夏の気配
木谷日向子
雨の詩
雨が降っている 6月の初めからだ
私は雫の湿りが鼻先を掠めて 気怠く温い朝に水を飲んだ
おはよう 夏
濡れたアスファルトをただ歩いた 水の音が靴に跳ねて重いね
丘の上まで登れば夏が見えるかしら
透明な傘に白い光が当たって痛いの
こんにちは 夏
あの大きな木の下で雨宿りしようかしら
くるくる傘を畳んで一休み
オレンジの光が髪に当たって痛いの
気付けば夜だった
こんばんは 夏
涼しいのか 熱いのかわからない
ただぼんやりと高揚感があるわ
暗い橋の横を歩き続ければ その先にぼんやりとした光が灯っている
お祭りかしら いい匂い
ああ 夏って 何でこんなに楽しいのかしら
ステップ踏んで灯りに向かうわ 傘はそのまま河に捨てちゃった
流れていく 過去にね ばいばい
夏の気配 木谷日向子 @komobota705
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます