第4話 サンダルでブレーキ!

 夏だ、花だ。目の前に広がる。ひまわりとアサガオくらいしかこの中に知っているのはない。みんな綺麗。ちなみにアサガオはまだ咲いていない。グリーンカーテン代わりのアサガオはまだつぼみ、すぐ咲き出すはずだ。子どもの頃、観察日記に葉っぱもつたも絵に描いた、とにかくぐんぐん伸びる。夏は何でもよく伸びる。雑草も伸びる。

 私がよく行く図書館の中庭、ガラス越しの景色。男の子みたいにうるさい私が唯一静かになる時間。まあ字が多すぎたり難しい本は苦手。図工と美術が好きで、今日は貝殻で何か作れないかと本を借りにきた。

 本を見つけて帰り道、自転車をこぐ。そういえば彼氏と昔2人乗りしたなあ。私は動かずじっとして、誰かに何かしてもらうの苦手だった。いや嘘、やっぱり恥ずかしくて、チャリから降りた。

 長い長い下り坂を、今は一人。ブレーキの効きが悪くてサンダルの足で勢いを殺す。

 日が長くなったなあ。完全に自転車を止めて夕焼けを見る。ひまわりと夕焼けの景色が綺麗で残さなきゃと思って写真を撮った。やっぱりうまく撮れないなあ。あいつにスマホで送ったら、夕焼けの写真がいくつかきた。どうだすごいだろうってどや顔のスタンプまでついてる。なに張り合ってんだか。

 一緒にみたい、と素直に思って素直に文章を打ち込んだ。だけど送信ボタンでふいに指が止まってしまった。


 きゃはははっ


 図書館帰りの女子高生たちが楽しそうに横を通りすぎる。大丈夫。よし、いけ送信

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