ?入学式やってるのに行かなくていいんですか?」
ベッドの方から明るい声が響く。
「気持ち悪くて休みに来たんですけど……」
「そっか~あ!私一年の*******っていうの。よろしくね」
そう言われて初めて彼女が同級生だと知った。
「なんで、貴女は保健室にいるんすか?」
「ん~秘密!そうだな~私と高校に入って初めての友達になってくれるなら教えてあげる。どうかな?」
「じゃぁ、別にいいです」
「え!?なんで!?!?!?!?!?」
訳が分からないという風にこちらに視線を送ってくる。
いちいち説明するのが面倒くさい。それに説明したところで無駄なだけだ。
「人と関わっても特に利益はないから。」
あくまでも簡潔にわかりやすく言葉にする。
「利益?そんなのなくても自分の気持ちに正直になればいいんだよ。そんな難しいこと考える必要ないと思う。」
自分の気持ちってなんだ?
ずっと、そうだったことに気付く。
”自分が何をしたいのか、欲しているものは何か”
「ねぇ、私と利益と気持ちどっちが大事かゲームしない?」
「どっちが大事か……??そんなの…」
「利益だって決め付けないで。」
まるで聞き分けのない犬を叱るときの声色に似ていた。
「言い換えるよ。ゲームじゃなくて実験しようよ。」
彼女の提案はとても魅力的だったから飲むことにした。
それが、四月の物語
君に出会うのが遅かった。もっと早く君に会えていたら何か変わっただろうか。
そんなことはわからない。
でもこれだけは言える。
あの日保健室で君に会えて本当に良かった。
この感謝を直接、君に伝えられなかった。
これが僕の一つ目の懺悔だ
20**/4/*
君に送る懺悔参り せな @light0202
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。君に送る懺悔参りの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます