金の斧 銀の斧 斧マニア 続き

泉の精と木こりのやりとりを物陰から見いているものがいました。強欲の悪魔マモンです。


「あれは魔王様の斧。あの斧を手に入れれば、私の力は魔王ルシファーにも届き得るかもしれない。私も斧を落としてみよう」


マモンは湖に普通の斧を落としました。すると泉の精が現れました。


「あなたの落としたのは、この金の斧ですか」


「いいえ。違います。僕の落としたのは、もっと攻撃的な斧です」


「攻撃的な斧ですか?少々お待ち下さい」


「あなたの落としたのはこのバトルアクスでしょうか」


「惜しいですね。僕の落としたのは、多くの血を吸った恐怖の斧です」


「なるほど!あなたの落としたのは、この魔王の斧ですか?」


「そうです!その魔王の斧です!ああー見つかって良かった」


「……この嘘つきの強欲ものが!」


泉の精は、顔が大きくなり、鬼のような形相で言いました。


「泉の精 怖っ。めっちゃ怖っ。魔王様よりも邪気があるわ。そして顔デカ」


マモンは、あまりの形相に一瞬怯みます。


「所詮、泉の精。私の力で倒せないこともない」


そういってマモンは泉の精のが持つ魔王の斧をぶんどります。


「あああー私のコレクションであるお気に入りの斧が!!」


「強欲の悪魔である私並みにお前が強欲だわ。よし!これで魔王の斧を手に入れた。これ以外にもたくさん斧を持っているよな。それを全て奪ってやろう」


そういうとマモンは、泉の精を縄で縛り、泉の中に入っていきました。

しばらくすると泉の精の家を見つけました。泉の精の家は大きな泡の中にあって空気がありそうです。

そこで、マモンはたくさんの斧を見つけました。


しかし、そこには泉の精の家に遊びにきていた正直者の木こりがお茶をすすっていました。


「おい。木こり。邪魔だ。命が惜しくば、どけ!ここにある斧は全て俺のものだ!」


それを聞いた木こりは、答えました。


「いや、ここにあるものは、泉の精のものですよ。あなたのものではありません。ただ、命が惜しいのでどきますね」


「えっどいてくれるの?取っちゃうよ?いいの取っちゃうよ?」


「はい。斧ぐらいで命を取られてはたまったもんじゃありません。泉の精も諦めてください」


泉の精は、しゅんとしながら言いました。


「確かに、命を取られては意味がありません。大切な斧ですが譲りましょう」


皆殺しにして、斧を取ろうとしていたマモンは、動揺します。


「こいつら、調子狂うわ~。まぁでも、全ての斧を頂いていくとしよう」


木こりは口を開きます。


「実はここにはない取っておきの斧があるのです。泉の精さん。あの斧を持ってきてください。泉の精を離してもらえますか?」


「いいだろう。その代わり、お前が人質だ」


「わかりました」


泉の精は、家の奥から、魔王の斧よりも禍々しい斧を持ってきました。


「この禍々しさ。これは素晴らしい」


マモンは、不敵な笑みを浮かべながら口を開きました。


「じゃあ、お前たちは用済みだ。この斧の試し切りの相手となってもらうぞ」


そういってマモンは、禍々しい斧を手に持ちました。

その瞬間、マモンの体を火が包みました。


泉の精はいいます。


「それは呪いの斧。手に持った者を焼き尽くす斧。もし、全ての斧を取ろうとしなければ、魔王の斧は手に入れられたのにね」


マモンの体は消滅しました。


「泉の精よ。君が魔王の斧を自慢しようと出さなければ、こんなことにはならなかった。以後は、斧を自慢するのはやめなさい」


「全力で断る!だって自慢したいもの!」


木こりはため息をつきながらこう言いました。


「危険な目にあっても、人はそんな簡単に変わらないものですね……」


今回の学び


自慢話はほどほどに。

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おふざけがすぎる童話達 ペンギン @penguin_family

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