視野を広げる

 うつになると、視野が狭まる。自分の気分とか、状態ばかりに関心がいって、自分以外のことが考えられなくなる。そして、今日はおっくう感が強いとかゆううつ感が強いとか、気分に支配されて、行動ができなくなる。


 うつ病は気分の病気と言われるのは、まさにそういうことだろう。自分の内面にばかり気持ちが向いて、今日は調子いい、今日は調子が悪いと、そればかりで、自分の外のことに興味がいかない。朝起きるとまずは自分の気分をチェックする。


 朝起きてすぐおっくうなのは当たり前だ。うつでない人も朝起きるとおっくうなものだ。


 そのチェックすることで、おっくう感をものすごく大きく感じて、動けなくなる。


 本当は、そんなにたいしたおっくう感ではないかもしれない。


 動けば動けるかもしれない。


 でも、おっくう感やゆううつ感に支配されて、それしか感じられなくて、気持ちがつらくなる。


 私は今回、脳を葛藤させてしまったが、それは、視野が狭かったからだ。カウンセラーや主治医の言葉を「自分は随分回復している。そろそろ心のリハビリをした方がいい」と受け止めて、そう行動すればよかったのに「心のリハビリなんて無理だ。おっくう感とゆううつ感が強くて動けない」と頭の中で勝手に決めつけて、「でも、実践しなければ」とぐるぐる思考になって脳が葛藤して、調子悪くなった。そのせいで、頓服も飲んだ。


 要は、カウンセラーに言われたら、何も考えずやってみればよかったのだ。


 今日も、お昼ご飯は納豆ご飯にした。その後、いろいろおかずを作った。やってみると、それほどのおっくう感はない。むしろ、やっている間いろいろ他のことを考えないですんでよかった。


 これからは、デイケアが休みの日に、料理をして、デイケアの日は作らなくていいようにしよと思った。


 今までは、毎日「夕ご飯どうしよう」とゆううつになっていた。でも、こうやって用意すると安心してデイケアに行ける。明日のおかずも作ったから。


 今まで私を支配していたおっくう感、ゆううつ感ってなんだろう。


 もう、そんなにおっくうではなく、ゆううつでもなく、かなり回復しているのではないか。動けばできるのではないか。


 カウンセラーの言ったことは本当だった。おっくう感などという抽象的な思考に囚われて、具体的なことを考えれなかっただけではないか。


 自分の内面ばかりを見つめず、外に目を向けると、おっくう感とかゆううつ感とかは消えていく。テレビを観たり、新聞を読んだり、本を読んだり、料理をしたり。自分の内面以外のことを考えると、少しずつ、おっくう感とかゆううつ感が小さくなっていく。


 今回、久々に頓服を使って、落ち込んだけど、自分が自分で思っているより回復していることにあらためて気づいた。脳を葛藤させてしまったけど、おかげで、自分の視野が狭くなっていることに気付いた。


 もう、脳が葛藤することはないと思う。脳が葛藤するのは、視野が狭いからだとわかったからだ。


 おっくう感とゆううつ感にずっとアンテナを張り巡らして、動けなかったけど、これからは、そこから卒業して、自分の状態以外のことに目を向けていきたい。


 そうしているうちに、食べることもいろいろ改善してくるだろう。


 これからは狭くなった視野を広げていきたい。


 読んでいただきありがとうございました。


 

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