第4話

 


 そこは、街路灯もない薄暗い空き地。


「オンブジュゥーマン、ココ」


 段ボールの中からワンちゃんの声。そこにいたのは、白い子犬。


「むむ……。おう、ここか。どうちたんだ? ベビー」


「アニョネ、シュテラレタニョ」


「そうかそうか、かわいちょうに。どれどれ、抱っこちてあげよう」


 オンブズゥーマン、ウエストポーチからおんぶグッズを出す。なんでも出てくる魔法のポーチなのら~。


 オンブズゥーマン、ワンちゃんをバッグに入れると、胸元にぶら下げる。


「オンブジュゥーマン、アリガト~。ペロペロ」


 ワンちゃん、オンブズゥーマンのおてもやんほっぺをペロペロ。頬紅が落ちるおそれあり。ん~、残念。しかし、ワンちゃんに罪はないので、親指を立てて、いつものポーズをご披露。


「イエ~イ。おなか空いたろ? どれどれ、ミルクあげっかな」


 オンブズゥーマン、ウエストポーチからミルクが入った哺乳瓶を出す。さすが、オンブズゥーマン。用意周到なのら~。


 オンブズゥーマン、滑空しながらワンちゃんに哺乳瓶をくわえさせる。


「チュ~チュ~……。オイチ~」


 ワンちゃん、哺乳瓶を前足で持って、オンブズゥーマンの手間を省く。なかなか賢いワンちゃんなのら~。ついでに夜景も堪能。


「チュ~チュ~……。ワー! キレ~」


 ワンちゃん、オンブズゥーマンのお陰で幸せを実感。


「チュ~チュ~……。ネ~?」


「ん?」


「……ママッテ……ヨンデモ……イイイ?」


「ママでもパパでも、パパイヤ、マンゴーでもいいのら~」


「……ママァ」


「あいよッ!」





 ♪

 オンブズゥーマン

 オンブズゥーマン


 ワンちゃんぶら下げ

 人形おんぶした

 オンブズゥーマン


 デブっちょウーマン

 ウーマンパワー


 プリティウーマン

 ちゃうちゃう

 オンブズゥーマン


 悪人倒し

 いい人守る


 オンブズゥーマン

 オンブズゥーマン


 ぼくらのヒロイン

 わてらのサーロイン


 ちゃうちゃうヒロイン


 オンブズゥーマン

 オンブズゥーマン




 今日もまた、日本だけの夜空に、オンブズゥーマンのテーマ曲が響き渡るのら~。


 助けを求める人{生き物全般 (ノミ・シラミ~恐竜まで)}がいる限り、オンブズゥーマンは今日も行く。


「うむ……ネームを何にちゅるかな?」


「ママニマカチェリュ」


「うむ……11 (ワンワン)……犬太郎……あれぇ、どこにもイヌ」


「……イナイッテイミ?」


「あっ、そうだ! わたくちがオンブズゥーマンだから、マンにちなんで、〈ワンマン〉にちよう」


「……イマイチ」


「ヘイ、ベビー。your name is ワンマン.OK?」


「……ok」


「じゃあ、ワンマン、行ってみよう」


「……イッテミヨー!」


 ピカッ! ピカッ!


『オンブズゥーマン、助けて~!』


 探知機、男とも女とも区別がつかない声をキャッチ。

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オンブズゥーマン、助けて~! 紫 李鳥 @shiritori

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