おふざけがすぎる童話達

ペンギン

金の斧 銀の斧 斧マニア

金の斧 銀の斧 斧マニア はじめ

 昔々、正直な木こりがいて、毎日、木を斬って暮らしていました。


 ある日、池のそばで木を切っていたところ、あまりにも力を入れて振り上げてしまい、大切な斧を池の中に落としてしまいました。


「どうしよう……大切な斧を落としてしまった。池は深そうだが、潜って取れないこともない」


 そういって木こりは泉の中に入っていきました。


 泉の中には、金の斧や銀の斧、鉄の斧、様々な斧が存在しました。


「なんで泉の中に斧が存在するんだ」


「ちょっと待った!!!泉の中に入らないでもらえますか!」


 そういって、泉の精が現れました。


「なんでですか。斧が泉に入ってしまったので、それを取ろうとしたのですが……」


「一旦、泉の外に戻ってください。ここは私の家なんです」


「それは失礼いたしました」


 木こりと泉の精は、泉のほとりに戻ってきました。


「斧ばかり集めているんですね。僕は木こりなので大変興味があります」


「実は斧をコレクションしているんです」


「素敵な趣味をお持ちですね」


「それでは早速ですが、僕の落としたのは鉄でできた斧です」


「えっ」


「えっだから、鉄でできた斧です」


「えっちょっと聞こえづらかったなー探してきますねー」


「この金の斧はあなたが落としたものですか」


「いいえ。違います。ただ、素晴らしい斧ですね。芸術作品とも言える」


 泉の精は嬉しくなり、次の斧を持ってきた。


「では、こちらの魔王の斧ですか」


「いいえ。違います。ただ、この斧から出てくる邪気。数多の血を吸った恐ろしい斧ですね」


「そうでしょう。次の斧はこちらです」


「これは素晴らしい!ヴァイキングアクスですね。主に北欧のヴァイキング達が好んで使っており、刃の下側が引っ込んでいて、これで相手の船に引っ掛けて乗り込んだりしたと言われている斧ですね」


「さすがよくわかりますね。次の斧を持ってきますね!」


「これはフランキスカ!ヨーロッパの方で使われており、投げ斧としても有名である。刃の形状が、投げた際に相手に刺さりやすいようになっている。いやはや実物を拝めるとは……」


「ふふふ。そうでしょう。次の斧はこちらです!」


「これはビペンニス!古代、両刃の斧は神聖視されていた。神聖なる気を感じる」


「ではこれはどうでしょう?」


「これはハルベルト!様々な戦闘をするために作られた。儀礼用武器としても使用されている」


「最後はこれ!」


「バトルアクス!基本にして究極。シンプルにしてベスト!」


「あなたの落とした斧はどの斧ですか?」


「僕の落とした斧はどれでもありません。木を切るための斧です」


 木こりは正直に答えました。


「正直者のあなたには、今まで紹介した全ての斧をあげましょう」


「僕は木こりです。人を殺める武器としての斧ではなく、木を切る斧で十分です」


「そうですか。正直者のあなたには、なにか褒美をあげたいと思っています。あっそうだ!いいものがあります」


「こっこれは、チェーンソー!これでたくさんの木を切ることができます!」


 こうして正直者の木こりはチェーンソーを手に入れたのでした。


 今回の学び


 正直者は救われる。

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