魔王を追い詰めたら「世界の半分をやろう」と言ってきた。

もうきんるい

第1話

「よくぞ、よくぞ此処まで来たものだ勇者よ」

「お前が⋯⋯魔王!」

「然り⋯⋯然り」


勇者と呼ばれた少年に呼ばれた男が答える。

髪も目も肌も、身に纏う鎧に大剣も、全てが黒。禍々しさを体現したかの様な魔族の王。

世界征服を志し、大陸の半分を手中に収めた、人族の敵。

こいつが存在する限り魔族との戦は終焉を迎えられないのだ。

魔王を倒しさえすれば、配下に施された強化の術は消え、洗脳の類で操っている軍勢も瓦解するのだ。

その為に何年もの下準備を整えて、今、眼前に魔王が居る。


「驚いたぞ。我が魔法感知の結界をすり抜け、単身此処まで乗り込んで来た勇気と智謀、そして実力にはな」

「そこそこ骨が折れたよ。その分、お前の骨という骨をバッキバキに折って、変な形にくっつけて治癒魔法掛けてから引導を渡してやるからな」

「いや、待って。何か妙に具体的で生々しいんだけど」

「聖女の魔力をギュッ、と詰め込んだ魔法具で生み出した聖域で、この謁見の間には一週間は誰も入って来られないし、出られないからな!覚悟しろ!」

「いきなり状況説明してるし!と言うか、聖女大丈夫なのか?妙に胸騒ぎがするんだが」


魔王のその言葉に思わず落涙してしまう。此処まで俺を送り込んでくれた仲間たちを思うと、様々な感情が俺の中に渦巻いてしまう。


「ああ⋯⋯この魔法具に魔力とか生命力とか色々詰め込んでしまったから、聖女は寝たきりになってしまった⋯⋯。回復するまで数年は要するだろう。だからこそ!絶対にお前を討つ!」

「いやいや、何させてんの!?色々って何!?非人道的な事してないよね!?」

「人族の為だ!魔力を使い果たした聖女にあれやこれや性的な悪戯をして、生命力や精力やら、汗やら汁やらを搾り取った!」

「最低だな、勇者!」

「かなり盛り上がった」

「聖女可哀想!」

「聖女も」

「もう滅べよ人族!お前こそ聖域から弾かれろ!」


嗚呼⋯⋯。

聖女だけでは無いのだ。戦士や賢者だって俺に道を示す為に限界を超えてくれた。

そんな仲間たちの想いと犠牲があって、俺は此処に立っているんだ!


「しかし、どうやって我が魔法感知の結界をすり抜けたのだ?まさか、それも何か魔法具の力なのか?」

「確かにお前の結界は完璧だったよ。通常の魔法どころか、魔法具だって発動させてしまえば察知される。だが、完璧だからこそ油断したな。お前の驕りから現状が生み出されたんだよ!」


溢れ落ちる涙をそのままに、真犯人を言い当てる名探偵よろしく、魔王に指を突き付ける。

あ、この間に不意打ちされるような失態は犯さない様に警戒はしているし、何よりこの魔王は様式美を重んじているので、あまり危険は無い。

そんな俺の対応に、きちんと応えてくれる悪役って有難いよね。


「な、何だと⋯⋯!我に失策が!?偽りを申すな!」


ほらね。ノリノリである、この魔王。


「いいや、お前のミスだよ。お前は、魔族は常に魔法を使用するくらいに魔法を愛し、魔法に愛されている種族だ。だからこそ、人族の力を見誤っていたな!」

「馬鹿な。魔法を用いずして、人族の国から『魔の森』を抜けて『魔王城』に辿り着けるものか!それも、発見されずに!」

「魔法が使えないなら、人力でどうにかすれば良いじゃないか!」

「⋯⋯は?」

「掘ったんだよ!ひたすら!穴を!三年掛かったわ!」

「え、えー⋯⋯。地下道掘って来たの?ひたすら?それだけ?」

「馬鹿野郎!滅茶苦茶苦労したぞ!?大人数動員したらバレるから、少数精鋭で!落盤や窒息なんかも乗り越えて!頑張って来たんだよ!」

「お、おおう⋯⋯。予想より遥かに上、いや、むしろ下だったが納得した」

「地下道だけに下とは上手いな」

「違う、黙れ」


真相と俺の剣幕に、呆気に取られる魔王だったが無理も無い。

真実とは常に想定を軽々と越えて来るのだから。

それは人族でも魔族でも変わらない。


「いや、しかし見直したぞ。最低な人間ではあるが目的の為に、そこまで努力するとはな」

「それが人族だ!他人の為に、生命を賭けたんだ!戦士が!」

「おいコラ待てや」

「ほぼ一人で乗り切った剛の者だ!」

「しかも、ほぼ一人かあ⋯⋯」

「聖女から好かれたい一心で、命懸けで掘り進めたんだよ!あいつは!」

「えーと。戦士さんと聖女さんの関係は?」

「同じパーティの仲間。戦士が一方的に惚れてる。ちなみに聖女は俺に動けないトコを無理矢理。で、最後はそれが快感に、って言わせんなよ、恥ずかしい」

「うっわー、酷過ぎない、それ?」

「大丈夫。最初は聖女が戦士を褒めて、おだてていたのが、少しずつ他の女の子の割合を増やしていって、最終的にはそっちとくっついた」

「あ、ちょっとほっこり」

「良い女だぞ?美人だし、経済観念もしっかりしてる」

「ほうほう」

「戦士も長年の地下労働でもう長くはないからな。魔王討伐パーティの報奨金や遺産管理もバッチリだ!」

「それって金目当てじゃん!え、ちなみにお前と関係あるの?」

「肉体関係はある。俺の財産狙って来てたから、手に負えなくなって。戦士との真実の愛に目覚めさせた」

「それは愛じゃないだろう!」

「金への愛だ!」

「非道過ぎる!」


ずっとお互いに叫び、否定し合う。

やはり、勇者と魔王は相容れない存在なのだろうか。


「しかし、一直線に掘り進めて来たにしても、かなりの距離だろう。掘った土の処理などはどうしていたんだ?」

「ああ、流石に途中何箇所か拠点を設置したぞ?」

「その拠点も見つからなかったのか?我が配下は無能揃いなのか。嘆かわしいな」


自らの部下をいきなり無能呼ばわりである。そんな考えだから隙を突かれるというのに。まあ、有能な人材は洗脳でもしないと従わない状況らしいからな。

こいつが一番無能じゃん。


「⋯⋯失礼な事を考えていないか?」

「いいや。全く」

「⋯⋯ふむ。確かに目を見る限り、その様だな」


俺の目を見て、自分の疑いを解消する魔王。

それはそうだろう。

俺は失礼な思考なんてしていない。

こいつが無能なのは当たり前だから。自信を持って、普通の考えしかしてないと断言出来る。


「まあ、簡単に言うと、だ。『魔の森』にも小さな集落くらいは多いからな」

「まさか、裏切りか?」

「いいや、住民全てを少しずつ人族の兵士と入れ替えた。一応、万が一に備えて村長クラスの者はそのままでな」

「ほう⋯⋯大胆かつ緻密な作戦だな。長達には利をちらつかせたか?」

「いや、この策は賢者が立てたんだがな。住民の入れ替えも面倒だから、長以外は賢者特製の毒薬でな。動けず、喋れず、ゆっくり死に至る素晴らしい発明だ」

「⋯⋯あれ?ちょっと想像と違うぞ?」

「死体も、丁度良く地面掘ってるワケだしなあ。で、賢者は少し特殊性癖持ちでな。死にかけた奴を性的に弄んだり、死体に囲まれた中で抱かれたりするのが好みなんだよ」

「予想以上だなあ⋯⋯。それは長達も恐れて言いなりになるなあ」


俺の親切な説明に遠い目をする魔王。まあ、賢者の性癖に思うところがあるのだろう。


「勇者よ、お前はそれで良かったのか?」

「良いワケねえだろうが!」


魔王の問いに全力で否定する。

何故かそんな俺の答えに安堵の表情を浮かべる仇敵。


「然り、然り。そうよな。流石に生命を軽んずる様な真似は勇者として、いや、人として⋯⋯」

「あいつ確かに絶世の美少女だけどさ!両刀だし、阿鼻叫喚の地獄の中で俺に迫って来るんだぞ!?」

「うわー⋯⋯トラウマ案件だな、それ」

「そんな中じゃ慣れるまで盛り上がらなくてさあ⋯⋯。三箇所目くらいから、やっと虐殺時から勃つ様になったし、五箇所目からは、やっと一日中抱ける様になったわ。俺の苦労、解ってくれるか」

「いや、解らん。理解出来たのは、我、実は正義なんじゃないか、って事だな。後、貴様絶倫か」


いつの間にか、お前呼びから貴様呼ばわりに変えられている件について。


「だが、そんな尊い犠牲の元、俺は自分の信念と正義に基づいて此処まで来た!」

「いや、その犠牲って、聖女と戦士と、大勢の我が臣民じゃないかなー⋯⋯。後、正義とゆーか性技」


あくまでも俺の言葉に頷かない魔王。

これこそが種族の壁なのだろうか。

だが、一般人の心配をする辺りは、腐っても王、といったところか。

こちらとしても、非戦闘員を巻き込むのは本意では無いのだ。


「しかし、非戦闘員たる一般の者達まで巻き込むとは、感心せぬ、な」


吹き荒れるプレッシャー!

謁見の間に飾られた調度品が破壊されてゆく!

魔王の怒りだ!


「俺とて勇者。出来れば避けたかったがな。魔族は一般人ですら、人族の並の兵より遥かに脅威となる。必ずしも強いとは言えなくても、優れた身体能力に桁外れの魔力。放置する選択は無い。捕らえるにしろ、人手が足りない」

「ふん⋯⋯徹底した合理主義だな。人族らしく、いや、勇者と呼ばれる存在らしからぬ考えだな」

「理想を貫くには、勝たなければならないからな。どれだけ手が汚れようと、心が痛もうとも、勝たねばならない。後悔も絶望も、全て終わってからの話だ」


俺の言葉に、魔王は軽く目を見開く。そして、口元を歪めた。


「覚悟は一級品だな。それが勇者たる所以か」

「他に誇れる物を持ち合わせていないだけだ」

「くくっ⋯⋯。悪く無いぞ、勇者。だが、我が臣民を苦しめ、殺めた罪は重いぞ?」

「ああ。罪は重いな⋯⋯。だが、苦しんだまま殺す程、俺も割り切れなかったよ」


またも軽く目を見開く魔王。だが、先程とは違い、疑念、訝しみという感情が読み取れる。


「ちゃんと、賢者と二人で全員絶頂させ、その瞬間に絶命させた」

「何、二重の意味で昇天させてんの!?どうしてお前等、我の想定を軽く超えてしまってるの!?」

「好みの女をこの手に掛ける絶望は筆舌し難かったぞ⋯⋯!」

「覚悟って、それか!?」

「途中から余裕が出始めたから、念入りに説得して、何人かは保護出来たが、自分の力不足が嫌になる」

「その『念入りに説得』って言葉が気になる、いや、矢張り口にするな!」

「何人かの兵で好き放題してから、俺が何十回と激しく絶頂を与え、優しい言葉を掛けた」

「極悪人だよ、こいつ⋯⋯!」

「だが、最初に汚す愉しみも欲しかったから、兵に変装して俺も混ざった」

「マッチポンプにも程がある!もうお前、異世界転移(ノクターン送り)でもされてしまえ!」


心なしか、魔王が怯えている様に見える。

まあ、確かに兵達は凄かった。

精鋭なのに、基本穴掘りばかりの任務に回されてしまったのだ。しかも秘密裏に。ストレスも半端無い。

それが別の穴掘りが出来たんだ。今度は自分達から思う存分励んでいた。

その働きは、見ていて中々満足出来た。

自分も加勢して兵を助けられたのは幸いでもあった。

だが、一つだけ懸念すべきは。


神からの警告(運営様からのお叱り)、である。




「しかし、色々と問題はあるが⋯⋯問題しか無いと言うべきか。だが、矢張り見事とは言えよう」


何やら切り替えた表情で話題を変える魔王。

狙いは何か。

こちらの作戦に見落としがあったか?


「確かに貴様と一対一ならば、我が不利だろうな。我が能力は幻覚と人心操作が主だからな。戦闘特化の勇者相手では分が悪い」

「だからこそ、この状況を創り出す事に注力した!覚悟するのだな!」


手にする剣を敵国の王に向け、気を吐く。

いくら有利とは言え、魔王は強大。気を抜いたら敗北してしまうだろう。

最悪、洗脳される可能性まである。

心を、強く持たないとならない。


「さて⋯⋯我との敵対を止めたら、世界の半分をやる、と言ったらどうかな?」

「なっ⋯⋯!」

「考えてもみろ。我を討ち、人族を勝利に導いたとして、貴様はどうなる?始めのうちは感謝と尊敬から丁重に扱われるだろう。だが、時が経てばそれは疑念と恐怖に変わる。魔族の王を打ち倒す力。それは警戒されてしまう」

「⋯⋯」

「それとも、人族での戦争が起きるかもなあ?だから、世界の半分をやろう。そして、我と手を結ぶのだ。これで貴様は安全を確保し、世界には安定が訪れる」

「巫山戯るな!」

「矢張り無理、か⋯⋯」

「ちゃんと条件を話し合わないと答えられないだろうが!」

「⋯⋯は?」


どうやら、人族と魔族とは解り合える可能性があるようだ。


「さて、世界の半分とは具体的に何処から何処までだ?」

「此処が魔王城で、其方が貴様の所属している国だな。ならば、丁度中間地点に川があるので、境界とすれば良いだろう」


懐から取り出した世界地図を床に広げ、二人とも膝をついて頭を突き合わせる。

まるで友人同士じゃないか。

矢張り隣人は愛し合うべきなのだ。


「それだと、お前達は既に支配している地域だから良いが、俺が貰う地域は人族の国々が健在じゃないか。わざわざ全てを切り取る必要があるのなら、魔族を倒してから戦争を仕掛けた方が気分的に楽だ」

「気分で倒されたくは無いのぅ⋯⋯。なら、此方の支配地域と、この未占領地を入れ替えれば地形的にも」

「駄目だ!それだと生産力と技術力の高い都市が軒並み魔族の物になる!」

「我とて譲歩しておるのだぞ!?人口の多い地域が貴様の物になると言うのに何が不満か!?」

「食料備蓄も生産力も無いのに、人口ばかり多いとかどんな地獄だよ!」


人は真に解り合う為には、本音でぶつからなければならない。今が正にその時なのだ。

俺も魔王も真剣に世界を考え、変えようとしていた。


「待て、貴様!何を飲んでいる!?ポーションではないか、ズルいぞ!」

「当たり前だろ!もう丸一日経ってんだ!人族と魔族じゃ元の体力が違うんだ!ハンデだろ!」

「しかし⋯⋯見た事の無いポーションだな?」

「賢者特製だぜ!」

「既に嫌な予感しかしない!」

「ちょいちょい聞く言い回しだけど、それって単なる確信だよな?」

「確かに!」

「純粋な強化薬か?見た感じは。副作用だけが判別出来ないが」

「見るだけでそこまで理解出来るのか。魔王は伊達じゃないな」

「貴様に褒められるとむず痒いのぅ」

「まあ、折角だし説明しようか。これは『きょうかやく』!飲み続ける限り、身体能力も精神も強化される上に、疲れ知らずになるスグレモノだ」

「チートじゃねえか」

「ただし、効き目が切れると、それまで強化されていたのと同じ時間、理性が飛ぶ」

「え、それ飲んじゃってんの?」

「交渉中は飲み続けるぞ?決裂したら飲むの止めるわ」

「凄まじい恐喝をされている!」


賢者が作ってくれた、自己犠牲が強い特性を含めて勇者にぴったりな特製のポーションだ。

ちなみに、苦労して素材を集めてくれたのは戦士で、効力を底上げしてくれたのは聖女だ。

ちょっと飲みにくいのが難点。味は悪くないのに、ドロっとした感触が不快。


「きょうかやく⋯⋯『狂化薬』じゃないか!理性吹き飛んだら、この城も我も吹き飛ばされそうだな」

「ははは。建物を吹き飛ばすとか、狼じゃないんだから無理だって。更に言えば魔王城は石造りだし」

「例えじゃ、愚か者」


お互い譲れない意見をぶつける内に、口調も変わり、自分を曝け出しながら議論を続ける。

世界平和には、これが必要なんだ。


「その国は要らない。勇者に対して反発が大きい。魔族に対して喜んで臣従しそうだからなあ。支配が面倒だ」

「やけに我々の支配に好意的と報告は入っていたが⋯⋯」

「先代の勇者が国中の箪笥や壷を漁っていったらしい。庶民のヘソクリから国の宝まで奪っていったとか」

「最悪だな」

「ああ。最悪だ。負の遺産という奴だな。勇者の風上にも置けない。風下に置いて火攻めすべきだ」

「物の例えを物騒に言い換えるな⋯⋯。気持ちは解らんでも無いが」

「むしろ火責めだったな」

「何の話!?」

「先代の勇者は、火の勇者だった、って事さ」

「触れない方が良い気がするな⋯⋯」


先代の勇者は今から30年程前に、それこそ先代の魔王と戦った人族だ。

その時は魔王の軍勢が件の国を襲撃し、それを撃退したのだ。

俺との違いは、自分からは魔族領には攻め込まなかった点かな。余裕が無かった、という理由になっているが。

実際には、彼の国を防衛した後に攻勢に出ようとしたが補給が滞ってしまったらしい。

で、その受けられなかった補給分を他人様の財産で賄おうとした、と言っていた。本人が。

まあ、その結果民衆に追われ、やる気を無くして田舎に帰ったとか職務放棄にも程がある。俺達を見習って欲しい。

非道な行為を自白されたので、軽く罰は与えて来たけどな。


「なら、辺境だが重要な拠点を⋯⋯」

「其処は魔王への忠誠心が高い地域だからな。裏切られたら堪らない」

「確かにな。では、此方から物資を運ぶのは⋯⋯」


俺達が解り合う為の話し合いは、三日三晩に及んだ。



「では、この条件で」

「ああ」


ポーションをこまめに摂取していた俺は、爽やかな笑顔で魔王に応えた。

片や魔王は、顔色憔悴し、枯槁せり。


「決裂だ」


残念ながら、魔王は俺の希望を叶える事が出来⋯⋯魔族と人族は解り合えなかった。

その悲しみを剣に乗せ、振るう。


「きゃあああーっ!」


何という事でしょう。

黒尽くめの鎧からは、可愛らしい少女が出て来たではありませんか。


「ま、魔王!?」

「うーっ!バレてしまった!我はまだ幼い上に女だと侮られるから、配下を洗脳し、自らに幻術を用いて擬装しておったのに!」


くっ!相手があどけない美少女では、このまま成敗するのは忍びない!


「ならば、もう一度話し合いを⋯⋯あ、ポーションの在庫終わった」

「我の人生も終わったかのぅ⋯⋯」

「三日三晩、理性を無くした相手に生き延びたらイケるって⋯⋯あ、それじゃバーサーカータイム入りまーす」

「軽っ!疲弊した状態で、理性飛ばした戦闘特化の勇者相手に三日三晩は無理!」

「しゃぎゃー」

「って、思ってたのと違うのう。確かに理性は無いが⋯⋯もしかしたらイケるかも!?」


その魔王の言葉を最後に、俺の意識は沈んでいった⋯⋯。

魔王の言葉が断片的に記憶に残っている。


「え!?早っ!力、強!?」


「痛い痛い!馬鹿力め!」


「どうしてズボンを下ろ⋯⋯きゃあっ!服を脱がすな!」


「理性が無くなるって、そっちかあぁぁー!」


「いやあぁぁーっ!やめてーっ!」


魔王は成敗された。


めでたしめでたし。

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魔王を追い詰めたら「世界の半分をやろう」と言ってきた。 もうきんるい @kansen

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