『罪の女の歌を歌おう、コカ畑の木陰で、カリブの波間で』久里 琳
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第1回気になるどープロジェクト応募作品
1 作品タイトル『罪の女の歌を歌おう、コカ畑の木陰で、カリブの波間で』
作者名:久里 琳
2 作品のリンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054896752499
3 尾崎が作品を読んだ日:
2020年 7月 16日
4 メモ(感じたこと、作品内容など):
①(タイトル、キャッチコピー、あらすじで読者を掴める?)
まず、作者さんから要望があったので、それを中心に今日は進めたいと思います。作者さんに直接宛てる感じなので、なんとなく敬語で。普段は本を手に取った読者がメモを取ったこうなる、というイメージで書いてますが、なんか今回は対面しているイメージでしょうか。
では、前置きはそこそこに始めましょう。
最初に言うと、面白い作品だと思います。とても魅力がある。
(1)作者さんいわく、当作品の対象読者は指定なし、ということでした。でも、読み進めるかぎりでは、中高生以上の男性向けの作品かなあと感じました。女性でも好む方はいるかもしれませんが、そっちは例外だと思って、男性主軸を念頭に入れてほしいです。
これは、男性が好む描写やキャラクターと、女性が好むそれが異なることがままあるからです。
次に、質問にはありませんでしたが、タイトルについて、難しいところだなと思いました。
『罪の女の歌を~』は、あまり惹かれませんが、中間の『コカ畑』や『カリブ』が目を引きました(コカは人に寄るのかな?)。海賊のような、外国のならず者たちの物語が勝手に浮かぶので、作品の内容もそんな感じかと予想され、興味を持つ読者もいるでしょう。
私はタイトルよりもあらすじや本文で魅力を感じました。『罪の女』というワードが意外と刺さらなかったんです。
(2)それではお待たせしました。キャッチコピーについて。
悩んでいるようですが、なかなか良いと思いますよ。
初代のキャッチコピーについてもお聞きしましたが、断然こちらがいい。ここで読者さんに公開するのがはばかられるほどダメ笑
私はカクヨムでは、キャッチコピーの方がタイトルよりも力を持っていると思うので、大事にしてほしいところ。
ただし、このキャッチコピーも、なんとなく古臭さがあって、ピンとこないんですよね。一番反応したのは『毒婦』というワード。好きですよ。妖艶な女性のイメージがそれだけで感じられて、大人な作品を想像させます。
『あの女、アレックス』って小説もありますが、内容によりやむを得ず付けたタイトルだと察します。本当なら、出版社さんはもっと違うタイトルにしたかったはず。
作者さんが考えたキャッチコピーは、街の男が彼女を指して紹介している形なので、『あんな毒婦、見たことねえ…』くらいでも良いかも。
どんな女なんだよこのやろう……と、期待しながら読者が誘われていくかもしれません。
(3)次に、あらすじのちょうどいいあんばいがわからない、というのは、きっと多くの作者さんがなやむところでしょう。
私が感じたところでは、今のところはあまりちょどいい感じではないです。
本作の掴み3要素は、総じて「なんか惜しいなあ……」という印象でした。
どちらかと言うと、あらすじは作品全体のディティールを説明しつつ(5W2H的な要素などで、なんとなくの雰囲気を読者に提示しつつ)、「いまこの瞬間、その舞台でこんなことが起こりそう、第1話目を読んで確かめたくならない?」と促し、本文の最初を読ませることが目的と考えるといいです。(コンクール用のあらすじとは違うので注意)
あらすじの理想は、より短い文章で、期待度を膨らませつつ、さっさと1話目を読ませることでしょう。
本作は文章量としてはちょうどいいくらいだと思います。ただ不足があるとすれば、WHAT的な物語の目的(何をするのか)がうかがえないのと、それが伝わってこない=主人公となる存在が誰なのかがわからない、ということ。
誰が何を目指して何をする物語なのかが提示されないと、読者は「じゃあ1話目読んでみよ」というアクションに移らないです。
ちなみに非合法の注意書きがあらすじに記載されているのは、読者によると思いますが私は好みです。というか、書き方が一味違うからか「ああ常識というか、細かいことを考えてる作者さんか」と安心感を覚えました。
というわけで、企画趣旨に沿って言うと、いち読者としては、上記3要素では掴まれず、たぶん読まないかなと思いました。
もしかしたら参考になるかも、ということでずっと非公開にしていた拙著『勇者ツヨシ、踏み出せ!』という作品を公開しなおしました。現時点では失敗作で、問題となる箇所もわかるのですが、全然リライトできていないので、嫌になって非公開に。
でもこの作品、書き始めた当初毎日投稿をしまして、特に宣伝をして歩くこともありませんでしたが、すぐに訪問者があり、なんと第1話にぽこぽことハートが付いたのです。
つまり異世界モノとかで検索され、タイトルかキャッチコピーが目を引き、第1話を読もうと思い、そして一般的なあらすじより短い第1話に、読者さんが期待してくれたという意味ですから(作者フォロワー0でしたし)。
もしもヒントが得られたらと思い、恥ずかしながら載せましたので、よければ参考までに。
②(第1話は?)
(4)ご自分の文章について、率直にどう感じるかというのが作者さんの最後の質問でしたが、私は第1話の文章を読んで、とても良いと思いました。どこが脱線してるのかな? と首をひねっていました。むしろ良識的で、読者を意識しながら書いているように思えます。
結果、2話目まで読みました。
思ったのは、2話目のマカレーナの女王という印象を地の文で紹介するところは、余計な脱線かなと感じました。実際には女王は比喩なのだし、視点の問題もあって、何か説明されても入ってこない。
登場していきなり、その女王たる一片を象徴する出来事があれば、それでいいと思いました。彼女が女王的なのは、作者以外のキャラクターたちに語ってもらうほうが得策。
出来事の例としては、血走った目の老人とかが、マカレーナに魅せられてよろよろ近づいて行って、他の男たちに「じじい、やめろ。あの女はやべえ」とか言って、取り押さえるとか。
マカレーナの設定についてはわからないのですが、場合によってはじじいを蹴飛ばして海に落とすとか。アレを掴んで握り失神させるとか。
③ 2話目まで読んだといいつつ、結局のところじつは第1話を読み切ったところで、読者としては続きを読もうと感じなかったんですよね。
大きな理由は2つで、1つは冒頭のダニエリの台詞が嫌いだなあと思ったこと。「痛い、離して!」とか「いやん!」だけでもいいかなと。
2つめは、各話の終わり方がどうも悪い。第1話で言えば、メインヒロインがどん、と登場して盛り上がってるところで、彼女が一言喋って終わり(しかも次話に促すような内容でもない)、というのが不完全燃焼。
第2話も同様で、マカレーナが裏社会の有名人の男と盟友だという話が出て、その男の紹介だけで終わる。ちょっと露骨でもいいから引っ張れるような箇所で終わればいいのに、と思いました。
試食品を食べさせて、商品説明もして、最後に「いかがですか?」と言わない販売員のような感じ。一見控えめだけど、そのせいで買わずに去るお客さんは多い。読者も同じ。
日常系のアニメでさえ、ちゃんと次回予告もしてますから。魅せるところは魅せたあとで、各話の最後は次話を期待するようなところで切ってほしいです。
想定していた文量より長くなりました。これからもっと削らないとなあ。
では、採点に入ります。
5 この作品の続きが気になる度は……
…
……
…………
【55%】です!
質問や悩みに応じる形だったのであれこれ書きましたが、作品の魅力はいっぱいで、細かいところが磨かれれば、3、4話と読まざるを得なかったでしょう。こういう世界観、けっこう好きなんですよね。漫画のブラックラグーンとか。
ただ問題は、こういう世界観って格好いいところは徹底して格好よくないとすぐ冷めちゃうので、脇役の台詞ひとつとってもらしくなるよう注意てほしいところ。
間違っても、ギャグで『気円斬!』とか入れたら駄目ですよ。
6 読者のみなさまへ:
→ 主役が毒婦、がそそります。男性諸氏で、ならず者的な世界観が好きな方は、ちょっと目を通してみてください。非日常感と、性欲がそっと刺激されるかも。(読んだ限りでは、下品なエロ描写はないので、配慮されていると思います)
以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!
気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054896752499
では、次の作品紹介をお楽しみに!
尾崎ゆうじでした!
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