『エミリーとお菓子と魔法使い』K・Sメッセ
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第1回気になるどープロジェクト応募作品
1 作品タイトル『エミリーとお菓子と魔法使い』
作者名:K・Sメッセ
2 作品のリンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894436098
3 尾崎が作品を読んだ日:
2020年 7月 28日
4 メモ(感じたこと、作品内容など):
本日から2周目に入っています。こちらの作者さんは2作品目の評価になります。下に1作品目のリンクも貼っておきますね。
① タイトルについては、可もなく不可もなくというか。ジブリ作品のタイトルみたいですね。
やっぱり児童文学的なイメージが強いけど、作者さんはこういうのが好きなんでしょうね。惹かれるかといえば否、かな。逆に誰を対象に想定しているかも情報が無いので、とりあえず一人の大人の男性読者という目線で、興味は湧かない。
『魔法使い』というワードに関しては『魔法使いの嫁』でぎりぎり興味が湧いていたくらいですね。本作はどう見てもポップすぎるので、よほど売れているタイトルとかでなければ、手に取らないかな。
キャッチコピーは良いと思います。なんか、未知のものに触れたような可愛らしい王女様のイメージが浮かびます。女の子が喜んでいる姿は、強いですね。
あらすじは……ここでも読点・句読点のクセが出てますね。
クセが強い。
あと最初の『デザートとは、食後に食べる果物のこと。』というのは豆知識(?)を披露しているような感じで終わっていて、後の文章とのつながりがよくわからない。
前後のつながり、という点で言うと、その後のつながりもちょっと唐突な感じ。
『その王国にはお菓子というものがなくて、その存在を王女が知る』ということと、『祖父である前王が謎の失踪をし、王女が自ら彼を探す旅に出るということ』に、何の脈略も無いんですよね。
別にいいけど……お菓子と王女の物語がメインなのか、前王を探すのがメインなのか、このあらすじだけだとわからない。いや、お菓子なんだろうけどさ。もうちょっと何か書けばわかるのに。
今のままだと、ただの『前王さがして3千里』ですよ。タイトルとキャッチコピーで『お菓子』押ししてるだけに、よりいっそうズッコケます。
「私、今朝久しぶりに体重測ったら5キロも増えてたの、マジびっくり!」
「てゆーかカラオケ行かない?」
みたいな女子高生の会話とおんなじですよ。
とりあえず、3要素の掴みは弱いです。この時点で読者としては読まないかなあ。
② では上記を抜きに第1話へ進みます。
『王女の自覚』という部分からのスタートですね。
また出ましたね。デザートとはのくだり。そして脈略なく始まる王女の誕生のお話。
どうしてもこだわってるなら構いませんが、デザートのくだりは必要ないと思います。
接続詞が時々抜けますね。脱字注意です。『好奇心旺盛女の子』はちょっとおかしい。『好奇心旺盛な女の子』かな。『好奇心旺盛女子』なら別だと思うけど、この作風には合わないし、脱字として処理してほしいですね。
あと、『誕生日お祝い』とか。『誕生祝い』なら一連の単語としても成立するけど、儀式としてなら『誕生日のお祝い』ですよね。
言うまでもないと思うけど、一応お知らせでした。
エミリーの誕生から性格の描写、どんな女の子になっていくのか、そしてしきたり。その辺りからスタートするのですが、わりと引っ張られますね。
子どもが成長していく過程というのは、結構見守ってしまうものなのでしょうか。意外な発見です。
とはいえやはり、本文でも唐突な展開が見られますね。
引用
『城内の専属料理人が作る料理は、美味しいのは美味しいのだが、エミリーは前王の作った料理と比べると、若干何かが足りないような気がしていた。
「お父様……。お父様は何故、お祖父様の料理を食べないの? お城の人が作る料理より、私は、お祖父様の料理の方が美味しいと思うけど、何で食べないの?」
今までにエミリーは王に叱られたことは何度もあった。しかし、今まで見たこともない激怒の表情で、王は椅子から立ち上がり。』
この一連のくだりなんかがその代表例でしょうか。
前王の料理と料理人の料理を比較しているところから、いきなり現在の王である父が祖父の料理を食べないことに疑問をぶつけて、そして怒られて……という流れです。
〝前王の料理を、父である王はなぜか一切口にしない。〟
こういった一文が行間に挿入されるだけでも違うと思うのですが……この唐突感は、気づいていただけますかね。
どうして王がこんなに怒るのかという点は、第1話で最も気になる要素なので、そのあたりをカバーしてほしい。
ちなみにお菓子と前王の失踪というのは、どうやらこのあたりで繋がるようです。
だったらあらすじでも『食材探しによく行く前王が、そのまま失踪した』のような断わりが欲しいかなあ。
王様のあいさつにある『あの戦い』って何なのだろう。これも唐突な感じがする。
あと『
それに意味合いもこの場合は違うかも。適切な言葉がうかばないけど、要はしきたりによって12年間城内で生活することを強制されていたわけで、虐げられていたのとは別だと思う。
12歳から13歳の一年間の自由期間って、国の決まりじゃなくて王様との約束とかそういう次元だったんですね。私は誤解していました。
『王女の自覚』全部を通して読みました。最後が独特の締め方で、この締めの部分単体だけ読むと、次話が気になりますね。
主人公の王女と父である王様の間に不和が生じたまま、何もかもモヤモヤした状態での終わりなので、なんだか良い意味で気持ち悪くて、次の展開での解決を求めたくなります。
③ とはいえ総合的に見て、『王女の自覚』から先を読みたいかと言えば、ちょっと読みたくないですね。
すみませんが読んでいる時の負荷の方が大きくて、読者としてはイライラの方が大きいし、あらすじを読んでも『王女の自覚』を読んでも、「もっと先をチェックしたいなあ」「本当のところはどんな話なのかなあ」という欲求が湧かないですね。
それを解決する方法があるとすれば……うーん、なんだろう。
とりあえず採点しますか。
5 この作品の続きが気になる度は……
…
……
…………
【20%】です!
では上記に対する解決策について。
私個人の考えでは、作者さんの気持ちの問題が関係すると思うんですよね。
本作を書いていた頃の作者さん自身が『本当にこの作品を誰かに読んでほしい』と思いながら書いていたのか。それを思い出すことから始めるといいのかなと思います。
場合によっては思い出しているうちに、
「あ、おれって別に読んでほしいと思ってなくて、ただ物語を書きたかっただけかも!」
というような、アート的な感覚で書いていたことに気づいたりすることもあります。
その場合は、誰かのために書いたものではないので、当然他者への配慮なんてないですし、自分が良ければいいのでリライトの必要も無いし、もちろん人気も必要無いし、人気になる可能性も低いですよね。
だとすれば今回の評価も必然。しょうがないです。
もし上記に該当するなあと思ったら、それがわかっただけでも企画に参加した価値がありますよ。
むしろ作者さんは、そのへんを確かめるために、過去作が自分にとってどんな位置づけにあるのかを確認するために、応募してくれたのかもしれないですね。良いことです。素晴らしいです。
この評価シートを読んでいただいている作者の皆さま。自分の作品について『書いてはみたものの、この作品は一体何者なのだ?』というような得体の知れない物体が生まれたような感覚って、味わったことがあるんじゃないでしょうか。
それが何者なのか──金の卵か、それとも自己表現の一つか、あるいは……ただの膿み出しか。自分のことは、なかなか自覚することが難しかったりするので、その確認のためにも、当企画はお役に立てるかもしれません。
6 読者のみなさまへ:
→ 本作はあまりおすすめしません。
とはいえ結局どんな話なの? という知的好奇心、探求心のある方は、ぜひこの先を確かめてみてください。
以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!
気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894436098
作者、K・Sメッセさんのもう1つの作品とその評価はこちら。
『アリスドリームストーリー』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893361917
『アリスドリームストーリー』に対する尾崎の評価
https://kakuyomu.jp/works/1177354054914254604/episodes/1177354054917202343
では、次の作品紹介をお楽しみに!
尾崎ゆうじでした!
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