「ギガが足りない」 ギガなデータ通信量


 一年か二年くらい前から、私の耳にもデータ容量をギガと置き換える用法が飛び込んできました。最初の接点がテレビCMだったのは忘れもしません。今回はデータ通信量としてのギガです。

 導入として、具体的にギガとは何なのかを話します。一言で言えば先述したように、スマホのデータ通信量のことです。携帯会社とデータ通信の使用を契約すると、普通は「一か月分の代金でこれだけのデータ量を通信できますよ」となります。ちょっと説明がぎこちないので、わからない場合はご自分で調べてください。

 それで、近年は一か月に使用できるデータ量、もしくは使用したいデータ量が大きくなって、遂にギガバイト単位まで来たわけですね。そこら辺のことも調べてくださいな。



 〈ギガの使い方〉

 さてさっそく、ツイッターとグーグル検索でギガの用例を調べてみましょう。ちょろっと検索しただけで以下のような例が収集できました。


・語句:【ギガが切れる、ギガが発生する、ギガが減る、ギガが死ぬ、ギガが無くなる、ギガが消える、ギガを使う、ギガを消費する、ギガを節約する、ギガを貯める】

・複合語:【通信ギガ、ギガ不足、ギガ数、ギガ制限、ギガ難民、ギガ死】

 

 興味深いのは、例えばデータ通信量が減るという意味の言葉が「切れる、発生する、減る」など多種多様な表現で現れているということです。恐らくギガという言い方が最近出没したために、用例がまだ定まってないのか、もしくは若者言葉特有の柔軟性があるのか……。

 ここで語句を整理してみましょう。


・データ通信を使う    :を使う、が発生する、を消費する、が減る

・データ通信を節約して使う:を節約する、を貯める

・データ通信量を使い切る :が切れる、が死ぬ、が無くなる、が消える


 表現の面では、どうやら「使う」「使い切る」に多様性がありますね。皆、データ通信量不足なようです。

 次いで複合語について。これらは少し補足が必要ですね。


・通信ギガ:データ通信量のこと。

・ギガ不足:データ通信量が足りないこと

・ギガ数:通信ギガに同じ

・ギガ制限:データ通信量が最大に達したため、通信速度に制限がかかった状態

・ギガ難民:毎月データ通信量が慢性的に足りない人たち?

・ギガ死:ギガ制限されること。


 やはりこちらでも通信量不足を形容する言葉がてんこもり。ただ、面白いことに純粋なデータ通信量を意味する言葉もありますね。これはやはりSDカードなどの容量のギガと区別するためでしょう。

 とりあえずここからわかったのは、多くの人が通信料不足だったということです(笑)。



 〈ギガの由来〉

 調べると、どうやら携帯会社が運営する料金プランの名前に通信料が「ギガ」と使われたことが流行のきっかけのようです。私もテレビCMで初めて聞いたので、この説はかなり信憑性が高いと思います。


調べるとSoftbankの「ギガ使い放題」とか、docomoの「ギガホ」「ギガライト」など、無数にあります。ちなみにY!mobileのとあるQ&Aには「2年目、3年目以降の料金は? ギガはどうなるの?」という質問や「ギガで選べる3つのシンプルプラン」という売り文句が(1)携帯業界ではかなり浸透しているようです。



 〈パケットが足りない〉

 これは余談ですが、通信量をギガの代わりにパケットという場合もあります。というのも、インターネット上を行き来するデータの送信方式にパケット通信という方式があり、データ≒パケットという認識からきているようです。コンピュータ情報の観点からはギガよりパケット・パケのほうが正しいのですが、個人的な印象ではギガの方がよく使われています。やはり携帯会社とCMは強いものです。

 

ただ、私個人からすれば、ギガはあまり聞こえが良くない(悪い)ので、できればパケという言い方がいいなあと思っています。ガ行はIPAで言えば有声軟口蓋破裂音で(2)閉鎖の度合いの大きい、かなり力強い発音です。それでも、わざわざデータ通信量と言うか、ギガ二文字で済ませるかという二択であれば、多数にギガが選ばれるのは明白でしょう。



――補足

(1)「Y!mobile乗り換えガイド 」https://www.ymobile.jp/sp/merit-demerit/2years/

(2)「IPA 国際音声字母(記号)」http://www.coelang.tufs.ac.jp/ipa/consonant_pulmonic.php 東京外国語大学HP 

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