第2話 休み時間
休み時間が来た。篠宮はベルが鳴ると同時にいそいそと教室の外へ出ていってしまった。俺は急いで後を追おうとしたが、机にぶつかって転んでしまった。
「おいおい、だせぇぞ中原!」
親友の悠希がからかう。
「うるせぇな」
俺は笑いながら膝を抱え、教室を出たが、そこには誰もいない。見失っちまったか、と落ち込んでいると、隣のクラスの姫野京子が目に入った。
「あ、中原くん!」
姫野が駆け寄って、にっこり笑う。
「どうしたの?なんか歪んだ顔してるけど」
「さっきコケちまったんだ。歳かな」
「まだ若いのに。なーに言ってんだか」
姫野はコロコロと笑って、一緒にごはんたべよ、と手をつかんできた。
幼なじみの姫野は可愛らしい容姿で男子にも女子にも人気があり、俺にかまってくる意味がわからなかったが、まぁそんなことは今はいい。俺は素直に姫野に従うことにした。
学食はいつもより空いていた。俺は姫野と席につきA定食を食べた。おばちゃんがご飯を大盛りにしてくれたのでボリューム満点である。姫野は女子らしく少なめだったが、彼女がダイエット中なのを知っている俺はわざと美味そうに唐揚げを頬張ってみせた。
「もう!」とふくれつらをする姫野はいつもより可愛らしく見えた。
「なんかお前、今日可愛いな」
というと姫野はびっくりした顔をして、
「今日アイシャドウ変えたんだ」
と言った。
「なるほどな、雰囲気違うよ。すげー可愛い」
姫野は真っ赤になり、うるさいなぁ、とにこにこしながら俺を軽く叩いた。
「照れんなって」
と言いながら俺は食べ終わり、姫野とそれぞれの教室に向かった。
ワンナイト・カーニバル 情緒不安定 @minto0326
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