第6話 サンダルでいっしょ!

 夏だ、休みだ、目の前に広がる。人の波。ショッピングモールはそりゃ人が多くてみんな楽しんでいる。外は太陽が照りつけているが、店内は少し寒いくらいだ。



「今年の夏も花火大会やるよね、久しぶりに行きたいね、またみんなで」


「そうだな、また誘ってみるよ」



 夏が来たけど、恥ずかしくて2人で行こうなんて言えない。映画も見たいものがなくて、大したものは買わずに車に戻ってくる。店の自動ドアを抜けると、外のむわっとした熱気に包まれる。車のドアを開けて中に入るとさらにこもった熱気が襲う。窓を開けて、冷房を入れ走り出す。少し前まで仕事や家族の話やら近況を喋って盛り上がっていたのだが、少し無言が続いた。



「なあ」


「ん?」


「海行かない?」


「え、今から?準備なんもしてないよ」


「だいじょうぶだよ、行こう」


「ええ?」



 相変わらず突然なやつ。そんな予定なかったもんだからスカートと、ヒールのあるおしゃれサンダルだ。向こうも突然思いついたみたいで、コンビニでタオルを買った。



「多分今行ったら気持ちいいよ」


「絶対混んでると思うよ?」


「いいよ、ちょっと見て帰ってこよう」


「なにそれ冷やかし?」


「いいね、海を冷やかしに行こうぜ」



 気まぐれなやつだと思いながら、私も楽しみになっていく。海なんてここ何年も行っていない。



「よく行くの?海」


「行かないよ。…一緒に行きたいなって」


「なにそれ」


「なにそれってなんだよ、俺の夢なのに」


「な、なにそれ」



 ずるい


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サンダルでダッシュ! 新吉 @bottiti

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