☆『この世界に鍛冶屋はいらない』たかしゃん

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第1回気になるどープロジェクト応募作品


1 作品タイトル『この世界に鍛冶屋はいらない』

  作者名:たかしゃん


2 作品のリンクはこちら↓

 

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888522989


3 尾崎が作品を読んだ日: 


 2020年 7月 27日


4 メモ(感じたこと、作品内容など):


 この作者さんは、当企画に後から追加で入った方です。企画がスタートして評価を始めたばかりのころ、どんな感じになっていくのかもわからない時に連絡ノートで直接応募されまして。ちょうどすぐに1,2名のキャンセルがあったのは確認していたので、一番最後に回ってもらうことを条件に、特別OKしました。


 いまはOKしたのを軽く後悔しています。そもそも30人の定員が多かったなと思っているくらいです(とか言ってまたやりそう)。


 だから現在はもう応募されてもNGを出しますので、エントリーを希望する方は次回をお待ちください。ちゃんと事前に告知する予定です。


 前置き長くなりました。


 本作、★多めで評価が高いですね、楽しみです。


① タイトルとキャッチコピーは合わせ技でまあまあ目を引くんじゃないでしょうか。『婚姻』というワードについては、この使い方で合っているのかわからないというのと、実際のところストーリー上はどうなのかな、ということが少し気になるけど、逆に目を引くかも。


 これは私個人の感想だけど、あらすじにけっこう作品特有の固有名詞が多くて、内容はちゃんと読めばわかるんだけど、失礼ながらちょっと面倒くさいなあと思ってしまった。


 他の読者はどうかわからないけど、家業と子供は切り分けてしかるべきだと私は考えていて、このままあらすじを読むかぎりだと、『鍛冶屋の息子だから良い剣が打てて当たり前』という前提で書いているように読めた。ちょっとした反発を覚えた。


 加えて10歳だし、それこそ良い剣が打てないのは当たり前では? 


 と感じたのは私だけかな。だから、ユウトが意識高い系の子供だとか、そういうことがわかるといいんだけど……実際はどうなんでしょうか。



 『サラの婚姻を発表された』とあるんだけど、やっぱり『婚姻』に違和感があるんだよなあ。辞典を見るとイコールで『結婚』の説明になっていて、そこまで意味合いが変わんないように感じるんだけど……よければ後学のため、私に婚姻とする意味を教えていただけたら嬉しい。婚約としてもいいような気がするんだよなあ。皇族の結婚はそう表記することが多いとか? 本当に興味があります。


 それはともかく、内容は良いですね。ユウトに降りかかる困難があらすじを読むだけで伝わってくる。トラブルの大きさも、ちょうどよく無理難題でいいですね。


 人物紹介もしっかりしてますね。


 固有名詞が多いので、それを別の一般的な言葉に変換しても問題ない箇所があれば、ちょっと適宜入れ替えてほしいなと思います。あと『婚姻』と。それにユウトがなんで10歳でそんな自信を無くすの? というところがフォローできれば、私は文句ないです。


 というか、面白そうですね。総合して、現時点で第1話を読みたいかどうかは、8:2くらい。



② まえがきから始まるんですね。『読みのしるべ』ですか。


 ここには、作品全体の構造と、読者によっては『大本編』の第17話から読むのが良いというアドバイスが記されていました。時間の無い方向けということですね。


 ……なんだ? この読者への配慮は。サービス精神は。


 この『読みの導』といい、第17話の前に並ぶ全16話が、『何かお困りですか?』のような役割を果たしてくれるらしい。


 凝ってるなあ。しかも自信がすごい。楽しみだけど、どうしようかな。


 困ったので、プロローグと第17話を両方読んでみよう。


 まずプロローグから。


 いやあ、期待感バイアスがかかっている可能性もありますが、がつんと入り込みますね。


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 台詞空のスタートで「『こんなこと』って、どんなことが起きてるの?」と読者に思わせつつ、すかさず舞台をさっと見せ、現代日本とは違う世界であることを描写で紹介し、その場所にてハードな事件が起きていることも描写、その場所がかつてどんなところだったかという回想的な描写がさらっと挿入されることで、その状況が普段は当たり前じゃないことがわかる。


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 ファンタジーの壁で「うがーっ」てなってる作者さん、上の === 部分はかなり参考になると思います!


 状況としては、本能寺の変の織田信長的なイメージでしょうか。欧州の歴史に明るくないので、和風なイメージですみません。


 さてあらすじは仕方ないとしても、よければ本文の固有名詞は怠らずにルビを振ってほしいなと感じました。『詠唱起句』とか。ちょっとリーダビリティが悪くなるので、その分負担を感じるかな。こうやって見ると、ネットの文章って目にけっこう負荷が強いなあ。できるかぎりそういう配慮はしてくれたほうがありがたいかも。


 あと、


『同期とはいえ貴族様の考えることは分からん!』


 という台詞なんですが、明らかに首謀者的な、明智光秀的な敵役を指し、「貴族様」という呼び方が出るのは、皮肉にしてもちょっと違和感があったので、せめて「貴族」、あるいはもっと何か別のしっくりくる蔑称があれば、リアルな感じがした。難しいですね。貴族ども、とか。


 プロローグ読み終えました。どうしても次話が読みたいとまではいきませんが、なんとまあ優秀な出だしなのだろうと感じました。


 私自身、不思議と信頼しながら読んでいることが自覚できたので、やはり一つレベルが上なのかなと感じました。すごい。


③ というわけで、序編の第1話もどんな感じか読みたかったのですが、時間も無いので、予定通り代わりに第17話から読もうと思います。


 あれ『読みの導』では『大本編』でしたがこちらは『重本編』ですね。どちらで統一かわかりませんが、お知らせしておきます。


 では第17話目から入ります。


 なるほど。前の第16話からの延長という形でスタートというわけですね。


 ちょっとイメージと違いましたね……。なるほど、それであらすじやキャッチコピーを詳しく、ということなんですね。


 好意的に捉えれば、ネット投稿ならではの新しい形ですね。逆に批判的かつ従来の価値観で見ると(いわゆる小説かくあるべきみたいな)、第17話からいきなり読んで成立するようになっているとは言い難いので、邪道でしょうか。


 ジレンマですね。例えばプロローグで絶賛したような舞台紹介や、キャラクターのイメージだとかが、この冒頭で説明できていないので、結局それらを知りたければ必然的に他のエピソードを参照せねばならず、物語に入りきれない。


 これは従来の小説の形式を愛する人たちにとっては、すごいムカつくと思います。


 しかも第16話に振り返れば大方わかるのかといえば、そんなこともないですから……。


 結局、正直にプロローグから読んだ方がいいんじゃない? という話にもなりそう。


 でもそうすると、メインストーリーの外側にある部分が長くなってしまう、と。


 うーん……。とりあえず通して読みます。


 ところどころ脱字がありますね。あと、ストーリーが良ければいいかと思って目をつむっていましたが、執筆の勢いに押されてか、句読点が極端に少なく、読んでいて結構きつい。各議員たちもたくさん紹介されるようなシークエンスなので、ちょっと読者の目を酷使させないでほしい。


 あと、パン屋の女の子が出てきたところの描写がいまいちよくわからなかったです。北方領土の方々の馬車は、もう主人公の目の前を通過しており、女の子もそっちの方で追いかけているように思っていたら、いきなり(僕が)彼女の侵入を止めた──というちょっと混乱する描写になっていたので、一度見直ししてほしいです。


 ※ちなみにパン屋の女の子が何者かをわかっていたのは、私が第16話をちらっと読んだからです。もし読んでなければ「え、『さっきのパン屋の女の子』って何?」と、けっこう気になっていたと思います。


 うん、しかし全体を通して、表現力というか演出力が素晴らしいですね。感情をあおるような台詞だとか、緊迫感の表現だとか、私はちゃんと作者さんの狙いどおりに、ピリピリとした空気を味わっていました。


 引きは素晴らしい。18話も読みたくなりますね。


 ただし、やっぱり17話から読ませていいのか? という疑問は湧きます。そんなに16話までが問題ありなのでしょうか?


 個人的には、自信を持ってプロローグから読ませられるよう仕掛けを施していいんじゃないかなあと感じました。


 あらすじなどを読んでいたとしても、やっぱり初見で17話から読むとしたら、序盤が掴みになっていないぶん、なんか情報が頭に入ってこない。


 そう、第17話は全体的に「何を言ってるのかなあ? これって重要なのかなあ?」という状態が生じやすく、「じゃあ気になったところで、『サラの身体能力』について振り返って調べよう!」と思っても、16話のうちのどれを参照すればいいの? という戸惑いが生まれますよね。


 で、振り返っている間に本筋に抱いていたワクワクが冷めてしまう。


 ゲームブックのような形式の本を読むことに抵抗がない人は、問題ないかもだけど……横着人種な私のような人間が読者だと、17話以降の文末に『サラと狼→〇話』のような索引を付けたりするくらいでないと、このシステムは崩壊すると思います。


 私はさらなる改善が必要だと考えます。

 

 本文に関してはプロローグ、17話ともに面白かったです。


 一応構成のほどが気になって第1話も読んだのですが、時間がなかったので少し流しました。うーん、ざっと読む限りではプロローグや17話ほどの引っ張りは感じられないので


「えー……完全に前説というかビフォーストーリーみたいなもんなのかな……」


 と、ちょっとテンションが下がりました。


 ワクワクさせてくれるような印象でもないですし……。

 

 というわけで、本作と作者さんの意欲的な挑戦に関しての、私の感想はそんなところです。参考になればよいですが、今後どうするかは作者さん次第ですね。


 本作はけっこういろいろ迷いながらメモしていたので、わりと時間がかかってしまいました。


 それでは採点に入ります。



5 この作品の続きが気になる度は……

 

 …


 ……


 …………


 【90%】です!


 続きが気になったし、掴みは良しと判断しました。


 ただ、システムが完全にうまく機能しているかと言えば別で、それを踏まえると中途半端な評価になってしまいました。


6 読者のみなさまへ:


 →面白いだろうと思います。特にファンタジー好きは、読んでみても良いかも。あらすじの人物紹介およびプロローグから16話までをざーーーっと流し読みして擦りこんでから17話を読み始めると、良い感じに楽しめそうです。世界観の設定など、クオリティはたかしゃんだと思います。


 以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!

 気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!


https://kakuyomu.jp/works/1177354054888522989


 では、次の作品紹介をお楽しみに!


 尾崎ゆうじでした!

 

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