第14話 私の眷属になってください


 試験終了後のランチは、学院の食堂で豪勢に開かれた。


 クイーンエリザベス号のパーティー会場を思わせる豪華絢爛なご馳走の数々に舌鼓を打ちながら、俺らのクラスは、他のクラスの誰よりも浮かれていた。(トニーは治療中なのでいない)


 何せ、俺ら、いや、俺は使い魔なので厳密にはリリスたちだけど、とにかく、うちのクラスの学年序列は、全員同率の一位だ。


 ゴーレムがいない以上、俺らをリングアウトさせる奴はいない。


 制限時間15分まで、俺らはリングでただ待っているだけで、全員自動的に満点評価だった。


 結果、同じく制限時間いっぱいまで逃げ続けた暫定一位だった御三家のスーラ・サタンと来―ド・ルシファー、この二人と並んで、リリスたちは同率一位になった。


 もちろん、トニーを除く。


 トニーは、逆に開始1分50秒でリングアウトの最短記録を樹立。


 学年序列は最下位だった。


 もちろん、御三家が最下位になったのは、史上初だ。


 俺とリリスは、クラス中の生徒から感謝され、ヒーロー扱いだった。


「やぁ、楽しくやっているかい?」


 遅れてやってきたクロエ先生は、笑顔で俺の左隣に座ってきた。


 右隣には、もちろんリリスが座っている。


「ええ、おかげさまで。そういえば先生、うちのクラスって、トニー以外は全員同率の一位ですけど、クラス代表は誰になるんですか?」

「ふふ、そんなの決まっているじゃないか」


 言って、クロエ先生は立ち上がると、手を叩いてみんな注目を集めた。


「みんな、我がクラスの代表だけど、リリス・アンフェール君で異議のある者はいるかな?」

『いぎなぁーし♪』


 クラスメイトの誰もが、笑顔で拳を突き上げた。


 俺の隣で、リリスが恥ずかしそうに、ちょっと頬を染めた。


「い、いいのかな? だってわたし、結局何もしていないんだけど」

「いいに決まっているだろ? 俺を召喚したのはリリスなんだし。ていうか、俺もリリスが主人じゃなかったら頑張らなかったし」

『そうです、リリス様が可愛くておっぱいが大きかったからこそ、刀夜様はあれほどのガッツを出せたのです』

「はうっ!」


 すかさず、自分の胸を抱き隠すリリス。べらぼうに可愛い。


 俺は心の底から癒された。


「もう、エクちゃんのえっち」


 リリスは、俺の背中に収まるエクのグリップを、指でちょんと突いた。


 どうせなら俺の頬を突いて欲しいと思った。


「でもカッコ良かったよ刀夜。なんか、子供の頃に見たアニメの正義の味方みたいだった」

「正義の味方なんかじゃないさ。嫌いな奴にワルモンが多いだけだ」


 クラスのパリピとか一軍とかリア充とか。


「ていうか、今はリリスの味方かな。リリスと誰かが喧嘩していたら、無条件でリリスの味方になっちゃうぞ」

「それは、わたしが悪いことをしていても?」

「その時は優しく叱るぞ」


 リリスは頬を染めながらうつむくと、ためらいがちに俺の顔を見上げてきた。


「ね、ねぇ刀夜。勝手に召喚してごめんね。刀夜にも、人界での生活があったと思うし、きっと、迷惑をかけちゃったと思うの」


 古今未曾有の気遣いを発揮してくれるリリスに、俺は感動した。


「でもね、しばらくでいいから、わたしに付き合ってほしい。だから、その、えと……」


 意を決したように、勇気を振り絞るように、リリスは顔を上げて言った。


「わたしの、使い魔になってくれる?」


 愛の告白にも近い健気さに、俺はハートを射抜かれた。


 俺のご主人様が世界一可愛くて生きるのが辛い。


「もちろんだよリリス。ていうかもう人界とかどうでもいいし。俺、魔界に骨を埋めるわ」

「え、そこまで!?」

「そこまでです!」


 俺が食い気味に返すと、リリスは戸惑い視線を泳がせた。


 でも、それからほんにゃりと笑うと、握手を求めてくれた。


「じゃあ、これからよろしくね、刀夜」

「ああ、よろしくなリリス」


 返事をしながら、リリスの手を握った。


 リリスの手は温かくて、柔らかくて、話に聞いていた魔族とは、まるで違った。


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 本作を読んでいただきありがとうございます。

 他にも【美少女テロリストたちにゲッツされました】など、色々と投稿しています。

 興味を持ってもらえたら、一読してください。



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ダサメンの俺が勇者で魔王の眷属? 聖剣を使って彼女を魔王ロードに導きます! 鏡銀鉢 @kagamiginpachi

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