3-Awakening Ⅱ
ラヴァンによって呆気なく押し倒されたテクノは、ゆっくりと立ち上がると再びラヴァンへと攻撃を仕掛ける。
大砲口から複数の鉄球を放つ。彼ならば、この程度の攻撃ならば容易に避けられるだろう。
しかし、これらを避けた場合にウルにも危険が及ぶことは明らかだ。
その時、ラヴァンは腰に掛けていた筒状の物質を取り出す。筒の先端から蛍光色のサーベル“セイントセイバー”が出現する。
こちらを目がけて勢いよく軌道を描く鉄球に、セイバーの
ラヴァンは相手の行動が止まった一瞬の隙を逃さない。彼はテクノに接近して、腕の関節部分にセイバーを突き刺して、引き抜くと再び距離を置く。
屈強な武装が施された巨大な腕が、スパークを起こしながら床に落ちるていく。
ウルはテクノを凌駕する身体能力を目の当たりにして、伝説の戦士として古くから言い伝えられる所以を思い知る。
破壊されて動きが鈍くなりながらも、テクノはもう片方の腕を振りかざして、最期の悪あがきとして鉄槌を叩き込もうとする。
またもや彼は腕を上にかざして難なく受け止める。テクノは上から力を込めてそのまま押し潰そうと試みるが、ラヴァンは顔色一つ変えない。
巨体を押し倒して仰向けにさせると、ボディに飛び乗りセイバーをテクノの頭部に突き刺した。
深く損傷したテクノのボディは煙を上げて、周囲を巻き込むように大爆発を起こした。
これに対してラヴァンは咄嗟に右手を前にかざして、およそ3mの高さのガラス状のように薄いが、頑丈なシールドを展開することで、爆風を防いだ。
こうして、ラヴァンの千年の時を超えた戦いは終結した。
彼にとってはウォーミングアップにも及ばなかったようである。汗一滴も流さずに強敵を倒してしまった。これが、伝説の戦士と言い伝えられるテクノである。
「ジョニー!!」
ウルは涙ながらに呼びかけて、ジョニーの元へと一目散に駆け付ける。
彼が身に付けていた国家軍隊の武装をしていたが、それも無残に破壊されて致命傷を負っていた。
「…すま、ない…こんな形に…なってしまうとは…」
「ダメ!喋らないで!!今すぐ私から医療班に連絡するから!!」
「いや…俺はもうダメだ。最後の…言葉となる…力を振り絞るからよく聞け」
ジョニーは一瞬瞳を閉じる。彼はもう痛みを感じることすらなかった。
しかし、命の灯火を絶やすまいと口を動かした。
「地上の世界は、もう…地下の国民が想像している以上に戦争体制になっている…。国家軍の兵数は5,000を…越えている。その内の100の兵が…もうじき第4シェルターへと侵攻してくるだろう…。
国家と戦うならば…俺の兵を連れて行け。彼
らも、俺達と同じシェルター出身者達だ…」
会話の合間に吐血を繰り返す。臓器への損傷があまりにも深刻であることが伺える。
「ウル、お前が設計したテクノも連れて行くつもりだろうが…総戦力を持ってして迎え撃て。
そして、戦いに生き延びたらここへ行け。理由は自ずと分かるだろう」
ジョニーはひび割れたデバイスを取り出して、ウルにその目的地の位置情報を送信する。
そこには、ユーロフィア国辺境にある小都市“パリシア”と明記されていた。
一体何が待ち受けているのか、その時は皆目検討が付かなかった。
Fate-未来世界 機械戦記物語- 菜々瀬 @nana-328
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