うつに逆らわない

 今日も起き上がると、ああ1日が始まるのだと憂鬱な気持ちに襲われる。その気持ちのまま、起き上がり、服を着替え、顔を洗い、1日が始まっていく。本当はさわやかな気持ちのまま目覚めたい。起きて、今日1日を明るい気持ちで始めたい。でも、なかなかそういうわけにいかない。無理にテンションを上げようとしても、苦しいだけだ。

 うつ病は気分の病気で、そして、脳の疾患だ。だから、自分の意志の力で気分を上げようとしても、それは無理だ。「もっと、やる気をださなければ」と気分を上向けようと無理するとかえって具合が悪くなったりする。

 うつ病で大事なのは、うつに逆らわないことだと思う。今の自分のできてないことより、できていることの方に目を向けて、「ああ、前よりいろんなことができるようになったな」と前向きにとらえて「自分は確実に回復している」とプラスにとらえることが、回復への近道のような気がする。

 晩御飯を作るのがおっくうなら、簡単にすませればいい。ちゃんと作らなければいけないと思うと「晩御飯も作れない」と自分を否定しまい、毎日これを繰り返していると、うつの回復が遅れるような気がする。

 できたことを自分でほめてあげる。これは簡単なようで、うつ病の渦中にいる人間には難しい。もともとの性格もあるが、うつ病の渦中にいるときは、どうしても、思考がマイナスになりがちで、前よりずっと良くなっていても、そのことよりも、できてないことを探して「自分はいつになったら、もっと良くなるのだろう」自己否定してしまう。この負のスパイラルがせっかくの回復を遅らせてしまう。うつに逆らわず「今はこれで十分だ」と自分を肯定しながら、できることを少しずつ増やしていくことが、実は回復への近道ではないかと思う。

 だから、今は「働きたい」という気持ちから「早く回復したい」と焦っている私は、どうしても、今できないことにばかり目がいってしまうけれど、それをやめて、今できていること、楽しめていること、夢中になれること、そういったことに目を向けて、「十分できている」「よくやっている」と自分を褒めることから始めたいと思う。

 晩御飯を作るのはおっくうだけど、精神科デイケアに行けて、文章も書けて、何とか独りで生きている自分を「よくやっているね」と自分で褒めてあげたい。たくさん、たくさん褒めてあげることで、うつに逆らわず、プラス思考をすることで、回復が早まる気がする。

 うつが良くなるには時間がかかる。時間が解決するも大きい。脳7の疾患なのだから、脳が自然に治癒していくのを待つ……そんなスタンスでいた方が回復も早い気がする。病気でなくてもよく「気の持ちよう」という。今、自分が、どのくらい回復しているのかはわからないけれど、悪くなっていないのはわかるから、後は脳の自然治癒力に任せて、あまり、焦らないことだと思う。今はまだ、仕事をする時期には来ていないのだと思う。

 このところ、どうしてもっと明るい気持ちなれないのだろうとか、もっとやる気が出ないのだろうとか、できないことばかりに目が行って「いつになったらもっと回復するのだろう」と焦っていたが、これからは、焦るのをやめたいと思う。マイナス思考、ぐるぐる思考をやめたいと思う。それこそがうつに逆らうことだからだ。

 今は今でいい。なんくるないさーだ。

 読んでいただきありがとうございました。

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