第5話 サンダルでおさんぽ!
夏だ、暑い、目の前に広がる。陽炎がゆらゆらしてる道路。サンダルは地面からの熱を遮ってくれるけど、前をぐんぐんと歩くマルコは肉球だ。そりゃ猫よりは厚いしプニプニしてないけれど、あれはかなり熱いんじゃないかな。何て考えながら歩く。
マルコは私が中学生くらいの頃、知り合いから譲り受けた子犬だった。幼なじみのあいつも子犬を見に来たし、一緒に散歩することもあった。今じゃ私は一人暮らしだけど、実家に戻ってきたら必ずマルコの散歩をする。もうマルコは疲れやすくて、距離が少しずつ短くなっているらしい。まあでもまだまだ元気に、郵便屋さんのバイクに吠える。
マルコはオスだけどみんなからマルちゃんと呼ばれ、時にはマルマルーと呼ばれる。近所の人も名前を覚えてくれて、
「あらーマルちゃん、今日はお姉ちゃんとお散歩よかったねー」
なんてシルバーカーを押すおばあちゃんに声をかけられたりする。のどかな町のさらに外れの通り、軽トラくらいしか通らない。そんなマルコ散歩コースに彼氏の実家がある。彼氏もそこに住んでいる。最近子どもの頃の楽しかったり、バカやったり、転げ遊んだ頃の記憶がよみがえる。あそこはしょうた君の家、さっちゃんの家ももう少し先にある。
好きとか嫌いじゃなくて特別な仲良しだと思っていた。私が自分の気持ちに気づいたのは彼の告白を聞いてから。このままどこかにいなくなる前に言っておく、そう前置きしてあいつは私をひきとめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます