2-Awakening Ⅰ



ー 薄暗い部屋に入ると、そこにはほこりを被ったままの機械設備がいくつか置かれていた。



 部屋をくまなく探していると、施設内の電気を管理するメインブレーカーを発見する。



 それに手を伸ばそうとした時である。四足歩行体のテクノが崩れるように大きな音を立てて倒れる。



 「きゃっ!?」



 思わず声を漏らして驚き、後ろを振り返ると長い年月を経て朽ち果てた電子基板が露出していた。



 どんな事が起きるか分からない。不安な気持ちを必死に押し殺すまでに10秒ほど要した。



 彼女は気を取り直して、メインブレーカーを操作することで、施設内は時間が動いたように、照明に明るさが戻っていく。



 ー メインブレーカー ログイン。

 機能ファンクションを再開致します。



 単調で無機質な音声が流れた後、ウルはジョニーと合流する。



 先程のゲートの前に向かいスイッチを起動させると、閉ざされていた道が姿を現した。



 「…行きましょう」



ー 通路を歩き続けると、そこには先程までとは打って変わり苔が生えたカプセルが立ち並んでいた。



 その最深部に一台のカプセルが置かれていた。



 二人は恐る恐る内部に顔を近付ける。



 そこには、赤みを帯びた長髪、鼻が高く端正な顔をした人間が眠っていた。まるで、生身の人間が休息しているように横たわっていた。



 「…赤い髪のテクノ。間違いないわ。


 彼が…伝説の戦士“ラヴァン”!!」



 彼女は焦る気持ちが抑えきれなくなり、カプセルの横に設置されていたコンピュータを操作する。



 ウルはシェルターにおいて、テクノに関するエンジニアとして従事している。そのためこの手の操作は難なくこなせるのである。



 数分ほど操作すると、再び機械音声によってアナウンスされる。



ー テクノコードACG751-3019 ラヴァン


 インストールを開始致します。

 トラップシステムA 発動。




 アナウンスが終了すると、天井部から巨大な人型型テクノが地が揺れるほどの衝撃と共に出現する。


 そのテクノには強硬な鋼の武装が施されており、ボディが摺動しゅうどう音を立てると、二人に接近してくる。



 ラヴァンを再起動させるために必要なプログラムをインストールすると同時に、仕掛けられていたトラップが発動されてしまったのである。



 大型テクノは全長5mを超えるほどの巨体であり、指を折り曲げて鉄球のごとく大きな拳を振り下ろしてくる。


 規格外のサイズの敵を目の前にしたウルは、腰を抜かしてしまう程恐怖を覚える。ジョニーは彼女の手を引いてその場から距離を置く。



 「そこにいろ!ここは俺が何とかする!」



 ジョニーも恐れを抱きながらも、ウルを守るために国家から支給された電磁銃を手に取る。



 トリガーを引いてテクノへとレーザーを放つ。しかし、それはテクノのボディには通用しない。



 少しばかりボディを押し退けるが、ほとんど効力が無いように伺える。二人は思わぬ刺客に生命の存続が危ぶまれていた。


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