第3話 唐突な2日目
2日目の学校は、初日の昨日よりざわついていた。
なぜなら、学校内でも噂の面倒な人が来ているらしい。
しかし、そんな事など気にする様子もない男子生徒が本を読みながら近寄ってきた生徒の話を聞いていた。
「まさか、高校生活始まってそうそう早くもピンチになるなんて……」
「そんなピンチな状況か? ただ噂していた人が3人来ただけだろ?」
「目をつけられてカツアゲとかされたらどうするんだよ!」
「変に気にしなければどうもされないだろ? それに、朝から来たなら、意外と真面目なんじゃないか?」
「確かに、そうだけどよ……」
勇司の視線の先には、真面目に席に座っている噂の3人が居た。
「なら、気にしなければ大丈夫だ。それと、そろそろ時間だぞ?」
正面の黒板の側にある壁掛けの時計がホームルームの始まる時間を示している。
「やばっ! とりあえず、また休み時間でも話そうぜ」
「分かった分かった」
慌ただしく勇司は、自分の席に戻って行く。
すぐに開始のチャイムが鳴り、静になった教室の窓の外を眺める。
今日は、太陽が見え隠れするほど雲がいくつか見える天気だ。
▽▽▽▽▽
午前の授業は、特に噂の3人が目立って何かをするような事はなく、昼休みまで時間が流れていった。
「ありえない……」
屋上のフェンス付近でペットボトルのお茶片手に勇司が呟く。
「何が?」
「あの3人が真面目に授業を受けているんだぞ! 何か起こるのが普通だろ?」
「噂通りじゃなく、普通に真面目だった事なんじゃないのか?」
「そうなのかなぁ……」
考え事を始めた勇司の右手が隣にある弁当箱に近付くが、軽く手で払う。
「どさくさに紛れて人の昼食に手を出すな」
「バレてたか~。そういやその弁当手作りか?」
「そうだな」
「誰の手作り?」
目線がいつもと違い、答えによっては何やら嫌な予感がする。
だが、ここは下手な嘘よりも正直に言う事が面倒な事にならず楽だろう。
「自分の手作りだが?」
「お前料理とか出来たのかよ!」
「まぁ、人並みには」
「へぇ~今度俺に教えてくれよ」
「なぜ?」
「そりゃあ、料理出来た方が食費も浮くしな」
「本当にか?」
今度は先ほど勇司がやったような目を向けてみる。
沈黙の時間がしばらく流れていると、勇司がさすがに降参したらしく正直に話す。
「嘘です。料理出来る男とかモテるんじゃねって思いました」
「確かに不便はしないし、教えるぐらいなら出来る」
「まじで! 今度お前の家に行っていい?」
「構わないが?」
「やったぜ!」
ガッツポーズをして喜ぶ勇司に家の掃除をしておこうと思うのだった。
高校2年の僕達 悠々自適にマイペース @anikisan
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