日常の中の解放 その4

傘をさして駅に向かう途中お客様と会った。

「あ、お姉さん。」

そう言って手を振ってくれるお客様。

『あれ?お客様メガネしてませんでした?』

「あぁ、あれね、伊達って言うか、ブルーライトとUVカットのレンズなんだよね。俺は全然視力いいよ。」

そう言って笑うお客様。

『そうなんですね。』

そう言って並んで歩く。

私の最寄り駅に着くとまたね、と言われる。また、と言ってペコ、とお辞儀をして電車を降りる。

家に帰ると紫苑さんからメッセージが来ていた。

【明日、雨酷いらしいから無理してきちゃダメだよ、おやすみ】

【ありがとうございます、無理しない範囲で出勤しますね!おやすみなさい。】

そうメッセージを打って送る。その夜は雷が酷く落ち着かない夜だった。

次の日は本当に雨風が酷かったので紫苑さんにメッセージを送ってお休みさせてもらった。明日謝りに行こう、と心に決めた私であった。

今日はコーヒーの気分、とコーヒーを淹れて読書に没頭した。

次の朝、昨日の雨は嘘だったかのように晴れていたので一応リュックに折り畳みの傘をいれて学校に行く。自転車で坂を下り鍵をしっかり閉めて電車に乗る。本を読み学校に着くと早速テストが返ってきた。今回も張り出された順位のトップをとれて良かった。

放課後、そのままカフェに行き紫苑さんや応援してくれたお客さんに1位取れました!と報告する。紫苑さんに引っ掛けだよ、と教えてもらった問題がちょっと捻られて出てきたときは口角が緩んだ。

『あ、紫苑さん!昨日はごめんなさい。』

そう言って頭を下げると

「あぁ、昨日ね、お店閉めたんだよ。あんな雨じゃ誰も来ないしね。」

だから頭下げないで、と言われてしまった。

「それより、学年1位、凄いじゃん!」

そうお客さんに褒めて貰えた。なんだか擽ったい。今日はこのくらいにしてまた来ます!と言って店を出る。お土産に、とクッキーを貰ってしまったので後でゆっくり食べようと思う。

テストが終わったので後は何もすることがない勉強も一段落ついているし。何をしようかな、と考えても何かいい案もないので家に帰り読書をしよう。

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雨の日の秘密 @Ranch

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