「「誕生日おめでとう大輔!」」

 7月7日。

 いつも通り仕事で昼飯になり。姫手作り弁当を取り出そうとした瞬間。大野が缶コーヒーを俺の机の上にいきなり置いてきた。

「え、なに?」

 俺が質問をすると大野が首を傾げていた。

「なにってお前の誕生日だろ。だからお祝いの缶コーヒーだよ」

「おっおぉ……」

 そっか今日、俺の誕生日か仕事だからすっかり忘れていた。

「ありがとう……」

 すると内田がこっちに近づいてきた。

「え? センパイって今日が誕生だったんですか?」

 大野が頷いた。

「そう、今日は吉田の誕生日」

「へー。じゃあセンパイチョコ食べます?」

 ガサガサと袋の中から一口サイズのチョコを取り出し、10粒以上俺の机の上に乗せてきた。

「え、ありがとう」

「私が誕生日の場合は姫ちゃんとのデート権を下さいねセンパイ」

 デート権って……。

「絶対それが目当てだろ」

「え? だって当たり前じゃないですか。姫ちゃん可愛いし誕生日に一緒にいじゃないですか?」

「わかる……」

 あんな天使が毎日いるだけで幸せだしな。

「と、いうのは100%本音ですけど」

「本気なんだ……」

「本気なのかよ……」

 俺と大野、2人で呆れてると内田が笑っていた。

「私も20歳になるのでその時はお酒に付き合って下さいッスよ!」

 あぁ、そっか内田も20歳になるのか。

「わかったその時はいくらでも付き合うよ。な、大野」

 大野は頷いた。

「あぁ、美味いつまみとか酒とかを用意しておくから楽しみにしておけよ」

 内田が敬礼をした。

「了解ッス! 楽しみにしているんで!」

「じゃあ昼飯さっさっと食うか」

「了解ッス!」

「そうだな今日中に仕上げて帰るか」

 姫が待っているからな……。


 ◇


 定時に帰れことになり。そのまま駅に向かって自分の最寄り駅に降りた。

「今日も疲れたな……」

 いつも通り机に座りパソコンと睨めっこしているから目と腰にくる。

「腰いた……」

 夕暮れだが蒸しのせいか疲れが増してしまい足が少し重い。

「……ふぅ」

 なんとかアパートにたどり着き。玄関のドアを開ける。

「ただいま……」

 ドアを開けた瞬間。

 クーラーで冷やされた空気が押し寄せてきて気持ちがいい。

「あぁ……涼しい」

 前に暑かったらクーラーをつけてもいいよと言っておいてある。

「ただいま……」

「あっ大輔!」

 俺の顔を瞬間。姫が駆け寄り胸元に飛び込んできた。

「お帰り!」

「ただいま」

「今、ケーキにデコレーションしているからちょっと待ってて」

「デコレーション?」

 姫力一杯に縦と頷いた。

「そう、今ケーキの仕上げに取り掛かっているところ」

 流しの方を見てみると粉がついたボールとかが置いてあった。

「手作り……ですか姫さん」

「うん。大好きな彼氏の誕生日だもん。祝ってあげたいから手作りが良いかなって」

「……めちゃくちゃ嬉しい」

 誕生日に彼女から手作りケーキを作ってくれるなんて物凄く嬉しすぎて顔がにやけてしまう。

「え、良かった……あ、それとお風呂先に入ちゃって大輔が出たころには驚くようなの用意しているから」

「ありがとう楽しみにしている」

 俺は優しく姫の頭を撫でた。

「えへへ……」

 俺は急いで風呂に入り湯船つかった。

 風呂から上がりリビングの方をむかうとから揚げとかピザなどがテーブルの上に並べていた。

「じゃーん!」

「おぉ……凄い豪華」

「えへへ。早く座って大輔」

 姫に手を掴まれ、

「それじゃあ、大輔目をつぶって」

「えっ? あぁ……」

 言われた通り目を瞑りった。

 ……おぉ? あたりが暗くなった?

 暗いというわけじゃないけど一部分だけ眩しいく感じる。

「良いよ大輔。目を開けて」

 姫に言われたとおり目を開けると電気が消えててケーキに数本立っているロウソクの明かりが眩しく輝いていた。

「さあ大輔! 吹いて吹いて!」

「お、おぉ……」

 姫に言われた通り思いっきり息を吹きかけロウソクを消した。

 そして真っ暗になった部屋が明るくなり。


 バンッ!


「「大輔お誕生日おめでとう!」」

 姫がクラッカーを持って紙吹雪が飛んできた。

「……お、おぉ」

 こんなにサプライズで言葉が出てこなかった。

「そんなにビックリしてくれるなんてやったかいがあったね」

 そして小悪魔みたいな笑みを浮かべていた。

「……こんな素敵なサプライズをされて言葉に出来ないぐらいビックリしている」

「にしし」とまだ笑っていた。

「はい大輔グラス持って」

「あぁ」

 テーブルに座りこみグラスを持って。

「乾杯!」

 こっちのグラスに当て乾杯をした。

「乾杯。本当にありがとうな姫」

「えへへ。さぁ食べよ食べよ」

「それじゃあいただきます……」

 から揚げを一個掴みかぶりついた。

「――っ! うまい」

 中の味は柚子の香りと味が効いていて醤油ベースと黒コショウが後からガツンと来てとてもうまかった。

「うまい!」

「ホント?」

「めちゃくちゃ美味い!」

「良かった前に凛がねこうゆう味もあるから美味しいよって教えてくれたんだけどよかった気に入れてくれて」

 ご飯が進み何度もおかわりをしてしまうほどだった。

「食った……」

「良かった。ケーキは食べる?」

「食べたいです!」

「ふふっちょっと待っててねすぐに用意するから」

 姫はナイフを持ってきてその場で切り分け俺の分と自分の分に分けいてた。

 姫のところには小さい女の子のお菓子が乗っていた。

「この人形は?」

「あぁこれ? 今日は七夕だったから砂糖菓子のお人形が売っていたから買ってみた」

「あぁそっか今日は七夕か」

 今日は七夕だということも忘れていたな……。

「ということは姫は短冊になにか書いたりしたのか?」

「ううん」

 姫は首を横に振っていた。

「もう叶ったからお願い事は大丈夫」

「もう?」

「うん。大輔の笑顔を見れる。それだけで十分叶っちゃったから」

 その笑顔を見た瞬間。眩しくそしてただ幸せだっていう表情をしていた。

「俺は幸せだなこんなに素敵な彼女がいて。ありがとう姫」

「――っ! うん。こっちこそありがとうね大輔」

 笑顔でお互い顔を近づけてそのままキスをした。

「……」

「……」

 そして数分間。キスをし終え。

「……ケーキ食べようっか」

「……そうだね。めちゃくちゃ楽しみ」

 お互い照れながらケーキを食べ始めた。


 このサプライズは俺にとって忘れられない一日になった。

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