何をするのもおっくう
朝起起きると布団から出るのもおっくう、夕ご飯をどうするか考えるのもおっくう、うつは「おっくう感」という化け物に取りつかれたかのように、何をするのもおっくうにしてしまう。とはいえ、私は独り暮らしなので、他の家事ほったらかしにしても、3度の食事だけは、自分で何とかしなければならない。
一番状態が悪かったころ(うつの初期)は、どうやっていたか記憶がない。確か、冷凍パスタとかレトルトカレーとかで、しのいでいた気がする。
「死にたい」気持ちも強かったので、主治医には入院を勧められたが、どうしても入院は嫌で、何とかしのいで、入院せずにあの時期を乗り切ったが、今思うと、奇跡と言っていい。
うつ病の症状は、おっくう感、焦燥感、などに代表される。おっくうで何もできない自分に早く動けるようになりたいと焦る。焦燥感→おっくう感→焦燥感、という具合に、自分で自分の首を絞めて、どんどん状態が悪くなっていく。こうなった時にはもう脳内物質のバランスが崩れてしまっている。もはや自分の意志ではどうにもできないので、服薬により回復を目指すが、薬が効いてくるまでは、2週間以上はかかるので、その間、この地獄のスパイラルが続く。「動きたくない」というおっくう感と、「動かなくては」という焦燥感の負のスパイラル。
一体私はどうやってあのつらい時期を独りで乗り切ったのか、自分でも自分をすごいと思う。精神科デイケアで会った人たちはほとんど入院経験者なので、なおさら、自分は独り暮らしでよくこらえたなあと、驚く。
今も朝起きるとおっくう感が押し寄せる。そして、今日の晩ごはんは冷凍からあげだ。野菜はきゅうりを切ったり、もやしをおひたしにしたり、ミニトマトを洗ったり、こんなんでよし。とにかく、生き延びればよし。「死にたい」気持ちはどっかへ行ってしまった。独り暮らしだから誰にも文句を言われないから、おかずや野菜をタッパーのまま机に並べる。残りご飯のタッパーもチンしてそのまま並べる。机の上がタッパーでいっぱいになる。これが、私の夕ご飯だ。
別に独りだから、素敵にお皿に盛りつける必要もない。食べれればそれでいいのだ。
おっくう感はうつの症状だから、回復してきてもなかなかなくならない。それは仕方ない。焦燥感もうつの症状だから、仕事を早くできるようになりたいと焦っても仕方ない。それでも、こうして文章が書けるところまで回復した。ものすごい前進だ。
楽しいことは治療だ。今、こうして文章を書いていると楽しい。これも治療なのかもしれない。
うつにおっくう感と焦燥感はつきものだから、今はこれでいい。少しでも少なくなると嬉しいけど。まあ、まだ時間がかかるんだろう。
急がば回れ。回り道にはまた違った景色があるんだろう。
読んでくださってありがとうございました。
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