第52話 じ じ ょ う
「チッ!」軽く舌打ちすると、魔人たちに突っ込んでいった。
「てめぇらこそ
俺は反撃を開始した。襲撃する側に紛れ込んだ形になった俺は、魔人の背中から斬りつけた。
「シュッ、シュッ、シュッ!」
短い気合いと共に、切り裂いて行く。緑色の血しぶきが上がりたちまち三人が倒れた。走り抜けて集落を背にヤツらと対峙した。
『ビューン......!』
湧いてくる魔人たち。ここまで大規模な襲撃はなかったはずだ。集落ごと消し去るつもりらしい。
『ビューン! ビューン! !』
耳障りな音とともに魔人が湧いてくる。
「ぬああ!」
三人に囲まれた。
「シュ!」俺は右側からきたヤツの
そのままガラ空きの胴にドスッ、とミスリルの剣を滑り込ませた。
「ぬんんんっ!」
体を
振り下ろされた
俺は足で胸板を蹴り付け剣を引き抜いた。ドウッ!と二人が絡み合って倒れる。
「敵襲だぁぁ! 自警団は武器を持って集まれ!
警護班は女子供を避難させろ!」
ここでやっと声を張り上げた。
奇襲された場合初期対応で勝敗が分かれる。
騒動は気づいている筈だ。パニックからおさまるまで待った。あとは迎撃態勢が整うまで時間を稼いでやればいい。
「さぁっ、来いッ」
俺とリョウ、ナナミのいなくなったこの時を
狙ったんだろう? だが俺はここにいる!
「さぁっ、来いッ」
闘気を全身から発し、目を
「さぁっ、来いッ。どおした!? 俺はここにいるぞ!」
魔人たちに動揺が見えた。
「ウォォォォーッ!」
一声吠えると駆け出してゆく。
シュッタタタッ!
光の
シールドを全面に展開するとパンッ、パンッ、パンッ! と音を立てて弾き飛ばした。
目標まであと5メートル。一個小隊ほどいる群れに飛び込んでゆく。
シュッタタタッ!
パン! パン! パン! パン!
弾き飛ばす毎に閃光がはじけた。目標まであと4メートル。
『亀ー【縮地!】』
甲羅が輝きだし足元の地面が歪んで波打った。
絨毯を手繰り寄せるように押し寄せてくる。
【閃光突破!】
パンッ! パーーンッと轟音を立てて突っ込んで行く。
高速ですり抜けられて魔人たちの隊列がみだれた。至近距離で軽自動車が突っ込むくらいの威力はあったはずだ。
ライトニングの射手も目標を見失っていた。敵の裏に回り込むと、三人斬っておとした。
まだだ!
大鎚を振り回す巨漢がいた。
(こんな接近戦で喰らうかよ!)
ソイツも潜り込んで斬って落とす。
まだまだ!
「ブァ!」
ファイヤ・ボールを放つ黒いロープを被ったヤツがいた。左手にシールドを纏って頭から突っ込む!
白光の玉を指先から放ちシールドを焦がす。
螺旋を描く軌道でソイツの手を絡めとる。
「ガァァァ!」
たちまち両手を切り刻まれたソイツは悲鳴を上げた。かがみ込んだソイツも斬って落とす。
まだだ! もっと来い!
ビューン! ビューン!!
魔法陣が展開を続ける。
そうだ! その調子だ!!
もっと来い!
現れた魔人たちに吠える!
十人ほど現れたソイツらに突っ込んで行く。
「なぁぁぁぁぁぁぁ!」
ピュン! ピュン!!
獣の様な咆哮をあげて剣を振り回す!
「囲め! シュー。突け!!」
一人片付けたところでヤツらは遠巻きに散開した。不意に背後から声が飛んだ。
「コウヤさま伏せて!」キタエの声だ。
パッ! と前に飛び込む。
シュタタッ! シュタタタッーー!!
ライトニング光の矢が辺りを掃射した。自警団の連中だ。魔人たちは一人、一人とかずを減らして行った。
ビューン! ビューン! !
まだか? まだやってくる?
地響きがした。
ギギィーー! プシーッ‼︎ トレーラーが停止する様な音を立ててヤツは来た。
「【マジロスコ三型】登場! ってか?」
サイカラがニヤリと笑う。
ビューン! ビューン!! と魔法陣が展開しその中から現れる魔人たちを端から金属兵が片付けていく。
ババババーーッ!
残された魔人たちにもはやまともに立っていられるものなどなかった。
地面が穿たれささくれる。砂塵が巻き起こっていた。
ピュン! ピュン!!
高速で斬って捨てあたりを見渡す。
ん ?
砂塵が落ち着くと辺りは静かになっていた。
ふぅ、ふぅ、スーッ! ふぅーーー。
大きく深呼吸をする。
終わったようだ。
「みんな! よくやってくれた。魔人の生き残りが居ないか確認してくれ。必ず三人一組でだ。死にかけたヤツが一番怖いぞ!」
その一番怖い事を任す。
事情を話せば本当はもうガス欠だった。あとは自警団に任せたい。キタエの元まで歩いて行く。緊張した面持ちでこちらを見ていた。
「カイが見つかったよ。ちょっといいか?」
キタエに俺は告げた。
「おーい! みんな大丈夫か?」
俺の背からナナミの声がしてパタパタと駆け寄って来た。リョウ、コビンも一緒だ。
「何があったんだ? 魔人の死体がこんなに‥!」
「丁度良かった。お前たちも来い。事情を話す。」
そう言ってキタエとゲルに向かった。
次回 に く の め
俺はニヤリと笑った。
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