平均少女の恋。

つぐみ

第1話 平均少女からの急降下!?

「顔、スタイル、成績、そして名前までもが、全て平均なロボットミサ吉で~す!」


「…っと、何でよ!」


こんちわ。

私、渡辺美紗、高校1年生です。


あ、ちなみにロボットじゃないからね。

これは私の友達が、ただからかって言ってるだけだから。


ちなみに友達は坂梨乃。

「坂(さか)」って書いて「ばん」って読むんだって!


あぁすみません。

話がそれちゃいました。

私は_って1回言ったか…


とにかく友達にこう言われても仕方がないの。

本当に全て平均だから。


「お前らうるせえ…」


「!?」


突然聞こえた声に吃驚した私は声が聞こえた方に振り返ると、もっと吃驚した。


理由?

それはこの国の漫画以外にこんな顔が整った人がいるんだって思ったから。


まるで白馬に乗った王子様みたい…

んん!?

だけど私のイメージする白馬の王子様は

「お前らうるせえ…」

みたいなことは言わないぞ…!


ていうか、その前に__



「どなた様ですか!?」


すると仮白馬の王子様は少し距離を詰めて、


「は?俺のこと知らないの?」


え、この態度、白馬の王子様から遠のいて…


「はあ…はい。」


するといきなり肩を組まれると、綺麗な口が開いた。


「今日からこいつ俺の女だから。」


__キゃーーー!!


その一言で女子の声が教室中に響いた。


彼女かあ~

え、彼女と彼氏ってことは、あんなことしたり、こんなことしたり…

よく少女漫画見て妄想してたわあ。


って…

ん!?


「わ、わわわわわ私が彼女!?」


思わず何度も噛んでしまう。


だって私がこの人の彼女とかありえない。

この人だったらもっといるでしょ!?

ほらっ、こう綾〇は〇かさんみたいな人が!

なのに何で私!?

絶対裏があるわ!


「そうだ。お前が俺の彼女だ。何か文句あるか?」


「それはありますよっ!

お断りです!ごめんなさい!」


そうだ…

顔は確かに誰もが認める美形だが、こんな人を彼氏にしたら、私はきっと奴隷扱いをされ、過労で…

この男相当『俺様』って感じだし…


『はあ?この顔が見えないのか?』


そういうとそっと私の顔に顔を近づけてきた。

後3㎝近づけば、肌と肌は触れ合うだろう。


それにしても綺麗な顔だなぁ…


細長の切れ目、シュッとした輪郭、鼻筋の通った鼻、形の綺麗な唇、顎。


こんな顔、見たことない。

もしこの人が芸能界に入ったら。すぐ人気が出てしまうだろう。



「そ、それは綺麗なお顔ですけど…」


「ならどうして付き合えない?」


「だってそんなのおかしいじゃないですか!?

まだ私達あったばかりなんですよ!

それに何で私が貴方の名前を知らないことくらいで付き合わなければならないんですか!?

絶対何か企んでますよね?」


「別に企んでなんかねぇよ。

俺はあの日からお前の事がす、すすす」


「す?」


「するめに見えたんだよ!」


「はぁ?」



一瞬空気が凍った気がした。

いや確実に凍った。

北極並だ、いや南極並だろう。


するめ……

何で私がするめ!?



「もう失礼します!」



私は男の顔を睨みつけると学校の庭に向かった。


それにしても綺麗な顔だった…って私惑わされるな!

何で私がするめなのよ!

せめて干す前のイカにしてくれ!!

あ、それはするめか。



「しかし何で、こう私は平均なのかねぇー」



―――ドンッ



「いててて…」



ボーっとしていた私は誰かとぶつかってしまった。

これは確実に私が悪い。



「あのっ、すみま―――」



思わず言葉を失った。


そこにはいかにも厳つい男がいたのだ。


や、ヤンキー!?



「ッ………!」



男は私を睨みつけると近づいてきた。


もう私の人生はここで終わるだろう。

あぁ、お母さんお父さん、私平凡だったけど楽しかったよ。

ありが―――



「お前…」



せめて、せめて最後の「ありがとう」くらい言わせて―――



「は、はひっ…!」


「最高だなーーーー!!」



は?


思わず目をパチパチしてしまう。


何でヤンキー男が私の携帯に付いているウサギのストラップを握りしめているのだ?

しかもとても目がキラキラしているじゃないか!



「あのぉー……」


「あぁ、すまん…!

俺は椎名竜だ!」


「は…はぁ…その先程はすみませんでした!」



思い切り頭を下げるとヤンキー男、椎名は私の肩をつかんだ。



「!」


「そんなことは別にいいんだ!かまわない!

でもお詫びにと言ってこれをもらっていいか?」



椎名はウサギをまだ握りしめていた。



「どうぞ…」



そう言っとかないと殺されそうな気がするのだ。

気に入っていたけど仕方がない。



「うっしゃあああ!!」


「!」


「じゃあまたな!」



そう言うと椎名は私の目の前から消えた。

そしてその場から数時間、放心状態で固まっていたいた私は何だったのだろうか…



継美



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平均少女の恋。 つぐみ @tugumi0917

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