「回転寿司か……」

 姫からサプライズをされて数日が過ぎた。

 俺はいつも通り会社に出社しお昼になった頃に姫の手作り弁当を持って、食堂の方へと大野と一緒に歩いていた。

「腹減った……」

 腹の虫が鳴り響く。

 食堂に着き大野が食券の方へと向かっていった。

「じゃあ席頼む」

「了解」

 俺は二人分確保出来そうな席を探していた。

「二人分空いているところは……。あそこかな」

 空いている席に座り込み大野を待った。

「よう、サンキュー」

「うい」

 大野のお盆が目に入り見てみると定番のカレーだった。

「カレーか……」

 食堂のカレー久々に見たな……。姫が来る前から大分お世話になっていたけれど結構美味しくて好きだったんだな。

「早く食おうぜ腹減った」

「そうだな」

 大野も席に座り。カレーを一口食べようとしていて手が止まった。

「なあ吉田、寿司をさ。食いたくないか?」

「……急にどうした大野?」

「いや、この前に矢田さんたちと釣りに行ってさその時に魚を釣ったんだよ」

「矢田部長と?」

「そうそう」

 そういえば大野と矢田部長って釣りで仲良くんったんだっけか?

 大野がカレーを頬張りながら喋り出した。

「この前さ。釣りに誘われてさ。釣った魚を食べたら美味しかったんだよな」

「えっやっぱりその場でさばくんだ」

 アニメとかドラマでよく見るけど実際そういった感じなのかな。

 大野が首を横に振った。

「いや、店の方に行って、さばいてもらったんだよ。プロの方が切り方一つで味が変わるし」

「えっそうなの?」

「そうそうイカを釣ったのをやってもらったんだけど味がヤバかった。甘みといい舌触り触感が違ったんだよ!」

「へー」

釣りとかあまりわからないけれど大野がいきいきと喋っていた。

魚の生態とか、色々な釣りの仕方を聞いてて楽しい。

「それで吉田と姫さんと内田で寿司屋に行こうと思ってな。ついでにキャンプの話をしたい」

「なるほどね」

 キャンプの話しか。そういえば大野と行こうと約束をしたんだよな。

「ここらへんで握ってくれる寿司ってあるっけな……」

「あるとしたら回転寿司だけど」

「回転寿司か……」

 駅の方側にある有名チェーン店だけど。

「あっセンパイ達お疲れでーす」

「んっ?」

 声をした方を振り向かくと内田が居た。

「相席良いですか? 友達との休憩時間合わなかって」

「いいぞ。なっ?」

「あぁ、別に構わないぞ」

「ありがとうございまーす!」

 俺の隣に内田が座ってきた。

「それでなんの話をしていたんですか?」

「回転寿司をいつものメンバーで食べたいなと思っていて」

「えっ回転寿司!」

 回転寿司と聞いた瞬間内田が食いついてきた。

「あぁ、まあ急に食べたくなってな。それとキャンプの話しもしたいから四人で集まれるかなと」

「なるほど~流石大野先輩! と、いうことでセンパイ。姫ちゃんも呼んでお寿司屋に行きましょうよ!」

 大野の話をウンウンと何度もなづきながら俺の腕をつかみてきた。

「少し待ってくれるか? 姫に行く日にちを聞いてからでもいいか?」

 急に呼ばれても姫が困るからな。

「わかった」

「絶対に行きましょうね姫ちゃんと一緒に!」

「わかったわかった……」

 お昼を食べ午後の仕事も働いた。


 ◇


「あぁ……疲れた」

 残業をしてアパートの方へと歩いていった。

 夜は日が出ていないから熱くないとはいえ蒸している。

「暑っ……」

 やっとアパートにたどり着きドアノブを開けた。

「ただいま……」

「あっお帰り大輔!」

 ドアを開けた瞬間。姫が玄関の方に歩いて出迎えてくれた。

「ただいま姫」

「うん。お風呂湧かしてあるよ」

「ありがとう。用意してくれて」

 着替えを取って風呂場の方に向かい。30分後に風呂から上がった。

「あー生き返った……」

 テーブルの方を見るとそうめんが並んでいた。

「おっそうめん」

「うん。あっさりしたものがいいかなと思って天ぷらもあるよ」

「ありがとう用意してくれて」

「えへへ……。それで今回の自信作はちくわの天ぷらなんだよ」

「おぉ、そっかちくわの天ぷらか。美味しそうだな」

 席に座り込み手を合わせた。

「いただきます」

 姫の勧めてくれたちくわの天ぷらを一口。

「うんっ! うん美味い」

 衣の天かすがサクサクとしていてちくわの厚い肉厚が口の中に残っていてそこにそ鰹節の効いた汁をそうめんに付けてそのままそうめんをすすった。

「んっんんっ……」

 噛めば噛むほどに汁とちくわのうまみが伝わってきて体に染み渡り。夏の暑さでさっぱりとしたもの、そうめんが夏だと感じさせてくれる。

「ちくわ美味しいな」

「ふふっそれはよかった。おかわりもあるからどんどん食べてね」

「ありがとう」

 姫がにっこりと笑っていた。

「ところで姫さ。いつもの大野のと俺と姫と内田で回転寿司にいかないか?」

「回転寿司?」

 姫が首を傾げていた。

「あぁ、前にキャンプを行かないかって話じゃない?」

「あっうんしてたね」

「出発する日時持って行く持ち物とかをしないかって話になっているんだけど、姫が良ければ寿司にいかなかなと思っているんだけど」

「うんいいよ。みんなとお話ししたいし。おとお寿司も食べたい」

「じゃあ大野と内田に連絡しておくな」

「ありがとう。ふふっ大輔とお寿司屋さん」

 物凄く嬉しそうな表情をしていた。

「なにから食べようかな。あぁ早く食べに行きたい!」

「姫は何が好きなんだ?」

「やっぱり私はね……」




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