第35話 エピローグ
今日はカエデ、セイラ、ネネカ達と共に川に近いちょっと深めの沢で魚の手掴みをしています。
きらきらと輝く水面の下に楕円形の黒い影が。
「やあ!」
私は影の進路方向を予想して手を水面へと差し入れて魚を掴みます。
魚はぬるっとしていてピチピチ跳ねます。
「とっとと!」
落とさないようにぎゅっと抱きかかえます。
私は捕った魚を岸辺に置いたビクにいれます。
ビクは魚を入れる籠のことです。今日はキャッチアンドリリースでなく、捕った魚を焼いて食べるのです。
「で、でかいの発見だよ!」
カエデが叫びます。
「どこ?」
セイラがカエデ周辺の水面を見つめて聞きます。
「あっち! ネネカ右!」
カエデがネネカの右斜め前を指して言います。
「見えた!」
ネネカが手を水面へと突っ込みます。
「駄目、逃げられた。セイラ!」
「オッケー。えい!」
しかし、魚に逃げられてしまいました。
「ミウ! お願い!」
「まっかせて!」
私はグネグネと沢を
進行方向良し!
「てい!」
タイミングを合わせて手を突っ込みます。
両手が魚に触れます。
捕れっ……。
しかし、持ち上げようとした時に魚が手から離れました。
「ああ!」
すぐ追いかけるも魚はゆうゆうと沢を下っていきます。
もう無理かと諦めた時、腕がさっと現れ、魚を捕りました。
誰?
顔を上げると……チノがいました。
「捕ったぞ!」
チノはにっと笑います。
「チノ!」
私は魚より急に現れたチノに驚きました。
「チノだ!」
「どうして?」
「いつ帰ってきたの?」
カエデ、セイラ、ネネカも集まってきました。
「一ヶ月弱って言ってたじゃん」
「もうそんなに経つんだ」
「おう。で、これどうすればいいんだ」
チノの腕の中で魚が暴れています。
「向こうのビクに!」
私は急いで岸辺のビクを指差します。
「あれか」
チノが岸部に向かい、ビクに巨大な魚を入れます。
「でもどうしてここに?」
手を
「お土産持って行ったらおばさんにここにいるって聞いて」
「なるほど」
「魚を捕まえればいいんだな?」
「うん」
「よーし、やるぞー」
とチノは意気込んで水面を睨みます。
「チノ」
「ん?」
「おかえり」
チノは一瞬、目をぱちくりした後、笑顔で「ただいま」と言った。
と、そこで、
「ミウ! 大変!」
セイラが悲鳴を上げます。
「え? 何?」
「ビクがものすごく震えてる」
目を向けると確かにビクがガタガタと震えています。
「なんで?」
「さっきのやつだ!」
私達は急いでビクへと駆けつけます。でも後もう少しというところで、ビクが倒れて捕った魚達が沢へと流れていきます。
『きゃー!』
妖精少女物語 赤城ハル @akagi-haru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます