「やっぱり濡れる大輔も拝んでおかないと……」

「ある程度は運べたんじゃないか?」

「そうだな……」

 車から荷物をコテージに運び終えて、軽く腰を伸ばし少しポキポキという音が鳴り響いていた。

 バーベキューコンロとか意外と重かった。

「意外と重いんだなコンロって」

「そうだろ……。友人と運ぶの手伝ってくれたから助かったよ。あとで肉を焼こうぜ」

「いいな」

 今から焼肉だと思うと気持ちがワクワクす――


 ガチャッ。


「「どーん!」」


 扉がいきなり開いた。

「じゃあセンパイ! 川に行きましょ!」

 黄色い水着にパーカーを羽織ってきた内田が登場してきた。

「……」

「……おぉ」

 いきなり過ぎて俺は大野の顔を向いていた。

「なんすかっ」

 内田がこっちをジッと見つめていた。

「いや、急すぎて……」

「あぁ、びっくりした」

 大野も同感していて何度も頷いていた。

「……大輔」

「んっ?」

 声をした方を向くと姫が顔を少し出していて覗いていた。

 小さく一歩あるいて全身を見せてきたのは、ラッシュガードを着ていた姫だった。

「――っ!」

 水着を買ったあとやっぱり日焼けを避けれるようにって買ったけど実際に姫が着ていると凄いボリュームの胸があった。

「……」

 だけどヤバい見ているだけで満足すぎる。

「どう?」

 姫が首を傾けてきた。

「可愛い」

「……ありがとう」

 姫が顔を真っ赤になっていた。

「センパイ! 私に感想は?」

「えっあぁ似合ってますね」

「いやーそれほどでも!」

 物凄いドヤ顔をしていた。

「じゃあ俺たちもササッと着替えるから待っててな」

「りょっ!」

「わかりました」

 内田と姫。両方頷いた。

「それじゃあ着替えるか」

「了解」

 バックから水着を持っていってササッと水着に着替えた。

「じゃあ行こうか」

「了解」

 ドアを開いてリビングの方に向かうと二人してトランプで遊んでいた。

「えーどっち……がババなのすみれちゃん」

「ふふっ。さあどっちかな……」

「うーん。こっち! ……あぁ負けちゃった!」

「やったこれで2勝1敗で私の勝ち!」

 どうやらババ抜きをしていたみたいだった。

「おーい遊びに行くぞ」

「はーい」

「わかりました」

 姫と内田がトランプを束ねて片づけていた。

「一応釣り道具用意して置いてれ吉田」

「あぁ了解」

 俺は大野に指示されて釣り道具を持って近くの川辺の方へと歩いて行くと流れる水流で少しヒンヤリとしている場所にたどり着いた。

「結構綺麗だな……」

 秩父は自然が凄いところだと話で聞くけど圧倒されてしまった。

「じゃあ遊ぼ姫ちゃん!」

 内田と姫はパーカーとライフジャケットを脱ぎ。川の方に向かって水の掛け合いっこを始めていた。

「あんまり川の中に入るなよー!」

「了解っす!」

 内田が手を振っていた。

「……さて、俺はバーベキューの準備してくるから、吉田はここに居てくれ。もし二人が流されてしまったら俺に連絡してくれよ。それか二人の近くにいてなるべく居て浅いところに誘導しておいてくれ。出来れば近くの方が安心かな」

「あぁ了解」

「じゃあよろしくな」

 軽く肩を叩きコテージの方を歩いて行った。

「大輔! 大輔もこっちに来て、水が冷たいよ!」

 姫に誘われたら行くかな。

「わかった行くよ」

 大野の言う通り。深いところに行った場合足が届かなくなって川の勢いで流れてしまう可能性があるから、俺も一緒に遊んで二人の近くにいて浅い所に誘導した方がいいかもしれないな。

 姫のところに向かった。

「おぅ! 冷たっ」

 川に一歩足を入れた瞬間冷たさが一気にきた。

 すると姫が、

「それ!」

「うぉっ!」

 いきなり水をかけてきて体にヒットする。

「センパイ! とりゃ!」

 内田も同じくかけてきて冷たさが2倍になった。

「……やったな!」

 俺は手で水をすくい二人に水をかけた。

「あっ! 冷たいよ大輔!」


「「アブッ!!?」」


 かかった水が内田の顔面にヒットした。

「ちょっと何するんすかセンパイ!」

「あっはは日頃の憂さ晴らし」

「それじゃあ私も……」

 姫も水を内田に目掛けてかけ、顔面にヒットした。

「あふぇ!? ……ちょっと二人なんて卑怯じゃなっすか!!」

「うわっ」

「冷たいっ!」

 今度は内田が俺と姫に向かって逆襲をし始めてきた。

「あははっ! どうすか姫ちゃんセンパイ降参する気になりましたか?」

「いやまだ……」

「ねぇ大輔。手でかけるよりも良いものがあるよ」

「んっ?」

 姫の方を見ると手には水鉄砲を持っていた。

「それは卑怯じゃない姫ちゃん!?」

「トランプで負けたからこれでチャラにしないとね‼︎」

 川の水を水鉄砲の方に溜め込んで、内田に目掛けて放射した。

「ぬぁ冷たい! ……でも好きだらけですよセンパイ!」

 油断をしていた俺に目掛けて内田が俺に水を浴びせてきた。

「うわ冷たっ」

「……大輔にもやらないと」

 内田の方に向いていた水鉄砲が俺の方に向いて姫が引き金を引いた。

「ぬぁ! なんでだ」

「やっぱり濡れる大輔も拝んでおかないと……」

「そうゆうことなら俺も容赦しないからな姫」

「いいよ。大輔! 負けないよ」

「……私のことも忘れちゃあ困りますよセンパイ!」


 それからずっと水の掛け合いっこを繰り返していて体力的に限界になるまで遊んでいた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る