いっそのこと僕が
麻城すず
いっそのこと僕が
君が泣いているのを見ると、僕は少しの苛立ちを覚える。
小さく芽生えた感情は、気付くまでに相当の時間を要したから。
「どうしてあたしじゃ駄目なのかなぁ」
君は随分先に進んで。
僕を置きざりにしたくせに、こうして都合のいい時ばかり僕の横で涙を流す。
どうせなら、僕を思って涙を流して。
それを言葉にしたならば、きっともう君の隣りにはいられない。
だから何も言わないけれど。
「どうして僕じゃ駄目なのかな」
それを言葉にする時は、きっとこの関係が壊れる時に違いない。
他の奴に壊されるのなら、いっそのこと、僕のこの手で壊してしまえればいいのにね。
いっそのこと僕が 麻城すず @suzuasa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます