ストレス解放とは?


 〈ストレスはどうするものか〉

 現代社会はストレス社会ですから、良いか悪いか殊にストレスに関する表現は充実しています。そんな中、先日ストレス発散やストレス解消と言った見慣れた表現だけではなく、新たに「ストレス解放」と言う表現を見つけました。私はこの表現を初めて見たものですから少し違和感があるため、今回調査の対象にしてみることにしました。

 

 さあ、今回はいつもと少し趣を異にして、ストレス解放の意味ではなく、何故ストレス解放と言う表現が出てきたかを探っていきます。その為に、いくらかストレスに関する表現をまとめてきましたので、一通り眺めてください。


1.能動表現(ストレスをどうするか)

発散する、解消する、、ケアする、ストレスを無くす、ストレスを減らす、ストレスを溜める、ストレスを与える、ストレスを和らげる、ストレスから逃げる、ストレスとうまく付き合う、ストレスと向かい合う、ストレスを上手に発散する、ストレスをかける

2.受動表現(ストレスがどうなるか)

ストレスがある、ストレスが爆発する、ストレスに強い、ストレスに弱い、ストレスが加算する、ストレスを感じる、ストレスを抱える、ストレスを受ける

3.名詞表現

ストレス対策、ストレス反応、ストレス発散、ストレス解消、ストレス軽減、ストレス回避、ストレス源、ストレス(は)大敵、ストレスフリー、ノンストレス、ストレスマックス


 ここで面白いのが、1.の「ケアする、逃げる、うまく付き合う、向かい合う」や2.「ストレスを抱える」、そして3.の「ストレス大敵」です。いずれもどこかストレスが全く無機質なものではなく、むしろ擬人化されているように見えませんか? 私はこの、ストレスの擬人化(あるいは怪物化)こそ、「ストレスを解放する」なんていう表現を生み出した要因だと考えています。



 〈生き物のようなストレス〉

 じゃあなぜストレスがただの「物」ではないようにとらえられているのかですが……、そればっかりはよくわかりません。ただ最初に言いました通り、現代社会はストレスにまみれています。ストレスと言う悪い要因は、もはや誰もが無視できないくらいに蔓延してしまったからこそ、おそらく人間はそれをとしているのでしょう。古代に思いを馳せてみると、例えば狼は人間にとって恐ろしい存在でしたが、恐ろしくも同時に身近過ぎたために飼いならしたのです。ストレスも同じで、全面的に排除とか殲滅させるのは不可能なので「じゃあ友達になっちゃおうよ」といった対応が現れてきたのではないでしょうか。確証は全くありませんけれど。

 

 話を戻しますと、とにかくストレスはどこかただの物・事というよりも生き物のような捉えられ方もされていて、それゆえにただ無機質に「無くす、減らす、発散させる」のではなく、ストレス自体が意志を持っているような表現も使われることになったのでしょう。ちょうど、花や愛車などを「この子」というように、ストレスをのです。




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