この小説は、日常の中に潜む狂気を描いたホラー・ミステリー作品だ。
色とりどりの花束が毎日届くという穏やかな日常が、ある恐ろしい事実を浮かび上がらせていくという展開がスリリングだった。
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この作品の魅力は、日常の中に潜む不気味さを巧みに描写している点だ。
入院中の穏やかな日々と、毎日届く美しい花束という平和な描写が、その裏に潜む非日常の恐怖を際立たせている。
多種多様な花が登場し、花の特徴や花言葉の解説がためになった。
また、会話文を多用した軽快な文体ながら、ラストに向けて徐々に不穏な空気が漂ってくるのも見事だった。
最後の花言葉の意味が明らかになるシーンは、背筋が凍るようなホラー・ミステリーになっている。