第12話 ふっ、神速の剣聖とは俺の事よ。え? 女じゃねぇし!4
今リーシアは何と言った?
俺がパーティを抜けていない?
「いやいやいやいや! それはないそれなはい!」
「だって、私達ノエルがパーティを抜けるって言って、それに対して一度も分かったなんて言ってないよ?」
「なんか言い出したなぁ、なんて思ってましたけどまさか本当に抜けた気でいたのですか?」
え、でも昨日会話した時に確か俺が抜けたせいで前衛がいないって――言ってないわ!
一時離脱中って言ってるわ!
でも、いくらフランとリーシアが了承していなくても俺はもう既にパーティを抜けている。
なぜなら、俺はリューマンに来る前に、シリルにパーティ脱退の手続きをして貰ったからだ。
「残念だが俺はパーティを脱退している! その証拠に!」
ギルドカードを取りだし魔力を流し込むことで俺の情報を表示させる。
「ここにパーティには無所属と書いて――ないっ!? なんでだよ!」
ペシン! といい音を立てて叩きつけられるギルドカード。
所属パーティにはしっかりと俺たちのパーティ名『ホワイトリリィ』の文字が刻まれていた。
「くそっ、シリルのやつやりやがったな……! おいシリル! そこで盗み聞きしているのは分かっている!」
「はわわわ、私じゃないですよ!」
カウンターからひょこッと顔を出したシリル。
大方いつものドジを発動させて受理するのを忘れたのだろう。
「ええと、ノエルさん。私たちのパーティランクは何ですか?」
シリルを問い詰めようとしていた俺にリーシアが聞く。
「うん? ソロでもパーティでもSランクでしょ?」
「じゃあ、Sランク冒険者になるための条件って何か覚えていますか?」
分かるかと聞かれても、そんなことは常識だ。
「偉業を成し遂げて認められる、でしょ?」
俺はさも当然の如く答える。
この条件は冒険者ではない人でも知っているほどで、それほどSランクというものは重要な存在であり、ヒーロー的存在なのだ。
「もう少し詳しく説明してみてください」
詳しくったって、ほとんど変わらないけれど。
「難易度S以上に指定されたダンジョンやモンスター、災害を解決するなどの偉業を成し遂げ、三か国以上に実力を認められるこ、と……で……まさか」
気づいてしまったかもしれない。
否、気づかされてしまったかもしれない事実に冷や汗が出る。
「国が認めたパーティを勝手に解散するなんて、できるはずないんだよね」
俺たちはSランク冒険者という防衛の要とでもいえる存在。
それは一個人が勝手に解散させでもしたらパーティを認めた国に泥を塗ることになる。
しかも俺たちはこの国からSランク冒険者パーティとしての任命式のようなものを大々的に受けていた。
ああ、これは完全にあれだ。
「わ……」
「「わ?」」
「忘れてたああああああ! 抜けられるわけないじゃんバカ野郎!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます