第3話 サンダルですってん!

 夏だ、空だ、目の前に広がる。空と雲。眩しくて暑い。彼氏の家の畑を手伝っている。彼氏といっても幼なじみのよく知った家なのに、少し緊張。久しぶりだし。子どもの頃よく遊んでた。土の匂いが私を過去に飛ばす。


 夏休みはおばあちゃん家に行く。今は波がさらっていって跡形もない。海も山も近くて、某国民的アニメ映画みたいな立派な木があって、あのいきものはどこかに絶対いると思っていた。今じゃもう曖昧だけど畑で迷った記憶がある。背の高いひまわりが並んでて、畑に行っても背の高いとうものこしが並んでいる。おばあちゃんはとみぎって言う。おいしかったなあ。掘りごたつ、夏は蓋がしまってた。家の匂いも懐かしいな。


 お母さん、おばあちゃん家に行くときいっつも怒ってたっけ。男の子みたいにうるさいから、ちゃんと女の子らしくしなさい。ああ、おばあちゃんにもやろこみてぇだなや、しずねーって怒られたなあ。おばあちゃん、父方の祖母は怖かった。だけど迷った私はおばあちゃんを探した。畑にいるはず。あ!サンダルの私は勢いよく転んだ。いっぱいの土の匂いがする。




「どこ!?」


「おい、大丈夫か!?」



 目の前に広がるのは、顔。よく知ってる彼氏とおばちゃん。あれ?頭や脇や足やらに氷がある。



「きっと熱中症だね、飲み物とってくるよ」


「ありがとうございます」


「うなされてたぞ」



 彼氏はいつかのおばあちゃんと同じ顔をしていた。



「子どもの頃迷子になった時の夢見てた」

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