わたしの婚活日記

結城ひな

第1話 

「ちょっと平山さん!」



ちょうどお昼休みが終わるころ、部長に呼ばれ急いでデスクまで走った。



「何でしょう。」



「いや、ここに置いてあった僕のおにぎり知らない?」



「ああ、ゴミはまとめて先ほど出してきましたがどうかされました?」



「君!僕のおにぎり勝手に捨てたな!楽しみにしてたのに!」




そんなはずはない。部長の汚いデスクには確かに食べた後のおにぎりのゴミがあった。私は業務の一環でそれを捨てたまでなのだ。



「部長。さっき何か食べてましたよね。私部長が何か食べてる音聞きましたよ。」

同僚の赤平さんが言った



続けて後輩の米山くんが「僕もパリパリって音聞きました。もしかして部長おにぎり2個買ってたんですか?」と言った。



「いや僕はおにぎり1個しか買ってないよ!でもそれをまだ食べてないんだ!確かにここに置いてあったのを平山さんが捨てたんだ!君達だって音を聞いただけで実際に僕が食べているところを見たわけじゃないんだろ?」



昼休みの間にゴミはまとめて一階のゴミ捨てに出してしまっている。完全に私の負けだ。部長の中で私はおにぎり泥棒のレッテルを貼られてしまっている。





「すいませんでした。以後気をつけます。」


それだけ言って私は自分のデスクに戻った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



私の名前は平山綾乃。今年で40歳になる。



私がこの歳になって婚活を始めようと思った理由はただ1つ。


このウザキモ部長のもとで働くのが嫌だから。


だが転職するにしても今の私の安月給では老後が心配である。できることなら稼ぎのある男の人と結婚して専業主婦にでもなりたいものだ。



自分で言うのは少し気が引けるが、私はそこそこの美人である。若い頃は高岡早紀に似てるなんて言われて結構モテたし、高校生の頃には通学中の電車で他校の男子生徒に一目惚れされ告白されたことだってある。



趣味はホットヨガと岩盤浴で週2でジムに通っているからか年齢の割に体型もキ

ープされている方だ。



そんな私が婚活をするのだから当然、うまくいくと思っていた。



半年後くらいには結婚できているかな。なんて甘い考えを抱いていた。まだこのときは、、、、、

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