「釣りを楽しんでくれたら俺としては嬉しいかな」

「疲れた」

「私も……」

「あー社会人なってこんなにはしゃいだのは久しぶり……」

 俺と姫とそして内田は大野が用意してくれた。日陰のところにあるレジャーシートの上に寝っ転がってした。

「残念だけど遊びはまだ終わってないぞ三人とも……」

「冷たっ!」

 首元に物凄いヒンヤリとしたものがあたり思わず起き上がってしまった。

「お茶とコーラ。どっちがいい?」

 大野方を見てみると手元にはコーラとお茶を持っていた。

「お茶が欲しい」

「大野先輩もお茶!」

「オッケー姫ちゃんは? お茶とコーラどっちが飲みたい?」

「あっはい。コーラをください」

「ほいほい……」

 それぞれ注文した物を大野が取り出し渡し。一気に飲み干すと喉が思った以上に潤っていたのだと実感した。

「あっー!」

 姫と内田の方も見ると同じく全部飲み干すぐらいの勢いで飲んでいた。

「あっー生き返る!」

「はぁ……」

「それで次は何やるんだ?」

「まあ次は釣りかな」

「釣りですか? 私やったことないんですけど」

 内田と姫も二人そろって頷いていた。

「俺も同じくやったことはないんだけど」

 大野の釣り話や魚についての話は聞いているが実際に釣ったことはない。

「それじゃあ三人とやってみようぜ。意外と面白いから」

「まあ良いか……」

 大野の話でやってみたいっていう気持ちはあったからな。

「二人は休憩するか」

「はい」

 姫が手を上げていた。

「釣りやってみたいです」

「おっ! みんながやるんだったら私も、私も!!」

 内田も手を上げてみんなで参加することになった。

「よし、じゃあやるかっ!」

 珍しく大野が目を輝かせていた。

「おぉー!」

 そこから釣りを解説が始まった。

「じゃあ、それから始めていくのは釣り。本来の使い方にします!」

「……ん?」

 内田が首を傾げていた。

「えっ釣りの道具ってそのままで出来ているんじゃないんですか?」

「おっそう思うだろ。実はな……」

 大野が取り出したのは俺が運んできた少し細長い50センチぐらいの筒状な物を取り出してきた。

「これが釣り道具なんだよ!」

「…………ん?」

「……えっ」

 姫と内田が揃って首を傾げていた。

「これですか大野先輩?」

「そうそう、まあこれを先に延ばして~」

 少し先端を伸ばしていくと途中で手を止めた。

「この先端に釣り糸と浮き輪を付けてー。それも針も付けて~」

 あっという間に竿のところに付き浮き輪と針金もついていた。

「これの伸ばしていく~~!」

 大野がどんどんと先端の伸ばし、あっという間に長さ4メートルというほど伸びていった。

「長っ!」

「すごい」

 内田と姫がビックリしていた。わかる大野と一緒に俺の部屋で飲んだ時に買ってきた竿を持ってきて伸ばした時は俺もビックリした。

「だろー! 物凄く長いだろ!」

 さらに大野の目が輝いていた。

「じゃあ吉田! この針のところには何を付ければ魚が寄ってくるでしょうか!!」

「えっ俺!?」

「そう吉田!」

 俺が指名された。

「エサだよな? ……あぁ何だっけ? 練り餌を付けるんだっけか?」

 確か前に大野が練り餌つけたらって話をしていた記憶があるけど。

「そう正解!」

 思いっきり親指でグッドとしていて、いつもの落ち着いた感じじゃなくハイテンションになっていて子供のような感じの大野になっていた。

 チューブ状のものを取り出し、少し力を加えると一気に中身が出てきた。

「これを付ければ、いつでも釣りが出来るぞ!」

「おぉ……」

 内田が頷いていた。

「なんか難しいところはありましたけど。簡単なんですね……」

「大体はこんな感じだな。まあ軽く説明したけど釣りの準備は俺と吉田でやっておくから悪いけど姫ちゃんと内田はコテージの方からみんなの分の飲み物持ってきてくれるか?」

「あっコテージに戻るんでしたら着替えてもいいですか? 早めに戻るので」

「あぁ良いぞ。それと結構日の当たるところにいるから帽子を持っておくといいかもな」

「わかりやした!」

「はい。じゃあ行こうすみれちゃん」

 二人してコテージの方に向かって歩いていった。

「じゃあ任せたぞ!」

 大野が俺の方肩を叩いてきた。

「マジか……」

 見た感じ少しわからないところとかリードの時が大変そう。

「わからないところは俺がやっておくよ。なっ!」

「……頼むわ」

 それから男二人でリードを組み立ててやっと完成したころには内田と姫が着た。

「お待たせしました~」

「おっ、やっと完成した……」

 そこには目を奪われる光景があった。

 姫のTシャツにハーフパンツを着ていた。

 美しいまでの姫の太もも。ツヤが太陽の光りが一層輝きだしその肉質はしっかりとしていて綺麗で言葉に出ないぐらいに美しかった。

「……おぉ」

「んっ? どうした」

「今俺は天界にいる気分だ……」

「なにを言っているんだお前は?」

 そして大野が二人の方を向くと「あぁ……」と頷いていた。

「……はい。大輔」

 姫がスポーツドリンクを渡してきた。

「あぁ……ありがとう」

 俺は姫からスポーツドリンクを受け取った。

「それじゃあ釣りに行こうか……」

「おぉーー!」

 それぞれ釣り道具を持って川の方に向かった。


「それでどうやって釣るんですか?」

「それは簡単。ついている針を人とか周りに引っ掛けないよに気を付けて向こう側の方に投げる」

 説明しながら大野は練り餌と針ががついたのを川の方に投げ込んだ。

「んで待つ」

「……えっ?」

「うん待つ」

 内田が大野のを向いてジッと見ていた。

「……」

「うん待つ」

「……地味じゃないですか」

「まあこれに関しては魚がいつ食いつくかわからないからな。ほら、例えるのだったら今日はアイスの気分じゃないけど良いやって思ったけど。明日になったら物凄くバニラアイスが食べたくなる瞬間」

「――っ! なるほど」

 内田が頷いていた。

「急に冬場にアイスが食べたくなるあの感覚と一緒ってことですか?」

「……え?」

 内田が姫の方を向いていた。

「え? 冬場にアイスって姫ちゃん食べるの?」

「えっ食べるよね?」

「いや……あまり食べないかな。センパイ達は食べないですよね」

「俺は冬にアイスは」

 大野も首を横に振っていた。

「あー……そういえば姫って小さい頃にアイスを食べてたな」

 小さい頃に姫の家で遊んでいたら姫のお母さんがバニラアイス配ってくれたけな……。少し寒かったけどコタツに入りながら温かった記憶があるな。

「たまに食べたくなるかな」

「大輔!」

 姫の目がキラキラと輝いていた。

「……まあ、そうゆうわけだから魚も食いついて来るのを待つんだよ。ひとまずは釣りを楽しんでくれたら俺としては嬉しいかな」

「了解っす!」

「はい!」

「了解」

 それぞれ返事をした。

「それじゃあ楽しんでくれ」

 大野の掛け声と共に俺たちは釣りを始めた。

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