新たな道そして……

新たな道

僕、美華、藍は大学を卒業して僕は専門学校、美華は会社に就職した。

藍は渡米し大学院と夢を叶えるためにそれぞれの道に進み始めた。

僕は理学療法士になるために必要な資格を取得し、カリキュラムの過程を修了し、地元港南駅近くの整形外科に就職が決まり卒業を待った。

美華は会社の上司に色々アドバイスをもらいながらイラストを描いて持っていくがイメージとは違うとはねられても創意工夫を繰り返し、めげずに頑張っていた。

藍はアメリカでロースクールプログラムを1年を修了した。高校、大学と勉強に苦戦したことはなかったが大学院の国際弁護士試験に果敢に挑むものの中々問題が解けず家に帰ってずっと泣いていた。

藍はこのままではいけないと思い全てを犠牲にするぐらいの気持ちで本腰をいれて勉強することを心に誓った。

藍は大学院の勉強と並行して弁護士の試験勉強をしていた。国際弁護士試験挑むこと5度目、弁護士試験を受けて結果は1点足らず不合格で悔しいが今まで中々合格ラインにすら乗らなかったがはじめて合格に1歩近づけたような気がして嬉しかった。

藍は後もう少し、あと少しで夢にまで見た国際弁護士になれると思ったらもうひと踏ん張りすれば夢は叶うと信じて6度目の試験を受けた。そして合格ラインギリギリで合格することが出来て安堵の思いでいた。

藍はアメリカを中心にしつつも日本の法律事務所を探していた。


春一番

咲綾は相変わらず忙しい日々を過ごしていた。僕は仕事が決まり、咲綾とデートをしたいと思っていた。

咲綾にメールを送ると咲綾から明後日海外公演で台湾に行くから明日なら時間あるよ。

僕は午前9時に港南駅に来て欲しいとメールを送った。前日、春一番が吹きこの日は寒の戻りでとても冷えていた。

あまり外を連れ出すと翌日にも影響が出ると思い中で楽しめるようにと考えた。隣町の商業施設で映画館に行き恋愛映画を観て施設内にあるカフェに行った。僕はブレンド、咲綾はカフェオレを飲んで温まっていた。咲綾は僕に今日は寒いね、この後どこに行こうとかって考えている?

僕はアミューズメント施設に行ってボーリングやカラオケをしようと思ってるよ。

咲綾は私ボーリング得意じゃないからカラオケ行こうと誘った。商業施設の近くにあるカラオケに行き3時間、僕と咲綾は歌い続けた。

港南駅に戻り、咲綾はちょっと休みたいからと言って元道公園でゆっくり話していた、咲綾は立ち上がり歩いているとフラフラとなって、貧血で倒れた。咲綾の手は冷たく風が強いので早く家でゆっくり寝かしてあげた方がいいと思った。

僕は咲綾の家に着きインターホンを鳴らしお父さんが出てきて咲綾さん手が冷たいので早くベッドに連れて行って温かくしてあげてください。明日から台湾遠征みたいなので。分かった、咲綾を部屋に運ぶから少し待っていて。

お父さんに言われるがまま僕は玄関で待っていると玄関に来て家に上がって。

僕は椅子に座っているとお父さんはインスタントコーヒーとお菓子を出してくれた。

僕はすみません、ありがとうございます。

お父さんは琢磨君咲綾が迷惑かけちゃってゴメンね、眠くなったらデートしてても途中で帰ってこないと琢磨君に迷惑かけることになるんだからって口酸っぱく言ってるんだけど。

いえ、僕の方こそ咲綾さんが寝る前に家に帰るように強く言えばよかったのにと反省してます、すみませんでした。

お父さんは琢磨君が謝ることじゃないよ、こうやっていつも咲綾を背中に背負って家まで送り届けてくれてありがとう。そうだ、今度一緒に家でご飯食べよう。連絡先教えておくからいつでも遊びに来てね。ありがとうございます、咲綾さんお大事にしてくださいと言って僕は咲綾の家を後にした。


台湾公演

次の日劇団秋風は団員が集まっていた。

団長は近藤は来てないとなり美琴は咲綾に電話をかけたが繋がらなかった。

美琴は団長に伝え、団長は咲綾の自宅に電話をして母親が出ると咲綾は昨日体調を崩して先程先生から入院するように言われました。今回の公演ですが参加出来なくなり申し訳ありませんと伝えると団長はお大事にしてください。こちらのことはお気になさらず咲綾さんの傍にいてあげてくださいと電話を切った。

美琴は団長に咲綾はどうしたんですか?団長は近藤は体調を崩して入院することになったから今回の公演は参加出来ないって。だから橋本、急で申し訳ないが自分の役と近藤の役2役やってもらえないか?短い時間だけど動画見せるから覚えてくれ。

美琴はもちろんです、咲綾の分も私がやりますと自分の役と咲綾の役と2人分の役をこなし咲綾の体調を気にしていた。劇団秋風は台湾公演を終え、韓国、中国を周って帰りの飛行機に乗っていた。病院にいたお父さんは咲綾が目を覚ましたから港南病院に来て欲しいとメールを送った。

僕は病院に行くと咲綾は笑顔でいた。咲綾は琢磨この前また迷惑かけちゃったね、お父さんから聞いたよ。また一緒にデートしよう、私もムリせず調子が悪くなったら琢磨に言うようにするもんでさ。

僕は美琴さんしてると思うからメール送った方がいいよ。咲綾またお見舞いに行くから今日は帰るね。僕は咲綾の御両親に一礼をして病室を出た。

咲綾は美琴さんに港南病院に入院している。みんなには今回公演行けなくてすみませんと伝えて欲しいとメールを送った。

美琴は飛行機から降りメールを見ると咲綾からのメールが届き、団長や他の団員に見せるとひと安心した。団長は橋本、帰ってきてすぐだけど近藤のお見舞いに行ってあげてほしい。大人数で押しかけたら余計な負担かけるからさ。美琴は分かりました、咲綾が何か言ってたらまたお伝えします。

美琴は港南病院に行くと咲綾が笑顔で迎えた。美琴は咲綾大丈夫なの?

咲綾は今のところ大丈夫だよ。美琴に手紙を渡しておくもんでまた読んで欲しい。美琴はまた時間を見つけて読むね。

咲綾にあまり長居したら悪いから私帰るねと美琴は病室を出た。咲綾は両親に私何の病気なの?

琢磨君が家に送り届けてくれたはずなのに病室で寝てるっておかしいでしょ。もし病気で死ぬようなことがあるならそれを知らないまま闘病するのはイヤだから。お父さんは先生から睡眠不足からくる疲れでしばらく入院して安静にした方がいいって。琢磨君が送り届けてくれた時、手が冷たかったから先生に伝えたらただの冷え性なので温かくしてくださいって。じゃあ私安静にしてたら退院出来るんだね。先生が病室に来て咲綾さんだいぶ顔色がよくなりましたね。咲綾は先生、私は何かの病気を患ったから入院してましたか?

先生は心配になる気持ちも分かりますが特に病気でってことはないよ。この様子なら明日退院でもよさそうだね。

私は先生にホントですか!?ありがとうございます。先生は咲綾にただしまだ激しい運動はダメ、出かけてもいいけどちゃんと温かい格好で出ること。咲綾は先生に以後気をつけます。次の日咲綾は退院した。咲綾は美琴と団長に電話でしばらく休養することを伝えた。


咲綾の家に

僕は咲綾が退院したが演劇のプロとしてすぐに戻れないことにもどかしい思いをしていると考えた。

僕は咲綾の家に行くと家族や琢磨君、そして劇団のみんなに心配をかけちゃうってプロ失格だね。このまま演劇辞めちゃおうかな……。

僕はこの時、咲綾が今まで好きでやり続けてきた演劇の進退を考えていているほど落ち込んでいた。

最終的に進退を決めるのは咲綾自身だが僕としてはしっかり治して再び舞台に戻ってきて欲しい。また笑顔で演技している姿を見たいと思っていた。

琢磨君、私はこの後どうなるのかな?今すぐ舞台に立てるかどうかは分からないけれどどうせ死ぬなら舞台上で演技をしている時に死にたいな。

僕はそれだけ演劇に熱い思いがあるならばすぐじゃなくても舞台に戻るべきだと考えていた。

咲綾、そんなこと言わないで。死んだら好きな演劇が出来なくなるし家族にも美琴さんや団員にもそして僕にも会えなくなっちゃうよ。だから死ぬならとかいわないでよと泣きながら訴えた。

琢磨君、優しいね。死んだら琢磨君にも会えなくなっちゃう。それはイヤだな。

僕だって咲綾がいなくなったら何も手がつかなくなるよ。今は神様が休むように言ってくれているから咲綾は休まなきゃダメだよ。

琢磨君、でもねこの間にも他の団員が私のポジションを狙って虎視眈々と頑張っているの。だから意地でもたまげきに行かなきゃダメなの。

そんなやり取りをしていると咲綾の部屋にある人がやって来た。

咲綾、退院おめでとう。みんな心配してたから元気そうでよかったよ。体調はどう?

僕は思わず美琴さんに咲綾がたまげきに行かないとポジションを取られるから行くって言っています。

それを聞いた美琴さんは咲綾に笑顔で安心して咲綾のポジションは私が代替で務めているけれど帰ってきたら咲綾にやってもらうって団長も言っているからゆっくり休んで大丈夫だよ。団長からはムリしてたまげきに来ても舞台に上げるつもりはない。しっかり休み、体調を戻してから徐々に演技していこうって伝えておいてって。

僕は咲綾を抱きしめて美琴さんや団長さんもこういっていることだししっかり休もう。咲綾には待ってくれている人がいるからその人たちを信頼することも大切だと思う。

美琴、琢磨君ありがとう。2人の言う通りこんな病み上がりな状態でたまげきに行ったら逆にみんなに迷惑かけちゃうもんね。せっかく家に来てくれたから2人ともブリンでも食べ行って。

咲綾は冷蔵庫から3つプリンを取り出して美琴さんは劇団秋風の進捗状況について説明して僕は美琴さんに呼ばれた。

琢磨君、一緒に帰ろう。彼氏としてずっと咲綾の傍にいたい気持ちも分かるけれど今は落ち着いているから1人にしてあげよう。

僕はたしかに美琴さんの言う通りですね。咲綾に帰ると伝えて家を出た。


演劇復帰

咲綾は団長に電話し明日から復帰すると伝えた。 そして1ヶ月ぶりにたまげきに行き、みんなで出迎えてくれて団員からは咲綾がいなくて寂しかった。休養したと言っても病み上がりだからムリしたらダメだよ。

咲綾は温かい言葉をもらい嬉しくて改めて仲間の大切さを実感した。

団長は早速だけど次の公演に向けて覚えて欲しいもんで団長は台本渡すから橋本と練習してきて。

咲綾は休養の分を取り戻そうと思っていて練習していると美琴に咲綾、もっと肩の力抜いて。焦る気持ちも分かるけどこの台本昨日もらったばかりのだから焦りは禁物だよ。練習が終わり美琴は咲綾に今からご飯食べに行こうとたまげき近くのイタリアンのお店に行って咲綾はカルボナーラ、美琴はミックスピザを頼んだ。

咲綾は美琴にこの前の公演私が行けなかった時ってどうしたの?

美琴はあの時は急に代理たてることが出来なかったから私が咲綾と2役やったよ。やってて私はまだまだだなって思うよ。

咲綾の表現力には到底及ばないなって改めて思ったよ。咲綾はいやいやそんな短時間で2役やるってことがすごいよ。そもそも美琴が団長に私のことを紹介してくれなかったら間違いなく劇団に入ることが出来たんだから感謝してもしきれないよ。食事を終えて美琴は咲綾に家まで送ろうか?咲綾は気にかけてくれてありがとう。自分で帰れるから大丈夫だよ。そして咲綾と美琴はそれぞれ家に帰った。


急変

咲綾は1人で買い物に出かけていた。何かを目的で買い物に行くというより出かけていた中で何か欲しい物があれば買おうとしていた。

ショッピングモールに行き新しいシュークリームのお店が出来てどんなお店なのか気になり入った。お店のたたずまいが可愛くシュークリームを食べていた。そしてコスメを見ていて試していていくつか買った。ふらふら歩いているとアパレルショップを見つけて服を見ていて色々試着していたがこのお店では買わず次のお店に向かった。

ここでも何着か試着をして何も買わずにショッピングモールを出た。空を見上げると黄金色でそろそろ帰ろうとしていて家に帰ろうと思い港南駅近くで突然意識を失った。

夜になり雪が降ってきて咲綾の身体に雪が積もっていた。

僕はこの日、映画を観に行っていて帰り際咲綾が倒れていることに気がつきすぐに救急車を呼んだ。僕は救急車に乗り港南病院に向かった。

ひとまず僕は咲綾のお父さんに咲綾さん今港南病院にいるので来てもらえますか?

10分後咲綾のお父さん、お母さんがやって来て僕は1人で出かけて帰り際港南駅で雪に積もってて救急車呼んでその後お父さんにお電話しました。

お父さんは僕に電話かけてくれてありがとう。琢磨君病状とか何か聞いてる?

僕は第三者なので教えられないそうです。お父さんはそっか……また病状が分かったらまた知らせるね。

いえ僕もここに居させてください、お願いします。お父さんは先生に呼ばれた。

先生はお父さんに低体温症で緊急入院してもらうことになります。

お父さんは僕に低体温症で緊急入院することになったから今日は家に帰ってまた明日来て。僕は1度家に帰って次の日再び病院に向かった。

僕は病室に入ると重たい雰囲気があり、挨拶をすると先生からこの2日がやまだって、琢磨君咲綾の手を握ってあげて。お母さんから言われて僕は手を握った。

僕はお母さんに咄嗟に咲綾さんの仲が良かった方とかにも教えた方がよろしいのではないですか?

お母さんはお父さんと話していてどうするか悩んでいた。少し悩み特に仲のよかった人にお見舞いに来てもらおう。

僕は美華と藍に咲綾が低体温症でやまだから来られるなら港南病院に来て欲しいとメールを送った。美華から電話かかってきてすぐに向かうから。

藍はアメリカにいるため中々連絡が来なかった。

お父さんは咲綾の携帯を取り僕に携帯のパスワードを聞かれ分からずとも何度か入れてパスワードを解くことが出来た。お父さんは琢磨と咲綾が2人とも知っている人いるか聞かれ、美琴さんと花南さんの名前を見つけて僕は花南さん、お父さんは美琴さんにメールをそれぞれ送った。

美琴さんと花南さんはすぐに港南病院に駆けつけた。美琴と花南は咲綾の姿を見て思わず涙が出てきた。

そして病室に先生がやって来て意識が戻ることは少ないと思いますが耳はちゃんと聞こえるので語りかけてください。

僕、美華、美琴、花南は必死に語りかけた。美琴は僕に私たちが声かけるから咲綾の手を握ってあげて。

僕はずっと手を握っていると咲綾が軽く手を握り

「琢磨君がありがとう……」

その一言を残してそのまま息をひきとった。先生は腕時計を見て近藤咲綾さん午後10時30分永眠と告げた。

病室にいた僕らは先生が何を言っているのか分からず呆然としてその場では涙が出てこなかった。

これが現実なのか?それとも夢の話なのか?分からなかった。お父さん、お母さんは病院の先生と話すからと僕らは外に出ていくように言われた。その言葉を聞いて僕は涙が止まらなくなっていた。

美琴は僕を抱きしめ、私たちもツラいけど琢磨君はもっとツラいよね。美琴さんすみません僕のワガママですがしばらくこのままでもいいですか?

美琴は琢磨君いいよ、気が済むまでこうしてていいよ。それぞれ重い足取りで家に帰った。

僕はお父さんから電話があり告別式にも参加して欲しい。その話を聞いて僕は美琴さん、みなみさん、花南さん、美華、藍にそれぞれメールを送った。僕、みなみさん、美琴さん、花南さん、美華はスーツに身を纏い告別式に参加した。そして藍は僕のメールで急いで告別式に参列するために帰国した。咲綾の告別式には僕、美琴、花南、美華、藍を含めて30人が参列していた。

藍は告別式で咲綾の姿を見てホント綺麗な顔をしてるね、今でも喋りかけたらかえってきそうな感じだね。琢磨君からメールもらって咲綾と会えるのも最期だから予定入ってても来ようって思った。

告別式が終わり会食に参加した。お母さんは美琴に咲綾の部屋を整理してたら美琴ちゃん宛の手紙あったから渡しておくね。

美琴はありがとうございます、また家に帰って読ませていただきます。お父さんは僕たちに咲綾との思い出を聞かせて欲しい。

僕は咲綾さんと交際させてもらって優しくかわいくて気が利くお姉さんって感じでした。高校3年の時に陸上でタイムに伸び悩んでいた時に花南さんを紹介してもらってそのおかげで格段にタイムが伸びたんです。全国大会には行けませんでしたがそこまで行くことが出来たのは花南さんのおかけですが何より咲綾さんのおかげだと思っています。

花南は咲綾と同じ学部でよく授業が同じで話していると咲綾も昔陸上やってたってことで意気投合して勉強をよく教えてもらっていました。

美琴は今劇団秋風の団員として活動していますがその原点は入学直後に咲綾が私に演劇部の見学に誘ってくれて演劇部に入ろうと思いました。

美華は高校の時琢磨君と同じクラスで初めは縁のゆかりもなくてなんなら私が琢磨君と咲綾の邪魔をしていて私は煩わしいって思っていたはずなのにそれでも私にテスト勉強を教えてくれたり食事に誘ってくれたりしてくれました。

血が繋がってないのにホントのお姉ちゃんのように頼っていました。藍は今アメリカで弁護士になることが出来たのはひとえにアメリカの大学院の試験受ける時に英語の面接が中々上手く行かなくて咲綾に面接練習をしてもらったんですがそこで色々とアドバイスをもらい無事に大学院に合格することが出来ました。

そして私と美華が大学で歩いていると咲綾が声をかけてくれて色々な部活やサークルあるけど演劇部も紹介してくれて演劇部に入りました。今の私があるのは咲綾のおかげです。それを聞いていたお父さん、お母さんは涙を流し咲綾がみなさんの人生に影響を与えてたんだと思うと私たちも咲綾を誇らしく思う。改めてみんな咲綾と仲良くしてくれてありがとう。会食が終わり僕たちはいつもの日常に戻った。いつも近くにいた咲綾がもういないと言うのが未だに信じられなくて僕は中々前に進めずにいられなかった。美琴は咲綾のお母さんからもらった手紙の封を切り手紙を読んだ。

「美琴へ 私が劇団に決まらず困っていたら美琴が先に練習生として活動していて焦りを感じて諦めようとも思っていました。その時、劇団の1人の方がケガで代役を探してる時に私に声をかけてくれてありがとう。私の分岐点は間違いなくあの日でした。感謝してもしきれません。もし私に何かあった時、琢磨君は落ち込んで立ち直れないかも知れないけどその時は琢磨君をよろしくね。 私はどこにいてもみんなことを見守ってるよ。だからみんなも私のことを忘れないで欲しいな。 咲綾より」

美琴は僕に電話をかけた。僕は電話に出ると港南駅近くの今からカフェに来て欲しい。僕はすぐさまカフェに向かった。僕がカフェに入ると美琴はもう来ていた。美琴さんは琢磨君こっちだよと呼び、僕はブレンドコーヒー、美琴さんはキャラメルラテを注文した。

僕は美琴さゆに今日はどうされましたか?

美琴は咲綾からの手紙を僕に渡した。僕は手紙を読んで思わず泣いてしまい、美琴さんすみません手紙を読んで……。

美琴さんは手紙に書いてある通りこれからは何かあれば私を頼ってね。咲綾の代わりといってはおこがましいし、咲綾より頼りないとは思うけど見守っていきたいな。もちろん琢磨君が嫌なら断ってくれて大丈夫だよ。

僕は美琴さんに今すぐはい分かりましたとは言えないから少し考えさせて欲しい。美琴はそうだよね急にそんなこと言われても困るよね、琢磨君また誘ってもいい? 僕はいいですよ。

僕は立ち直ろうと思い色々試行錯誤をしているがイライラして何も手がつかないでいた。

僕はこのままではホントにダメだと思い美琴に時間がある時でいいので食事に行きましょう。美琴は今日、たまげきの近くの焼肉屋に誘った。

僕は焼肉屋で待っていると美琴さんがやって来てお店に入った。美琴さんはセットメニューとビールとハイボールを頼んだ。

僕は美琴さん練習後でお疲れなのにすみません。美琴は大丈夫だよ、よく咲綾とここの焼肉屋来てたな。僕もよく咲綾に連れて来てもらいました。美琴さん立ち直ってすごいですね、

僕なんていつまでも引きずったままで何をしても手がつかなくて。

私のことは美琴でいいよ、私も完全には立ち直れてないよ。琢磨君でもさ私たちがいつまでも俯いていたら咲綾はどう思う?咲綾は心配で気が気じゃないと思うよ。だから私は待ち受けを咲綾にして見守ってもらってるよ。咲綾の言ってくれたことは忘れたらいけないし咲綾の魂は私たちが引き継がないといけないでしょ。咲綾はもういないかも知れないけど咲綾の灯火まで消したら咲綾は悲しむと思うよ。

僕はそれを聞いて美琴は大人だね、ホント自分が子供だなって思うな。僕は美琴のことがいつの間にか気になっていた。美琴に時間ある時にまた誘っていい?

美琴はもちろん、また予定の空いてる日を教えるね。

次の土曜日、僕は美琴が休みで咲綾と一緒に行ったテーマパークマリンに誘った。

僕は美琴と共にテーマパークマリンや豆川アウトレット行って一緒に行ったお店や遊園地でゴーカート勝負したり観覧車に乗って思い出を振り返って咲綾一緒に行ったところを美琴と巡った。

美琴は僕に咲綾はこんな景色を見てたんだ。美琴が帰ろうとしていて僕は美琴さんに話があると呼び止めた。

「僕は咲綾がいなくなって俯いていた俺をずっと励ましてくれて傍にいた美琴のことを気がついたら好きになってました。僕と結婚を前提にお付き合いしてください」

美琴は僕の差し出した手を握りよろしくお願いしますと微笑んで受け入れた。

その後、僕と美琴はデートを何度か繰り返し、美琴の要望で咲綾とデートをしたところを2人で巡った。

僕は美琴が出演する公演を何度も通い、たまげきでやる時はいつもの焼肉屋で2人で食べるようにした。

僕は美琴の家に挨拶しに行った。

「娘さんを僕にください」

美両親の前で僕は絶対に幸せにすることを誓った。そして僕の両親にも美琴を紹介を済ませた。

美琴は僕に咲綾の御両親にも私たちが結婚することを伝えないとね。

僕は咲綾の自宅に電話し咲綾のお父さんに今からお話があるのでご自宅に伺ってもよろしいですか?

お父さんは琢磨君だけ?それとも誰かと来る?

僕は2人で行きます。お父さんは分かった家で待っているね電話を切った。電話から1時間後僕と美琴は咲綾の自宅に向かい、インターホンを鳴らした。お父さんは僕と美琴を家に上げてもらい、今日は報告があって来ました。僕は隣の橋本美琴さんと結婚することになりました。美琴と話し合い咲綾さんの御両親にもお伝えした方がいいと思い今回来させてもらいました。

咲綾のお父さんはわざわざ私たちにも挨拶しに来てくれてありがとう。2人は後1人挨拶しなきゃいけない人がいるよ。2人とも車に乗ってお父さんは咲綾のお墓に一緒に連れていってくれた。

僕と美琴は咲綾のお墓の前で手を合わせて僕は咲綾に美琴と結婚することを報告した。その後、僕らは市役所で婚姻届を提出し結婚式を挙げた。僕らにとって咲綾は忘れられない存在であり続けることに変わりはない。


結婚後

僕は高校生の時に電車通学をしていなければ咲綾と出会うことはなかっただろう。

咲綾には心に染みる言葉を言われたこともあれば厳しいことも言われたりしていた。僕は咲綾と色々な所へ出かけて色々な思い出を作った。

僕は咲綾と出会っていなければ美琴にも出会っていなかっただろう。美琴は咲綾と出会っていなければ劇団に入団いや、それ以前に演劇部に入っていたかも分からない。

僕と美琴が結婚することが出来たのは他でもない咲綾がいたからこそ。婚姻届を出してすぐに結婚式を挙げようとしたが僕も美琴も資金がなく中々挙げられないでいた。婚姻届を出して1年後晴れて結婚式を挙げることが出来た。

僕は美華と藍を招待し、美琴はみなみ、花南を招待した。そして咲綾の御両親にも是非来てもらいたいと思い時間を割いて結婚式に来てもらった。御両親は僕に咲綾の写真を渡して咲綾もきっと2人の結婚を祝いたいと思うから2人の席に置いて欲しい。

僕は咲綾の写真を見て、まるで美琴を託したと思えた。結婚式は無事に終わり、その後僕らは1週間グアムに新婚旅行へ行った。美琴は体調を崩して病院に行くと妊娠していることが分かった。

美琴は陣痛が始まり病院に僕も向かった。美琴は初産で不安な表情をしていて僕は美琴の手をずっと握っていた。

美琴は陣痛に耐えること24時間、助産師さんは赤ちゃんを取り上げておめでとうございます、元気な女の子です。美琴は胸を撫で下ろし、僕は赤ちゃんの姿を見て美琴と名前を考えていた。

美琴は名前「咲綾」って言うのはどう?

僕は決めるならやはり一言言うべきじゃない?悪いけど琢磨、咲綾の御両親に電話で確認取ってくれる?僕は咲綾の自宅に電話をかけるとお父さんが電話に出て今日はちょっとご相談したくて電話しました。お父さんは相談?何かあった?

僕はこの度美琴が無事に女の子を出産しまして。お父さんはそれはおめでとう。また我が家に来てパーティーしようか。それで名前はなんて言うの? 僕はすかさずそのことなんですが、美琴と相談しまして子供の名前を咲綾って名前にしようと思いましてお電話致しました。お父さんはこうやって何年経っても咲綾のことを忘れず覚えていてくれてきっと咲綾も嬉しいと思うよ。それも2人の子供の名前が同じ咲綾ってなったらきっと嬉しいと思うよ。

お父さんは少しお母さんに代わるねと言ってお母さんが電話に出た。 琢磨君久しぶり、電話聞いてたけど美琴さんに出産おめでとう、何かあればいつでも相談してきていいよって伝えておいてね。 赤ちゃんの名前咲綾って考えているって話だけど私たちは全然構わないよ。咲綾ちゃんまた見せに来てね。僕は改めてありがとうございます子供の名前を咲綾にさせていただきます。

僕は美琴と新たに生まれた咲綾のために俄然仕事に勤しむことを決めた。美琴は退院し僕は美琴と咲綾の3人で咲綾のお墓に行き、僕は咲綾、僕たちの子供かわいいでしょ。名前は咲綾で咲綾の名前を付けさせてもらったよ。

咲綾には優しくて思いやりのある子に育って欲しいなって思うよ。

美琴は咲綾、いつまでも私たちを見守っていてね。咲綾の灯火は娘の咲綾に引き継がせるね。何かあればその度に来るよ。

僕と美琴は家に帰り僕、美琴、咲綾の3人の生活が始まった。

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僕が恋した咲綾さん 佐々蔵翔人 @kochan884

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