場合:ばわい? ばあい?


 場合と変換する際「ばわい」としてしまっては変換がされません。にもかかわらず、アナウンサーでもなければ(私も含めて)いつもきっちりと「ば・あ・い」と発音しているわけではありません。どちらかといえば「ばわい」に近い人も多いことでしょう。なぜwの音を入れてしまうのかを見ていくのが今回の目的です。



 〈過剰なw〉

 実は、日本語のwという子音はaに挟まれると脱落することがあります。例えば「ひまわり」という単語、砕けた会話の中だと「ヒマーリ」に近い発音ではないですか? あとは「小川さん」。この名字も、リラックスした場所で呼ぶとなると「オガーサン」に近くなると思います。himawari、ogawasanの中にaに囲まれたwが見えますね。これが脱落してしまっているのです。



 〈過剰修正〉

 脱落したからには直さないといけません。特にマジメな場ではは嫌われますゆえ。 

 そしてここで場合のアルファベット表記をみるとbaai。このaが二つ続く形式というのは、hima’ariのようにwが抜けている形式と同じなのです。hima’ariの正しい形式はhimawari。だからbaaiもwが省略されたba’aiなんだと話者が勘違いをして、bawaiになってしまったのですね。このような現象を、過剰修正と言います。

 過剰修正の例を挙げるとなると少し難しいのですが、敬語のこんな例はどうでしょうか。「させていただく」形式を使って――

・元 :歌わせていただきます

・修正:歌わさせていただきます

 この場合ばわい(笑)、元は「歌わせる」の敬語形式で「~せていただく」ですが、「~させていただく」というのだから、この場合も「さ」がないとおかしいということでさ入れ言葉の過剰修正が起きています。



 以上、過剰修正と「ばわい」の関係でした!

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