過去③
あれから私の心臓はドキドキドキドキとずーっと鳴りっぱなし
どうやって落ち着かせたらいいかわからない
「晴樹君かぁ。かっこよかったなぁ。」
私だけ特別じゃないってわかってても
やっぱり意識してしまう。
だってあんなにカッコいいんだもん
ズルいよ
自然と怪我人の介抱するやん
そんなんできひんやん普通、そんなんできる?言っといてや、できるんやったら…
「はぁ…」
ため息が出てしまう
また会えるかな
また会いたいな
「あら沙希ちゃん。おかえり。どうしたの?そんなため息ついちゃって。幸せ逃げるわよ?」
幸せが…逃げる?
もしかして…もう、会えない…?
晴樹君と、二度と会えないのかな?
嫌だよ…そんなの…
「(´;ω;`)ブワッ」
「あーごめんね。ママそんなつもりで言ったんじゃないの。ごめんねごめんね。幸せ逃げないから、大丈夫だから。泣かないで。ごめんね、ごめんね。」
いつか、会えるよね。
Another view
空の色は既に赤みがかっていて日もそろそろ傾こうとしている
街にはカラスの声が飛び交っている
「お兄ちゃんまた女の子介抱したの?」
晴香はこちらをのぞきながら聞いてくる。
前見てないと転ぶぞ
「あぁ。近くで悲鳴が聞こえてそっちのほう言ったら沙希さんが転んで怪我してた」
そういうと人差し指を口元にあてなにか考える素振りを見せる。
何か考えるときなんで上を向くんだろうな。
なにかあるわけでもないのに。
「お兄ちゃんてさ。」
「なんだ?」
「たらし?」
ズテーン
「なにしてんの?」
「いや少しつまずいただけだ。」
こ、こいつどこでそんな言葉覚えてくるんだ。
まだ小2だぞ
「そ、そんなわけなかろう。大体そんなたらしなんて男のクズがするようなことを__」
「はいはい。でもね、私が言ってるのはね、100%親のおかげで手に入れた優れた
自分の容姿を武器にしてるそこらのチャラ男違うの。お兄ちゃんがちゃんと女の子のこと気遣って女の子が好きになっちゃうようなことを平気でしちゃうような無自覚イケメンさんなの。こんなことしてるといずれ痛い目に合うよ?」
こいつほんとに小2か?
いい意味でマセすぎだろ。
なんでこんな恋愛事情わかってる風なんだ?
俺ですらよくわからんぞ
「だって、そりゃ困ってたり泣いてたりしてたら助けるだろ」
晴香は額に手をあてはぁ~と深くため息をつく
マジでいくつだお前
「お兄ちゃんはどんだけお人よしなのかな。お兄ちゃんだって顔は悪くないんだしもう少し気を付けたほうがいいよ?今まで助けた女の子でお兄ちゃんのこと好きになっちゃった人が複数人いたあどうする?もう取り合いだよ。泥沼だよ?女の争いは怖いんだよ?私のクラスでもお兄ちゃん狙ってる人何人かいるし女子トイレでつかみ合いになるんだから」
知らない!お兄ちゃんこんな妹知らない!!女の子も怖いけど今はこいつのほうがこ
わい!!!神様返して!!俺の知ってる晴香を返して!!!
「お兄ちゃん聞いてる?んもう。わかったらこれ以上あんまりカッコいいことしないでよね。ワタシノオニイチャンジャナクナッチャウ」
最後の方は下を向いてごにょごにょしだした
なんだこいつ
「わかったけど最後なんて?はっきり喋れよな」
そういうと突然顔を真っ赤にして
「うっさいうっさい!バカ!女たらし!しんじゃえ!」
うわーお兄ちゃん罵られちゃった
しんじゃえだって
ひどいね
こんなこと言っちゃダメだよねえ
「晴香ちゃん?言葉遣いが汚いわ?女の子はおしとやかにいくものなのよ?」
「おにいが女わかったように言うな!先帰る!」
フン!とふくれっ面のまま走って帰ってしまった
おにいなんて久々に言われたな…
理想のラブコメ 佐倉澪 @rinrinakua
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。理想のラブコメの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
俺のラーメン日記/佐倉澪
★3 エッセイ・ノンフィクション 連載中 2話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます