第10話 レオーネ②

レオーネのメンバー全員から異能力研究会を潰すことの承諾を得たあと、俺は家に帰り、大和に今日会ったことをすべて話した。


 昔の仲間の裏社会のチンピラ集団、レオーネの元へ行き、力を貸してもらえることになったこと。その代わりに俺は再びレオーネの一員になったこと。大和は真剣な表情で俺の話を聞いていた。


「じゃあ、ハルはまたレオーネの副リーダーとして活動していくってこと?」


「いや、俺が副リーダーだったのは昔の話だ。俺が抜けてから一年以上経っているし、その間はキスケが新しい副リーダーとしてレオーネは上手く活動していた。今さらまた俺が副リーダーになっても他のメンバーが困惑するだけだから今の副リーダーはキスケのままだよ。俺はただのレオーネの一員になっただけ」


「なるほどね、それでレオーネって普段何をしているの? そのリンさんって人とかはレオーネで活動してお金を稼いでるんでしょ?」


 俺は何を話すべきか迷った。レオーネ、もとい裏組織の活動内容は簡単に言ってしまえば何でも屋だ。


 依頼人から仕事を受ければ犯罪行為も普通にやる。もちろん犯罪まがいの依頼を受けた場合はメンバー全員で話し合い、誰か一人でも反対意見の者が出れば決してやらない。


 レオーネの中でのルールはたった一つだけであり、それはどんな相手だろうと絶対に命は取らないことである。しかしどれだけ綺麗ごとを言おうと、やっていることは絶対に正義とは言えないのだった。


「話したくないなら話さなくても大丈夫だよ。ハルが昔レオーネでどんなことをしていたのかは知らないけど、今ハルは私のことを思って行動してくれているのは分かっているから」


 大和は俺に優しく微笑みかける。


 彼女に気を遣わせてしまった。俺は自分の不甲斐なさを感じながらも、結局大和に本当のことを告げることはできなかった。


 今日、レオーネのメンバーに戻った俺はこれからどうするかの作戦を話し合った。


 五月一日、二週間後は初めて異能力研究会に乗り込む日である。


 異能力研究会は国内のいろんなところに大小様々な研究施設があり、その日はそのうちの一つを潰しに行くのだ。施設によって研究内容は異なり、どこの研究施設で大和の異能力を悪用しようとしているのかは分からない。もしかしたら二週間後乗り込むところがそうかもしれないし、最後の一つになるまで分からない可能性だってある。どちらにせよこれから大変な日々が待ち構えているのは明らかだ。


 俺は二週間後のことを考えながら、眠りについたのだった。


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異能力者たち @tamaneginegio

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