本作はMMORPG『シェーンブルン』で最高レベルを極めた廃人ゲーマー・リオンが、そのゲームによく類似した異世界に召喚されてしまう物語です。いわゆる「バトルもの」に当たります。
異世界に転移するとき、神様からすごい異能をもらったとか、特定のステータスに極振りしたとか、本作にはそういったご都合展開がありません。
召喚された初っ端からひどい目に遭います(笑)
しかも、最高レベルを持っているメインアバターではなく、育成していないサブアバターの肉体に転移した主人公は超常的な異能を持っていません。
見た目に凝って作り上げたサブアバターは衆目を集める美貌を誇っています。ある意味それがこのアバターが一番持っている能力と言えるでしょう。
しかし、レベルは……(お察し)
戦う相手の能力の見極め、駆け引きといった要素により、初期レベルという弱さをいかに補っていくか――。
廃人ゲーマー・リオンあらため「リオナ」がどうやって異世界で勝ち抜いていくのかハラハラドキドキしながら読める作品です。
プロローグでちょっとギョっとしますけど、演出です。
本編はその次から始まります。
本編はきっちり改行されており、読みやすく、描写もしっかりです。
内容は、表題の通り、異世界転移した中身男の美少女(廃人ゲーマーなのでバトルマニア)と、その召喚者であるウサミミ少女の魔王討伐の旅の話です。
この廃人ゲーマー、諦めるという選択肢と、ちゃぶ台をひっくり返すという選択肢がないようで、絶望的な状況でも絶対にあきらめません。そこにある種の爽快感があります。まあその分、社会に適応できないんではないかという行動をとることもあるのですが、そこをウサミミ少女がツッコム。ここに様式美の様なものを感じますね。
この廃人ゲーマー、転移の際にチートスキルを与えられておらず、持っているのは廃人ゲーマーとしての知識だけなのですが、それでどこまでやっていけるのかを見守っていきたいですね。そこも見どころ。