体験するより、詳しい人に聞いたほうが早いときもある

「取材ってそんなに必要性があるのか?」

 という疑問に対して、補足。


 オレ自身は、「体験」やら「経験」などという言葉を、少し疑問視している。


 たとえば、車載動画を主題にした作品を書こうとする。


 あなたならどうするだろう。


 バイク買う?

 乗る?

 デカいテントを買って、キャンプする?



 オレは、「車載動画」を見て済ませる。



 理由は、「自分で経験しても、2割くらいしか実感できないから」


 やはり、特定の世界を楽しむなら、専門知識が多少ある人に聞くほうがいいかと。


 苦労も楽しみも、深い経験として消化できる率が高い。突っ込んだ話も作りやすい。


 自分で経験しても、しんどかったら途中でやめちゃうだろう。

 バイク自体にもさして詳しくないので、突っ込んだ話も作れない。

 旅行もそんなに好きでもない。

 必ず、見るべきところすら見落とす。


 まあ、旅ベタなら旅ベタなりの経験ができるから、

「自分ではうまく行かない」

 と割り切れる。


 キリショーが雨の中、慣れないソロキャンプをしてた動画も面白い。

 ファイアスターターの使い方を間違えてて、火がまったくつかねえ。

 コメント見ても意味がわかってなかったらしく、諦めてライターを使った。

 布とマグネシウムの距離が遠すぎんねん!

 火種は振りかけるんじゃない! 別の作業台で当てて火種を作って、焚き火にブチ込むの!

 あと布はクシャクシャにするんじゃない! ほぐしてフワッフワにしないと!

 

 おまけにテントが浸水して、ロッジで寝る羽目になる。

 グランピングやんけと。


 それでも面白い。

 ただ、あれはキリショーだから面白いのであって。



 とはいえ、深く取材がしたいなら、詳しい人に聞いたほうが早い。

 スポーツなどは、特にそう。


 オレも、オンラインゲーム舞台の世界とか書いてみたい。

 が、「自分でもオンラインゲームをしよう」とは思っていない。


 個人的に、「ゲームは一人でやるもの」という考えがある。


 それに、自分が知りたいのは「ゲーム実況系」だ。

 ゲーム世界をメタ的な視点で楽しみたい、と考えている。


 実際にオンライン上で、密接に人と関わりたいわけじゃない。

 めんどい。


 なので、その手のゲームは実況プレイで、人のプレイを見ていれば満足なのだ。

 うまかろうがヘタだろうが、楽しんでいる動画を見る。



 こういうことを言う理由は、オレが

「小説を書くために、資格まで取ってきた」

 経験があるからだろう。


 オレは「お掃除小説」を書くために、

 

「整理収納アドバイザー 2級」

 を千里中央で取得。

「クリンネスト 2級」

 を天満橋で取ってきた。


 小説のために、取材が必要だと思ったからだ。


 しかし、実際書いてみて、公募の成績は芳しくなかった。


 そこで思ったのだ。「やはり、キャラだわ」と。


 まあ、

「そんな性格なら、高校生主人公でも資格取るでしょ」

 と思って取得したので、まったく後悔していない。



 取材しないで書かれた書籍もある。


 坂井希久子先生の『ウィメンズマラソン』だ。

 主人公は、

「五輪決定直後に妊娠が発覚し、バッシングを受けた女子ランナー」

 だ。


 なんでも著者は、

「シングルマザー報道で叩かれた当時の安藤美姫」

 から着想を得たそうだ。



 特に、陸上の経験があるわけではないらしい。



 このように、

「まったく異なる」

「自分が詳しい」

「興味がある」

 ジャンルから拾ってきて、そこから組み立てていくことだって、悪くない。

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