「死にたい」から「生きたい」へ

 昨日、俳優の三浦春馬さんが、自殺するというショッキングなできごとがあった。まだ30歳の若さで、どうして、死を選んでしまったのか、うつ病だったのだろうかと、それなら、何とか彼を救うことはできなかったのかと、胸を痛めた。

 

 私も、今、3度目のうつ病の治療中だが「死にたい」という気持ちはなくなった。なんとかして生き延びたいと願っている。そのために、今は1週間にに3回精神科デイケアに通い、就労に向けて、日々暮らしている。

 

 実は、私は今回、うつ病になるまで、心のどこかで「早く死にたい」という気持ちを常に持って生きていた。今の現実を受け止めれなかったからである。そして、その現実を、両親のせいにしていた。いわゆる自分はアダルトチルドレンで、母親が強引に進めた見合いで結婚したせいで、こんなことになったのだとずっと母親のことを憎んでいた。そして、そんな母親に何も言えなかった父も憎んでいた。

 

 いくつか仕事をしたが、うまくいかず、両親とは二年くらい、話をしない期間があった。その間、私は無職のまま、カウンセリングを受けながら過ごした。カウンセリングで両親への憎しみを吐き出しても、吐き出しても、なかなか自分の中の「死にたい」気持ちは消えず、今回、三度目のうつ病になってから、その過程で、初めて「死にたい」という気持ちがなくなった。

 

 三度目のうつ病になって、毎日父と電話をするようになって、なぜか、もう過去のことはいいやと思えるようになった。母親も、父親も十分、私のことを心配し、経済的にも精神的にも援助してくれている、その気持ちにこたえるためには私が元気になるしかない。過去のことにとらわれて、現実を受け入れずに、いつまでも逃げるのはやめて、治るために、できることをしよう。そう思った。そうしたら、それまで私の心を支配していた、過去のつらいできごとが、すーっと、川が海に流れ出るように、去っていった。今は、両親に対しては、感謝しかない。こうして、私は両親と和解し、そうしたら、気持ちがすごく楽になった。「自分にはもう未来なんてない。だから死にたい」という気持ちから「なんとかして、病気を治して、今度こそ元気に働けるようになりたい」という思いに変わった。

 

 三度もうつ病になったことは、悔しいけれど、「早く死にたい」となげやりだった、私の気持ちが「生きたい」という気持ちに変わったこと、そして両親との関係を修復できたことは、三度目のうつ病のおかげだと感謝している。

 

 読んでくださった方、ありがとうございました。

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